イベント・舞台挨拶

『Floating Holidays フローティング・ホリデーズ』公開記念舞台挨拶

© CREDEUS / Team Caminari

 映画『Floating Holidays フローティング・ホリデーズ』公開記念舞台挨拶が2月17日(土)、東京・キネカ大森で行われ、ダブル主演の武田航平、小澤真利奈、メガホンをとった増田有美監督が登壇した。

 突然、適応障害と診断された女性が、医療だけでなく、美しい街並みと自然のなか、家族や周りの人々との触れ合いを通じて、少しずつ自分を取り戻していく姿を描く“癒やし系”ハートフル・ストーリー。監督は前作『コロナになりました。』(2022)で、海外映画祭にて数々の賞を受賞し、本作にて長編映画デビューとなった増田有美。制作は大ヒット映画『キングダム』シリーズ、『沈黙の艦隊』などを手がけるクレデウスと、増田監督が所属するクリエイティブ集団・TEAMカミナリが強力タッグを組んだ。

 5分で完売したというチケットを手に入れた満員の観客から温かい拍手で迎え入れられた3人。武田と小澤が挨拶をした後、マイクを手にした増田監督は「監督をしまして、今ここに立てていることにめっちゃ緊張しています。普段は皆さんと同じように生活をしているので、声は震えるし、ちゃんと話せるかどうかなんですけど、よろしくお願いします」と顔をこわばらせると、武田は「裏で『監督しただけなのになんでこんなに緊張しなきゃいけないんだ』って嘆いていたので、普段通りの感じで行きましょう」と場を和ませた。

 それでも、緊張が取れない様子の増田監督を見て、武田は「(普段と)全然違いますよ。(撮影時)小澤さんなんてめちゃくちゃ怒られてるし」と言うと、小澤は「同じでしょ」と突っ込んだが、武田は「俺は怒られてない(笑)」と否定して笑わせ、続けて、武田は「(増田監督は)カメラマンさんとは1日1回ケンカをしていたんですけど、今日はだいぶ緊張されていますね。普段はもっと明るいですよね」と声をかけると、増田監督は「はい……」と床を見つめ、武田は「ヤバい、全然違う(笑)。服装とキャラが合ってませんよ!」と指摘して増田監督の緊張をほぐした。

 改めて、自身の役を演じる上で気をつけたことを聞かれると、会社を休職し療養する姉の部屋に転がり込んでくる奔放な性格の弟・まさゆき役を演じた武田は「とにかく自然体で、増田組は男性はメイク禁止で、髪の毛もボサボサで肌も塗らないし、ドラマや映画ではなかなかないような感じだったので、よりリラックスして臨めたなという印象があります。緊張とかは全然なかったですし、気をつけたこともないですね」と答え、「有美さんがめちゃくちゃ優しくて、『自然のままでいいよ』って言ってくれたので、自然のままでいようかなと普通に過ごしていました」とコメント。これにMCから「髪ボサボサでいいよって言われて、あれだけかっこいいのはすごいですね」と声をかけられると、「ジュノンボーイですから! 38歳になりましたけどジュノンボーイです」と胸を張り、会場の笑いを誘った。

 一方、適応障害と診断される真面目な性格の姉・みか役を演じた小澤は「適応障害と言われると、どうしても病気っぽくじゃないですけど、お芝居したいって感じになってしまうんですけど、有美監督に『自然体でそのままでいい』とおっしゃっていただきまして、役者は監督さんのイメージするものに、いかに近づけるかだと思っているので、監督さんの演出に応えられるよう、ついていったって感じです」と吐露し、事前に適応障害について調べたりしたか質問されると「有美監督に『目線を合わせたいのに合わせられない』とか、食べ方とか体の脱力感とか、撮影の間で全部指導していただいて、全部演出通りやったので、自分が何かを調べて“こういう風に演じたい!”というよりは、監督についていったって感じです」と打ち明けた。

