スペイン映画『ミツバチと私』が2024年1月5日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開する。本作で主演を務めるソフィア・オテロは、第73回ベルリン国際映画祭コンペティション部門において、当時9歳という史上最年少で主演俳優賞受賞の快挙を成し遂げた。『ミツバチと私』をはじめ、2024年は続々と子役が主演を務める映画が公開される。そんな“新進気鋭の子役が魅せる、子ども映画”を今回は特集する。
『ミツバチと私』(1月5日公開/エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン監督)
第73回ベルリン国際映画祭にて、主演のソフィア・オテロが史上最年少の9歳で主演俳優賞を受賞したスペインの話題作『ミツバチと私』。本作は、自分のジェンダー・アイデンティティに悩み《本当の自分》を探す8歳の主人公と、葛藤しながらも寄り添う家族の物語。ベルリン国際映画祭では、2020年に男優賞・女優賞が廃止され、性別区分のない主演俳優賞、助演俳優賞が新設された。主演のソフィア・オテロは、まさにそれを体現する形で、史上最年少の9歳にして最優秀主演俳優賞受賞を成し遂げた。彼女は約500人の中からオーディションで選ばれた新人で、今回が映画初出演。子供が抱える不安や心の機微を繊細に演じる様子は、『ミツバチのささやき』(73)のアナ・トレントを髣髴とさせ、観る者を惹きつける。本作での演技が評価され2024年公開の映画『¿Quién es quién?(原題)』にも出演が決まっている。
『最悪な子どもたち』(公開中/リーズ・アコカ、ロマーヌ・ゲレ監督)
第75回カンヌ国際映画祭で『PLAN 75』(22)や『Rodeo ロデオ』(22)、『青いカフタンの仕立て屋』(22)を抑え、「ある視点」部門で見事グランプリに輝いた。フランス北部の荒れた地区を舞台に、映画のオーディションで選ばれた、問題を抱える4人のティーンエイジャーたち。映画のシナリオは彼ら自身をモデルにしており、波乱に満ちた撮影が始まる。彼らは映画の登場人物を演じることで自分自身と向き合っていく。演じるのは、実際に撮影地の学校や児童養護施設で行われたオーディションから選ばれた、演技未経験の子どもたち。現実とフィクションの境目を感じさせない子役たちの演技が光る作品。
『弟は僕のヒーロー』(1月12日公開/ステファノ・チパーニ監督)
ダウン症の弟と兄が作った5分のYouTube動画から生まれた大ベストセラーを映画化した作品。5歳のジャックは初めてできた弟ジョーに大喜びし、彼を「特別」だと信じていた。ジャックはやがて「特別」の意味を知り、弟の存在を隠すように。ある日、好きな子の前でついてしまった嘘が、取り返しのつかない事件へと発展する。イタリア版『ワンダー 君は太陽』とも称された本作でジャックを演じるのは、今後の活躍が最も期待されているイタリア若手俳優のひとり、フランチェスコ・ゲギ。そして弟のジョーを演じたのは、実際にダウン症であるロレンツォ・シスト。ロレンツォはオーディションでジョー役を勝ち取り、今作が映画初出演となるが、ピュアな心を持ち続けるジョーを見事に演じきっている。
『コット、はじまりの夏』(1月26日/コルム・バレード監督)
アイルランド語映画として歴代最高の興行収入を記録。大家族の中でひとり寡黙に暮らす9歳の少女コットが、夏休みを親戚のキンセラ夫婦の家で過ごす中で、これまでに経験したことのない生きる喜びを実感し、やがて自分の居場所を見つけていく物語。コットを演じたのは、本作が映画デビュー作となるキャサリン・クリンチ。彼女はアイルランドのアカデミー賞と言われる2022年度のIFTA賞において、史上最年少12歳で主演女優賞を獲得しており、彼女が醸し出す存在感と透明感に世界が絶賛。
『ロッタちゃん はじめてのおつかい』(3月1日公開/ヨハンナ・ハルド監督)
『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』(3月22日/ヨハンナ・ハルド監督)
「長くつ下のピッピ」で知られるスウェーデンの国民的童話作家、アストリッド・リンドグレーンが生み出したスーパーヒロイン、ロッタちゃん。2000年に日本で公開され全国で約20万人を動員。3億円を超える興行収入を挙げ、2000年屈指のミニシアター・ヒット作とされた『ロッタちゃん』シリーズが2Kリマスターで蘇る。2作共通で主人公ロッタを演じたのは、500人の中からオーディションで選ばれた天才子役グレテ・ハヴネショルド。『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』(92)の撮影時は5歳という年齢ながら、「世界一ふくれっ面の似合う女の子」を演じ映画館を笑顔でいっぱいにした。グレテ・ハヴネショルドは本シリーズで大人気となり出演作が続いた。
『リトル・エッラ』(4月5日/クリスティアン・ロー監督)
人と仲良くすることが苦手な少女エッラが唯一仲良くできるのが、おじさんで永遠の親友であるトミー。ある日、トミーの恋人スティーブが現れ、のけ者にされた気分になったエッラはスティーブを追い出す作戦を企てるが……。メガホンを取ったのは、スマッシュ・ヒットを記録したノルウェー発の音楽ロード・ムービー、『ロスバンド』のクリスティアン・ロー監督。そして、エッラを演じたアグネス・コリアンデルは、本作がデビュー作。子どもながらに感情をむき出しにした堂々たる演技で見事にエッラを演じきっており、今後の活躍が楽しみである。
※ アグネス・コリアンデルは撮影後にビリー・コリアンデルに改名している。
公開表記
配給:アンプラグド
2024.1.5(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開