映画『身代わり忠臣蔵』の完成報告会見が都内で行われ、主演を務めるムロツヨシ、共演者の永山瑛太、原作者の土橋章宏、河合勇人監督が登壇して作品についてクロストークを展開した。ムロと永山は劇中の衣装で登壇した。
最初に四十七士が登壇。討ち入りした日(12/14)に雪が降ったので、雪の演出が行われた。四十七士を従えたムロと永山が大ヒット祈願のためにとかけ声を上げた。四十七士が/降壇する合間に、ムロが「この時間を借りまして……」と切り出し、「昨日13日は永山瑛太くんの誕生日でした! おめでとうございます!」と昨日41歳を迎えた永山を壇上で祝福する場面もあった。
本作は、『超高速!参勤交代』や『引っ越し大名!』などの土橋章宏の同名小説を実写映画化。時代劇「忠臣蔵」をベースに、“身代わり”という斬新なアイデアを加えた。嫌われ者の旗本、吉良上野介(ムロ)が城内で恨みを募らせた赤穂藩主に斬りつけられたことで、お家取り潰しの危機に。逃げて死んだとなれば武士の恥ということで、吉良家では上野介にそっくりな弟の孝証を身代わりに、幕府をだまし抜こうと考える……。一方、切腹した赤穂藩の部下、大石内蔵助(永山)は、仇討の機会をうかがっているような、いないようなという状況で、世紀の大芝居「身代わりミッション」が幕を開ける。
劇中衣装を着て、坊主頭で登壇したムロは「こういったイベントでは張り切って頑張ろう! というところですが、今日は取材陣の皆様のみということで……。わたくしはお客様がいて初めて、力を発揮できるタイプなので、緊張してこの場に立っております」と神妙に挨拶して笑いを誘った。ムロは主人公の吉良孝証とその兄の吉良上野介を一人二役を演じている。
永山はシンプルに「今日はよろしくお願いします」頭を下げた。
河合監督は「『忠臣蔵』は大好きな作品で、監督ができて誇りに思えた。お披露目できて嬉しい」としみじみ。また、「吉良孝証役は“ムロさん以外、あり得ない”」と脚本はほぼあてがきだったことと明かす。さらに「ムロさんに対する大石内蔵助と考えたときに、必然的に永山さんになりました」とキャスティングの経緯を明かした。
土橋も「ムロさんをずっと観られる幸せがある」と笑顔をみせ、「『忠臣蔵』は日本の代表的なコンテンツ。誰が観てもわかる『忠臣蔵』を目指した」とコメント。視点を吉良側に変えたことも明かしていた。
人生初の二役を演じたムロだが「舞台のお芝居では何役も演じることも多いので……」と余裕をみせる。永山は赤穂藩家老・大石内蔵助を演じた。二人の映画での共演は『サマータイムマシン・ブルース』(05)以来20年ぶりとなる。
永山はムロについて「今の時代に必要な『忠臣蔵』になっています。確実にムロくんが忠臣蔵に爪あとを残すなという予感がしました。現場でムロくんのパワーは全開で、もう誰にも止められないなと思いました。天才という言葉では片づけられないムロくんの人間性が作品の中に全て映っています。ムロツヨシという俳優がこの時代において、本当に必要なんだなと心から感じました」と大絶賛。
それを聞いたムロは恐縮しながらも「嬉しいです」と素直に感謝し、永山については「またカッコ良くなったなと思いました。家族を持ったりしたので、わたしには無い、いろいろなしわが顔にあるんですよ。僕の知らない感動だとかを持っているなと。憧れます」と感想を伝えた。また永山が「ムロくんは色気があるなって。それができあがった作品に映っていました。いい男だったんだなと」と褒め続けると、さすがにムロが照れて「お互い褒めあいで気持ち悪い!」と大笑い。
また、ムロは特殊メイクだという坊主頭について「京都での撮影でしたが、特殊メイクだと朝早く入らなくちゃいけない。なので、『身代わり忠臣蔵』が終わったら二度と特殊メイクはやらないぞ。次回またするくらいなら、剃るぞ!と言っていたのに、また大河ドラマ『どうする家康』で同じ特殊メイクのチームと再会してしまいました(苦笑)」と恨み節を吐露した。
劇中で印象に残っている場面を聞かれると、永山は二人で見つめ合って覚悟を決めるシーンをあげ、「20年前に出会って、違った道を歩いて来たうえで、いま巡り会えた。俳優ムロツヨシ、やっぱりすごくいいなと感じた。ぶわっとなにか溢れてしまうんじゃないかというシーンだった」と思い入れたっぷりに話した。ムロは、「一対一で会話をするシーンはすごく心に残っている。ここまで来られたな。俳優としてまだ生き延びているなあって」と嬉しい笑顔だった。
最後に土橋は「こんな『忠臣蔵』観たことないってぐらい、ぶっ飛んでます。ムロさんと永山さんのぶつかり合いがセッションになっている。『忠臣蔵』のファンにも楽しんでもらえる作品です。楽しみにしていてください!」とアピール。
永山は「いい意味で異色の『忠臣蔵』になっています。『忠臣蔵』を知らない若い世代にも観ていただきたいです」。ムロは「いろいろな世代の方に観ていただきたいです。いい時間を過ごしていただける自信があります。映画館に足を運んでいただけたら……」と熱烈アピールした。
登壇者:ムロツヨシ、永山瑛太、土橋章宏(原作者・写真右)、河合勇人監督
(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:東映
2024年2月9日 全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)