『コードギアス』シリーズや『ONE PIECE FILM RED』を手掛けた谷口悟朗が、原案・脚本・監督を務める最狂バイオレンスアクション映画『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』。魔改造された「東京」を舞台に、改造人間となった男の壮絶で血みどろな逃走劇を描いた本作が、全国絶賛上映中。
今回、1月13日(土)チネチッタ川崎にて本作のティーチイン付き上映会が行われ、谷口悟朗監督、名倉 靖さん(音響監督)、橋本裕之さん(TVアニメ『エスタブライフ グレイトエスケープ』監督)、塩田周三さん(ポリゴン・ピクチュアズ代表取締役)が登壇した。
なかなか揃うことのないメンバーでのトーク。
まずは、『エスタブライフ グレイトエスケープ』で監督を務めた橋本は本作を見た感想を「鑑賞してびっくりですよね。ウルラがしゃべってる!とか(笑)。全てのシーンがかっこよくて、別のアニメを見ているような気分になりました」とコメント。世界観は共通したものでありながらも、まったく違うトーンで描かれる『BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-』にはさまざまな驚きがあったと語る。
それを受けて、谷口監督は「ウルラは映画上でも『ワン!』しか言ってない設定ですよ! キサラギはウルラの言葉が分かるので会話できるけれど、他のキャラクターは何を話しているのか察しながら……という」と会場も驚きの設定を告白した。
これまでのポリゴン・ピクチュアズ制作作品とはまた毛色が違う本作。塩田は「うちは独特で、完成試写まで一切僕に作品を見せてくれないんですよね。なので、いつも素人目線で見るんですが、今回は谷口監督が『ポリゴンさんが普段やらないようなことをどんどんやってもらいました!』とおっしゃっていて。実際に鑑賞して、本当にポリゴンっぽくない!と思いましたし、『めちゃくちゃ面白かったです!』とすぐに感想を言うくらい興奮しました。演技にしてもアニメーションの動きの仕方にしても、新鮮な学びがめちゃくちゃあったとスタッフが言っていましたし、映像にもそれが出ていて、心底嬉しかったです」と話した。
谷口監督は「(自分の方針に)ポリゴンさんの中で怒る人もいるのでは?と思いながらやっていたのですが、皆さんついてきてくれました」と制作当時を振り返った。
音響監督の名倉は、自らの仕事を「簡単に言えば音周りの責任者ですね。今回は谷口監督がディレクションされていましたが、アフレコのディレクションやダビングなどの作業をします」と説明した上で、「今回はコロナ禍でのアフレコだったので全員揃って頭から録ることができませんでしたし、キャスト皆さんが多忙で日程を組むのも難しかったですね。音響制作の方と、決まった枠の中でどうやっていくか、特にキサラギ・ルナルゥ・クルスは一緒に収録したいとか、順録り(台本の順番通りに収録すること)するとか、気をつけましたね」と慎重に進めたことを明かした。一番のこだわりは「最終的な出音の圧」。「大きい音は丁寧に出すと気持ちいいのですが、一歩間違えると不快な音になってしまう。アクションもセリフも多い中で、きちんとアクション・シーンとして見られるような音の作り方や重ね方を意識しました」と話した。
そしてここからは、観客とのティーチインを開催。「キサラギのサイボーグ・アクションの方針はどう進めましたか? ショットガンをリロードするシーンが何度もありましたが、そこに込めた思いは?」という質問が寄せられると、谷口監督は「アクションに関しては、腕を変形させて有線にしようと思ったのが軸でした。決してスパイダーマンにはなってしまわないように気をつけながら(笑)、腕を盾にするアクションには面白さを感じましたね。ショットガンについては、“弾は有限である”ということを印象づけたかった。弾をリロード(再装填)する間に敵が迫ってきてしまうのか、みたいなことがアクションでは大事だと思っているので」と回答。そのほかにも、東京が分断されている“クラスタ”という設定についてや、キサラギの義手のギミックや素材についてなど、鑑賞したからこそ聞きたい細かなポイントが挙がり、会場全体で盛り上がる時間となった。
最後には、谷口監督から「いろいろな方々の協力もあって撮ることができた映画です。このご時世、オリジナルでこのような切り口の作品を撮らせていただく機会はなかなかないので、許可をいただいた製作委員会の皆さん、そして応援してくださっている観客の皆さんに感謝を述べさせてください」とメッセージを寄せ、大きな拍手に包まれるなかイベントを締めくくった。
登壇者:谷口悟朗監督、名倉 靖(音響監督)、橋本裕之(アニメーション監督)、塩田周三(ポリゴン・ピクチュアズ代表取締役)
公開表記
配給:ギャガ
全国上映中