ナイツ・塙宣之が漫才協会の改革を目指し、奔走しながら初めて監督をつとめたドキュメンタリー映画『漫才協会 THE MOVIE ~舞台の上の懲りない面々~』が3月1日(金)より角川シネマ有楽町ほか全国公開となる。
この度、2月6日(火)に角川シネマ有楽町にて完成披露プレミア上映会舞台挨拶が開催された。ナイツと高田文夫が本作の撮影秘話や漫才協会に関するエピソードなど普段は聞けないトークを繰り広げ、『漫才協会 THE MOVIE ~舞台の上の懲りない面々~』について語り尽くす機会となった。さらにイベント中には、映画完成を記念し、サプライズゲストとして松本明子が登壇した。
前日の大雪から一夜明け、道路の端にも残雪が見られるような状況ではあったが、この日の会場はほぼ満員。そんな熱気あふれる会場を見渡した塙監督は「この映画は2年ぐらい前に映画の企画が生まれまして。約2年かけて完成した映画でございます。本当に素晴らしい作品ができたんじゃないかと思いますので、ぜひ皆さんも再生回数を伸ばしていただいて~」とあいさつ。すかさず土屋が「YouTubeじゃないんでね、これは。まだ映画だって分かってなかったんですか?」とツッコむと、明るい笑い声が会場に響き渡った。
そしてあらためて漫才協会常務理事であり、本作でナレーションを担当する土屋が挨拶。「われわれの所属する漫才協会という組合が映画として形になって。しかもこんなにたくさんのマスコミの方が取材に来てくださっているのがドッキリじゃないか、というぐらいに信じられないんですが、今日この日を迎えられたことが本当に感無量でございます」と晴れやかな顔を見せるも、塙監督に「できれば今日は(ナレーションを担当する)小泉今日子さんの方に来てもらいたかったんですけどね」とちゃちゃを入れられてしまい、会場は笑いに包まれた。
そして漫才協会外部理事であり、本作では題字とお目付役を務める高田は、「よくできましたね」と映画の完成をねぎらうと、「彼らは常にドキュメントの目を持って生きてますから。すごいですよ」と語ると、「わたしは心の中で、日本のマイケル・ムーアと呼んでましたから。本当に尊敬していますよ。出ちゃいけない人ばかり映ってますから」と塙監督の手腕を称賛。それを受けた塙監督も「特に今回は漫才協会の中でもインパクトがある人ばかり集めていますんで」と自負してみせた。
本作の見どころとして、「舞台にすら出てこない師匠が出てくるんです。それがすごい。テレビでも舞台でも見られない、映画だけでしか見られない方なんです」と明かした土屋に、塙監督も「協会に会費だけは払ってるけど、舞台には立ったことがない方なので。本当に生息しているかどうかも含めて、わたしが会いに行きました」と説明。高田も「彼が住むアパートに、うちのマイケル・ムーアが突撃していくわけだから。これは本当にすごい。というか、1時間40分、ほとんど全部が貴重な映像だけどね」とうれしそうに解説してみせた。
その後もギリギリかつ、ちょっぴり危険な時事ネタをところどころで織り込みながら映画の見どころを次々と紹介し続ける3人。「これ以上ネタバレしたら見るところなくなりますね」(塙監督)、「もうこれ以上映画を観なくていいですから。帰ってください!」(高田)と笑い合うなど、終始会場は大盛り上がり。塙監督も「やはり漫才協会のことがよく分からない人もいらっしゃると思うので。協会の歴史とかを補足して。普段見られない師匠たちが、裏ではこういうことをやっているとか、そういうことを描いている。そして何より一番描きたかったのは、漫才協会の舞台って、生活ができるほどお金がもらえているわけではないんですが、それなのになんで舞台に立ち続けているのか、というテーマ。そこは見ていただきたい」と本作に込めた思いを語ると、高田も「なんで板の上にこだわるか、ということだな」と深くうなずいてみせた。
そしてこの日は、映画の完成を祝福するために「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」でもおなじみの松本明子がサプライズゲストとして来場。「どうもこんにちは、(キョンキョンではなく)キャンキャンです」とボケてみせた松本に会場は大笑い。そして完成した映画について「毎日忙しい塙さんが、本当に漫才協会のために力を注いでるんだな、というのを痛感しましたし、東洋館や、漫才協会の歴史や文化をこの映画で勉強することができましたし、何と言っても諸先輩方が毎日パワフルに元気に、一生懸命舞台に立つ姿を見てると、本当にわれわれも頑張らなきゃいけないなと、この映画を観て感じました。本当に素晴らしい映画ありがとうございました」と語るなど、本作に感じることも多かったようだ。
そんな松本は、と“ある先輩”から手紙を預かってきたという。そこで司会者にその手紙を渡し、朗読してもらうこととなった。「塙へ」という書き出しから始まったその手紙には、「今は元気な時と、元気がない時と、毎日身体が変わって、漫才をする約束ができなくて申し訳ねえ。漫才協会もずいぶん若返った。会長も塙に託した。みんな頑張れるだろう。塙も大丈夫だろう、『大阪』に負けてはいけない。みんなで一生懸命勉強してくれ。また舞台に立つまで、俺も頑張るよ。ゲロゲーロ」と記されており、締めくくりとして「名誉会長:青空球児」という署名が記されていた。
先代の漫才協会会長である青空球児からの手紙の言葉をかみしめて聞いていた塙は、「ずっと会長をやっていただいていた方なので。実は僕が会長に就任したのは映画の撮影期間中のこと。もともと僕が副会長だった時から映画はつくりはじめていたんですけど、会長になったことでなおさら責任感も出てきました。球児師匠にも喜んでいただけるよう頑張っていきたいなと思っております」と決意のコメント。
この日は終始、大盛り上がりだった舞台挨拶。最後のコメントを求められた塙監督は「漫才協会には芸人が約200人おりまして。師匠も若手もいっぱいいます。漫才協会は浅草にあるんですが、浅草以外の場所で劇場を、ということを考えてもいいわけです。ただそれでもやはり浅草に出続けるということ自体が、すごいパワー・スポットになっているわけです。そして実は東洋館の舞台も芸人にとってのパワー・スポットなんです。落ち込んだときや、つらいときであっても、芸人がそこの舞台に立つことで元気になっていく。それがこの映画を撮る上で分かったことでもあります。なのでお客さまにも元気になっていただきたいですし、ぜひ劇場に足を運んでいただいて、観ていただきたいなと思います。東洋館という場所に来ると必ず元気になりますので、これから友達を連れてきていただければ」と会場に呼びかけた。
登壇者:ナイツ塙 宣之・土屋伸之、高田文夫、松本明子
公開表記
配給:KADOKAWA
2024年3月1日(金)より角川シネマほか全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)