インタビュー

『一月の声に歓びを刻め』主演・前田敦子&三島有紀子監督インタビュー

Ⓒ bouquet garni films

 『繕い裁つ人』『幼な子われらに生まれ』『Red』など多くの作品を手掛け、国内外で高い評価を受ける三島有紀子監督の長編10作目となる最新作『一月の声に歓びを刻め』が公開中。

 この度、主演を務めた前田敦子と三島有紀子監督のインタビュー映像が解禁された。

 「まっすぐに一緒にやりませんかと言ってくださいました。でもすぐに『はい』と言える役じゃないなと思って。噛み砕く作業を自分の中でやりつつ、(一方で)監督は『待ってます』と変わらずにいてくださったので、飛びついたら監督がスッと連れていってくれるかなという期待も込めて、やっとお受けできました」と恐縮しつつ苦笑する前田。

 「脚本の中に監督の伝えたい気持ちがすごく詰まっていたので、でもセリフで語らないシーンが全体的に多くて。撮影現場に行った時に感じられる余白がたくさんあるだろうな」と脚本を読んでいる時から思っていたという前田だが、現場では「監督がすごい隣りに、目の前にいてくれたので、今回の役は(俳優の)みんなそれぞれすごい助かったと思います。寄り添ってくれる存在がなかったら辛かった」と感謝の気持ちを語ると、三島監督は「(今までも俳優たちに)『近い! 近い!』といつも(嫌がるように)言われる。それくらい(撮影の時は)近くで見ているので(笑)」と告白して笑いを誘った。

 三島監督自身が6歳の時に性被害に遭った実際の現場での撮影について前田は「お芝居だけど、お芝居のようにセリフを言いたくないなという難しい駆け引きがあったかもしれないです。監督だけを意識していました。一緒に(監督と)しゃべっているみたいになれたらいいなと思って。他は見ないようにしていました」と語ると、その撮影現場を思い出したかのように深いため息まじりに「難しかったです……」と目を潤ませながら当時の心境を打ち明けた。

 凍てつく北海道・洞爺湖や、雄大な海と大地に吹き荒ぶ強風の八丈島、エネルギッシュな大阪・堂島で撮り上げた本作。完成した本編を観た前田は「冒頭からふわっと広い世界に入っていく感じが気持ちいいなと思って。(主人公たちが)罪の意識を抱えていても、どんどん積み重なって重たくなっていくわけではなくて、みんなが少しずつ何かを解放していくのを(自分も)一緒に見ながら、『最後に自分がこういうふうに思えるということはこうなんだ』と自分自身を整理できる、“人生の映画”だなと思いました」と語ると、三島監督は「ふつうは遠く離れた声は聞こえない。だけどどこかの誰かにこの声が届いているのかもしれないと信じて三箇所で撮影した思いがありました」と創作の原点のひとつを教えてくれた。

 それを受けて「何かを植えつけてくるわけでもなくて、こうであるべきだでもなくて、余白をいっぱい作ってくれる心地いい、気持ちいい映画です」と前田が締めくくると、全員が納得の笑顔でインタビューを終えた。

公開表記

 配給:東京テアトル
 テアトル新宿ほか全国公開中

(オフィシャル素材提供)

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました