『１８歳のおとなたち』先行上映舞台挨拶

　来年３月公開の映画『１８歳のおとなたち』が、12月２日(土)から池袋シネマ・ロサにて２週間限定で上映となり、12月10日(日)にキャスト・監督による舞台挨拶が実施された。

　場内は幅広い年齢層の観客が来場し、成人年齢が18歳に引き下がったことへの関心が当事者となる10代の若者たちだけでなく、50～60代までの幅広い層に渡っていることが感じられた。
　クリスマスの予定は……？という質問も飛び出し、年末ムード漂う舞台挨拶となった。

　本作は、成人年齢が18歳に引き下がり、選挙権が与えられた一方で、契約が自己責任になり消費者トラブルが増加。若者が直面するリスクは社会問題になっている。本作は、大人と子どもの狭間で葛藤し、問題を抱える若者たちが、映画作りを通して前進していく実話ベースの青春感動ストーリーだ。

　主⼈公・成⽥マコト（兵頭功海）の⺟を演じた中島は「大分に移住して５年です」と遠方から駆け付けたことを報告して「撮影時期が強烈に寒かったけれど、兵頭功海君が『母ちゃん、行くぜ！』と言ってくれて気合が入りました」と撮影回想。

　宮村スイ役の三原はクリスマスの予定について「うーん、ボッチかな？」と苦笑い。自身の18歳時代を振り返って「３年前なので、ドンピシャでコロナ禍でした。学校も行事もなかったけれど、学校が始まってからはマスクに絵を描いたりして、自分たちで楽しみを見つけていました」と懐かしんだ。

　⻄川カケル役の⿊⽥は「撮影現場の食事ひとつひとつが手作りで、牛丼とカレーの味が忘れられません。食べた後にマコトとカケルの大事なシーンの撮影があったので、美味しい手作りメニューで体の芯まで温まり、演技に気合と勇気が入りました」と製作陣に感謝。

　山⽥菜摘役の久⽥は「深谷市での撮影では関係者の方々が深谷市のボールペンや付箋を大量にくれて、本作のタイトルが入った可愛らしい竹トンボまで頂けたことが思い出深いです」とニッコリ。

　菜摘（久田）の上司を演じたアーサーも「菜摘が会議室でプレゼンするシーンは、僕以外は深谷市の偉い方々だった。皆さん一生懸命やってくれてその全面協力してくれている気持ちが嬉しかった。『アドリブでボケてもいいですか？』とも質問されました」と協力に感謝していた。

　また、アーサーは中島のリアルな母の姿に太鼓判で「中島さんが洗い物をしながら、息子に夜勤を増やしたと告げる場面。息子はそれに対して『なんで苦労するの分かってて俺なんか産んだんだよ？』と言う。その時の中島さんの芝居がリアルで、くたびれた感が出ていた。女優・中島知子を僕は見たい。今後も注目していきたいです」と絶賛。この言葉に恐縮しきりの中島に対して佐藤監督は「中島さんの演技に深みがあって、すごくリアルに感じました。ため息を２個くらいカットしましたけど」と、リアルすぎる演技故の暴露もあり、場内は笑いに包まれた。

　また本作にちなみ、未来の新成人に向けて、登壇者を代表して中島知子、三原羽衣、黒田昊夢の３人から特別なメッセージが送られた。

中島知子：個性を潰さないのは理想で、複雑な家庭に育って心にわだかまりを抱えているような子こそ応援したい。そんな子たちのことをサポートしてくれる大人がたくさんいればいい。
三原羽衣：大人になったと思って焦らず、周囲の助けてくれる人たちに頼りながら頑張って。
黒田昊夢：挑戦に対して勇気を持つこと。もちろん勇気を持っても上手くいかないこともあるけれど、そんなときに味方がいることを忘れないでほしい。
とそれぞれの言葉でエールを送った。

　そして最後に、佐藤監督は来年３月の本公開に向けて「若い世代はもちろんのこと、幅広い年齢層に届けていきたい作品です。SNS等々で本作のことを広げていってもらいたいです」とこの日訪れた観客に向かって期待を込めていた。