 また、本作を作るにあたって1番大事にしたことを聞かれた増田監督は「姉弟の話なので、2人が姉弟に見えなきゃいけないというのがあったんですけど、16歳のときに『ファイナルファンタジー(Ⅻ)』という作品で共演したと聞いていたので、最初に本読みをするときに、本なんて読まなくていいからそれからの長い期間を2人で話して、家族のような時間を作ってくれってお願いしました」と明かし、小澤は「本読みをするよりも、日常会話をたくさん聞いてくださいって指示があったので、会えていなかった時間の話をしたりしました」と回顧し、武田も「16歳のときは幼馴染の役だったので、その流れで自然体でいられるようにという時間を監督がたくさん作ってくださったので、リラックスして撮影することができましたね」と語った。

 続けて、武田と小澤の現場での雰囲気を聞かれた増田監督は「2人が会話しているところに入っていくと、普通の人たちなんだって。俳優だからって作ってるわけじゃないんだなと思って、すごく上手に私が思っている通りに姉弟をやってくれてすごくよかったなって。」と吐露した。

 これに武田は「男性と女性だと恋人同士に見えちゃうので、そうじゃなくて姉弟に見えないといけないというところで、パーソナルな距離感を気にかけて演出していただいていたんだなと、(本作を)観ると感じますね。撮影しているときは自由にやっていたんですけど、そういうのをTEAMカミナリのスタッフさんとか、制作に携わってくださった方々、あとは自然豊かなうきは市にいると人と人との関係が素直になれるので、よかったかな、と思います」としみじみと語った。
 ここでMCからは、公開初日にうきは市市長様から公開をお祝いする電報を劇場に頂いた報告も。

 さらに、好きなシーンや思い入れのあるシーンを尋ねられると、武田は「見れば見るほど再発見がある映画で、日本人のよさでストレートに物事を突き刺さないというか、この映画は日常会話の中に優しさが溢れていて、“なんでこういうふうに言ったんだろう”って考えるのが面白い映画なので全部見て欲しいんですけど、特にこの2人の掛け合いはシーンごとによって役割が違うので、そこを詳しく見てもらいたいです。2人でちゃんぽんを食べるところとかが見どころかなと思います」とおすすめし、小澤は「2人のシーンは思い入れがたくさんあるんですけど、親戚と会ったときのみかの距離感だったりも全部監督が細かく演出をつけてくださっているので、姉弟との距離感だけじゃなくて、親戚だったりみかの元に訪れる皆さんとの距離感も見ていただけたらなと思います」とコメント。

 そして、増田監督は「私は適応障害という症状が、実は一般的に多くあるということを伝えたくて、適応障害の人は近くで人と対面できなかったり、人が怖くなって目と目を合わせることが難しかったり、そういったところを表現しようと思って、最初からみかちゃんの顔がなかなか出てこなかったり、ずっとアップを使わないで撮った映画なので、そういうところも楽しんでもらえたら嬉しいなと思います」と思いを明かした。

 最後に、小澤は「観るたびに、自分の今の心境だったりで共感できるキャラクターが変わっていく、そんな映画だと思っております。何度でも足を運んでください」とアピールし、武田は「この映画を観ると、1人では生きていけないんだなって思って、その孤独なところから兄弟や仲間、友だちとか関わり合いがある人たちに甘えていいんだなと思えると思います。そういう人たちを大切にできるような気持ちになっていただけたら嬉しいですし、そういう大切な方々にこの映画を知っていただけるように宣伝よろしくお願いいたします」とにっこり。

 増田監督は「お願いがあるんですけど、また平日に来ていただきたいです。その話を真利奈ちゃんと武田くんに話したら、特別な絵葉書を作っておりまして、それにサインをしてくれました。月曜日から来てくださった方々にお渡ししたいと思うので、ぜひ平日にまたいらしてください」とお願いした。

 登壇者:武田航平、小澤真利奈、増田有美監督

公開表記

 配給:ニチホランド
 2月16日(金)より公開中

(オフィシャル素材提供)

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