主演に橋本 愛、出演に仲野太賀、木竜麻生を迎えた、山本英監督最新作『熱のあとに』が新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほかにて全国公開中。
2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件にインスパイアされ、見るものを翻弄する愛の物語を創り上げたのは、東京藝術大学大学院で諏訪敦彦、黒沢 清らに師事した新鋭・山本 英。本作が満を持しての商業デビュー作となった。愛するあまり人を殺めかけた過去を持つ主人公・沙苗を演じるのは、今作が約5年ぶりの主演映画となる橋本 愛。大きく振れる感情を見事に体現し、これまでに見せたことのない表情で見る者を圧倒する。沙苗を過去ごと受け入れ結婚するも、彼女の衝動的な言動に翻弄される夫・健太を仲野太賀、物語の鍵となる隣人・足立を木竜麻生が演じ、実力派俳優陣が唯一無二の物語に命を吹き込む。自らが信じる愛を躊躇なく振りかざす沙苗を、あなたは受け入れることができるか――。愛の概念が覆る衝撃作となっている。
この度、公開を記念して、2月3日(土)に橋本 愛、仲野太賀、木竜麻生、山本英監督が登壇する公開記念舞台挨拶が実施された!
ついに公開を迎えた本作への思いや、作品の見どころを思う存分語った。
映画を観終わったばかりの観客の温かい拍手に迎えられながら、主演の橋本 愛を始め、仲野太賀、木竜麻生、山本監督が登壇。約5年ぶりの映画主演となる橋本は、愛したホストを刺し殺そうとした過去を持つ沙苗を熱演。「沙苗の愛に対して理解するのに時間がかかった」というが「準備をする中で沙苗の愛こそ本物だと思えた瞬間があった。沙苗の目線に立つと周りのほうが狂っているように見えて、自分の中で狂気と正気が逆転したかのような現象が起きたのが面白かった。沙苗を演じたことで自分自身の視野と世界が広がった気がしました」とキャラクターの価値観に没入して撮影に臨んだという。
沙苗の壮絶な過去を受け入れて結婚する健太を演じた仲野。台本を読んだ感想を聞かれると「キャラクターそれぞれが持っている愛の価値観が三者三様で、それぞれどの立場に立ってみても、その愛が彼らにとっては正しいんだと思えるくらい愛の解像度が高かった。人間の多面的な愛の形が面白くて、脚本を読んでいてグングン引き込まれた」と絶賛していた。
沙苗と健太の前に突然現れる”謎めいた隣人”足立を演じた木竜。猟銃を扱うシーンもあることから狩猟見学をしたそうで「監督と二人で鹿を運びました。足立はこのようなものに触れてきた人なんだと役を掴むうえで得たものも多かった」と貴重な経験を報告した。
これが商業映画監督デビューとなる山本監督。「昨日から無事に映画が公開されて、本当の意味で映画が完成しました。年齢や性別問わず、いろいろな方に観てもらえる映画になったのかなと思います。公開されるまでどんな風に受け取ってもらえるのかドキドキしていましたが、実際に作品を観てもらったお客様のお顔を見ることが出来て今はとても嬉しいです」と満席の会場を見まわしていた。
ヘヴィなトーンの物語だが、撮影中の橋本は「私は自分という本体が壊れると表現の精度が下がってしまうので、撮影中は健康的で快活に。精神的にギリギリのシーンもあったけれど、みんなの温かさに救われました。私のままでいさせてもらった幸せな現場でした」と平常心をキープ。キャスト陣の仲の良さもその一助になったようで、仲野が「みんなくっついていましたよね?」と言い出すと、木竜は「え!? 一定の距離は取っていましたよ!」とツッコみ、橋本も「ソーシャルディスタンス!」とノリを見せて、仲野も「心ね! 心はくっついていました!」と大笑いで表現を訂正していた。
撮影オフの日にはキャストとスタッフを交えてボーリング大会をしたらしい。橋本が「(橋本・仲野・木竜)3人でボーリングに行ったけれど、みんなスコアがザコ過ぎた(笑)。60、55くらいでした。太賀はカーブをかけるとか言って球に指を入れない。それでガーター!」と爆笑回想すると、木竜も「まれにみる泥試合! 何が楽しくてやっているんだと思うほど」と大笑い。仲野も「大盛り上がりの大接戦! 目も当てられない下手さだった」とはしゃいでいた。
そんな思い出話に花を咲かせるキャスト陣を横目に、山本監督は「僕は誘われていない……」とポツリ。これに木竜は「誘っていないことに深い意味はありません! 行きましょう!」と約束し、仲野は「スタッフとキャストが仲良すぎて、こういう話をすると『え? 誘われてない!』というスタッフが続出する」と明かし、橋本は「みんなやきもちを焼いてくれている」とワン・チーム感を喜び「映画を観た後にみんなで集まって座談会をしたい!」と提案していた。
最後に山本監督は「この映画では分かりあえないことを描いているけれど、この映画を通して僕が考えていたのはどこかで誰かと分かりあいたいということでした。そんなメッセージが観客の皆さんに届いたら嬉しい」と期待。主演の橋本は「この映画の内容を聞いたときに、これは演じるべきではないのではないか?この映画を作っていいのか?と思って悩んだ部分も大きくて、誰かを傷つけてしまうかもしれないし、誰かの命を預かるような作品になるのではないかとも思いました。それでもこれは私の罪として最後まで責任を持ってやり遂げようと決めました。公開後に何が起ころうとも、受けて立とうという気持ちです」と覚悟を口にし「誰かのことを分かりたい、誰かのことを守りたいと思って出発した映画です。この作品の誠実さが観客の皆さんに伝われば嬉しいです」と呼び掛け、舞台挨拶は和やかな雰囲気で終了した。
登壇者:橋本 愛、仲野太賀、木竜麻生、山本英監督
公開表記
配給:ビターズ・エンド
新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほかにて、絶賛上映中!
(オフィシャル素材提供)