映画『コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話-』が3月22日(金)に公開する。
『コール・ジェーン』は、女性の選択の権利としての人工妊娠中絶を描いた実話を基にした映画だ。本作に登場する「ジェーン」は実在した団体で、人工妊娠中絶が違法だった1960年代後半から70年代初頭にかけて、推定12,000人を救ったと言われている。しかし、1973年アメリカ連邦最高裁が合法判決を下した「ロー対ウェイド事件(※)」から50年、今、米国では、再び違法とする動きが活発化し、論争が激化している。女性たちが自ら権利を勝ち取った実話を映画化した本作は、映画祭で注目を集め大きな話題となった、今、観るべき社会派エンタテインメント作品である。
(※)1973年アメリカ連邦最高裁が女性の人工妊娠中絶の権利を合法とした歴史的判決
本作のテーマを、シリアスな問題でありながらエンターテインメントに昇華させたのは、ハリウッドを代表するキャスト・制作陣。監督をつとめるのは、『キャロル』(15)で第88回アカデミー賞®脚色賞にノミネートされたフィリス・ナジー。プロデューサーは、『ダラス・バイヤーズクラブ』(15)や本年度賞レースで大注目を集める『バービー』(23)など、多くの世界的ヒット作品を生み出し続けているロビー・ブレナー。エリザベス・バンクスやシガニー・ウィーバーといった、名実ともに世界トップのキャスト陣と共に、女性たちを強く、そして美しく描いた新たな傑作を作りあげた。
女性の権利のために立ち上がった名もなきヒロインたち「ジェーン」と、陰で支えた者たちのキャラクター写真を一挙解禁!
解禁となったのは、本作のヒロインであり、1960年代に実在した「ジェーン」のメンバーと、陰で支えた者たちを映したキャラクター写真。
1968年、アメリカのシカゴで裕福な家庭の主婦として暮らす、ジョイ(エリザベス・バンクス)。弁護士の夫と高校生の娘とともに、何不自由ない暮らしを送るある日、妊娠によって心臓の病気が悪化してしまう。唯一の治療法である中絶手術を受けるため、違法ながらも安全に中絶手術を提供する団体「ジェーン」にたどり着いたジョイは、無事に手術を受け、命を救われる。その後、リーダーであるバージニアに誘われたのをきっかけに、自身と同じ立場の女性を救うため、「ジェーン」の一員として支援活動に没頭していく――。ジョイを演じたエリザベスは、「妊娠が彼女の生命を脅かすものだと知ったとき、ひどく悩むことになります。それと同時に、死なずに子どもを産むことを探る姿に感銘を受け、寄り添いました。そのような状況下で、真面目で堅実な彼女が、ルールを破ることになるのです」と語る。さらに出演の大きな決め手について、「シガニー・ウィーバーです。俳優としてずっと憧れの存在だった。本当に最高の人物で、俳優としても女性としても理想的なお手本です。」と、彼女の出演が大きく影響したとも語る。
そのシガニ―・ウィーバーが演じるのが、「ジェーン」のリーダーであり、創設メンバーでもあるバージニア。「ジェーン」に助けを求めてきたジョイに対して、手術後も体調を気遣う姿を見せる一方、自身の危険を顧みず、マフィアや政治家や警察にも恐れず立ち向かう強さもあわせ持つ。「彼女は苦悩もしているし、自分の体についての決定権が女性にはないという不公平に耐えられない。(活動に対して)法を犯しているという感覚はないと思う。バージニアはそれがいかに偏ったひどいものかを知っているし、ルールを作る人たちがいかに偽善的かも知っている」と、自身が演じた役を通じ、「ジェーン」たちの活動についての尊敬の意を表した。撮影現場の様子については、「みんなでジェーンになった気分。キャストも製作陣もフィリスの元で団結し、最大限のエネルギーと献身的でひたむきな姿勢で、この語られるべき物語を紡いだ」と、監督への信頼と共に、本編で描かれている「ジェーン」さながらのチームワークだったと当時を振り返った。
ジョイの夫であり、弁護士として働くウィル(クリス・メッシーナ)は、一家の主として妻と娘のシャーロットに深い愛情を持つ。家族へ美術講座に通っていると嘘をつきながら「ジェーン」の活動に従事するジョイの様子に、次第に不信感を募らせるウィル。「ジョイを支えたいが、そうすることによって、彼がこれまで築いてきたすべてが危険にさらされる」と話すように、夫としてジョイを助けたいと思う一方、弁護士としてあるべき自分との間で葛藤する難しい役どころを見事に演じている。
「ジェーン」の一員であるグウェン(ウンミ・モサク)は、「ジェーン」に助けを求めてきた女性を安全に保護する役を担う。グループ内唯一の黒人女性であり、差別によって支援が妨害されないよう、誰よりも平等な視点で支援活動に取り組み、時にはリーダーであるバージニアに意見することも恐れない。「グウェンを動かすのは、“選択”と“自由”です。黒人女性として、白人至上主義、男女不平等、資本主義の人種差別的側面に縛られた不公平を理解しているからこそ、懸命に支援しているのです」と、彼女は語る。
ジョイの家の隣に住むラナ(ケイト・マーラ)は、夫を若くして亡くし、娘を一人で育てている。ジョイと自宅のベランダで談笑しながら過ごしたり、支援活動で多忙になるジョイに代わり家事を手伝うなど、ジョイとラナは深い絆で結ばれている。ケイトは本作について「この映画にはシスターフッドが溢れている。彼女たちは肉体的にも、感情的にも、精神的にも試練にさらされていたので、お互いに支え合うしかなかった。ジョイは彼女にとって家族であり、互いを批判することはない。それが故、彼女はジョイが日に日に遠ざかっていることに対し、説明がないことにも傷ついている」とジョイとラナの関係について話す。「ジェーン」の活動を通して変化する二人の友情にも注目だ。
活動当初、助けを求めてきた女性たちに手術を施すのは、ディーン(コリー・マイケル・スミス)ただひとりだった。次第に活動が多忙になり、ジョイはディーンの助手として手術を手伝うようになる。「ジェーン」の活動を陰で支える、彼女たちの姿にも注目だ。
本作について主演のエリザベスは、「ドキュメンタリーのように堅苦しくはない。楽しめる作品にしたいのよ。女性たちのリアルな苦悩と困難に打ち勝つために団結する姿を描いた本作で温かい気持ちになってほしい。中絶がテーマというより、これは女性たちの団結の物語なんです」と熱い想いを語る。
さらに、特別版ビジュアルも解禁となった。「あなたは一人じゃない」「理不尽な時代を戦い抜いた、すべての女性たちを讃える」という言葉からは、選択できない女性を救うために立ち上がった名もなきヒロイン、「ジェーン」たちのパワフルな姿を想像させる。
中絶の手助けによって推定12,000人の女性を救い、“自身の身体について守る権利=女性の選択の自由“を得るため、活動した団体「ジェーン」の実話を描いた本作。歴史を変えた「ジェーン」の活動を巡り様々な視点で描かれる人間模様と、彼女たちの熱く力強い闘いのすべてを、ぜひ劇場で見届けてほしい!
公開表記
配給:プレシディオ
3月22日(金) 全国公開