登壇者:佐津川愛美、竹財輝之助、植原星空、伊礼姫奈、内藤瑛亮監督
『ミスミソウ』『許された子どもたち』の内藤瑛亮監督の最新作『毒娘』(どくむすめ)が4月5日(金)より、新宿バルト9他にて劇場公開中。主演を務めるのは、佐津川愛美。「惡の華」「血の轍」で知られる漫画家・押見修造がキャラクター・デザインを担当。
本作は、2011年にインターネットの匿名掲示板で話題となった、ある新婚家族を襲った実際の出来事をモチーフとしたオリジナル脚本のホーム・パラサイト・ホラー。十代の女の子と新しく家族となる継母の関係を軸に、謎の少女「ちーちゃん」と家族の壮絶の争いを描いた作品で、現在(2024年3月21日時点)「ヤングマガジン」(講談社)で、本作の前日譚となる押見修造の「ちーちゃん」が連載されたことでも話題を集めた。
4月6日(土)に公開記念舞台挨拶付きの上映会が実施され、物語の主軸となる4名の登場人物に扮した佐津川愛美、竹財輝之助、植原星空、伊礼姫奈と内藤瑛亮監督が登壇した。
映画上映後、満員となった会場にゲストとして登壇した佐津川愛美、竹財輝之助、植原星空、伊礼姫奈、内藤瑛亮監督。まず、本作の主演を務めた佐津川が「今日は劇場に足をお運びいただきまして、ありがとうございます。昨日、無事に初日を迎えることができまして、すごくたくさんの方からも『初日おめでとう』と言ってもらえて、感謝しております。そして、今日、皆でこの場に立ててすごく嬉しいです」と映画を観たばかりの観客に挨拶すると、「そして今日は、私の娘・萌花を演じてくれた、植原星空ちゃんが生まれて初めての舞台挨拶ということで、記念となる今日を一緒に過ごせて嬉しく思います」と隣に登壇した植原に、作中さながら、母が娘にそそぐかのような愛情のこもった視線と言葉を送った。
続いて、作中でゲスな父親を演じた竹財が「今日はありがとうございます。僕が演じた父親を見て、少しでも『こういうやつにはなりたくない』って思っていただけたら幸せです。どうぞ今日はよろしくお願いします」と挨拶すると、会場内はどっと笑いが起こり、その後、先述した、今日が初めての舞台挨拶となる植原が「先ほど佐津川さんがおっしゃっていただいた通り、私は今日が初めての舞台挨拶で、緊張しているんですが、ぜひ楽しんでいただけたらなと思います。よろしくお願いいたします」と初々しく挨拶した。続いて、本作で不気味な“ちーちゃん”を演じた伊礼は、「私も緊張しているんですけど、こんなにもたくさんの方々がこの作品を観てくださったんだなってことを今すごく実感できて嬉しいです」と感無量の表情を見せていた。そして、最後に内藤監督が「実は初号試写という完成したものをキャストとスタッフで一緒に観る時に、僕がコロナにかかってしまったので、こうやって今日、健康な体で皆と一緒に舞台に立てて嬉しく思います」と登壇者との久しぶりの再会に喜んでいる様子だった。
挨拶の後、印象に残っている現場での思い出の話になると、佐津川は、本作の着想になったインターネットの匿名掲示板に投稿されていた投稿文(「扉を開けると、うつぶせの娘の上に馬乗りになったKちゃんが笑ってました」)をまさに映像化したシーンの撮影時の話を展開。「あのシーンは、いろいろみんなで細かく動きを確認し合いながら撮影しましたね」と話すと、植原は「あんなにたくさんのケチャップを全身にかけられることは、おそらく今後一生無いと思います」と話し、会場の笑いを誘うと、竹財は「僕は、作中で血まみれになるシーンがあるんですけど、あんなにも一日中、血まみれでいることは一生ないと思います」と話すと、さらに大きな笑いが会場内に響いた。
映画『毒娘』は、新婚家族を襲った実際の出来事をモチーフにした物語。家に帰ったら、見知らぬ子が娘に馬乗りになっているという、まさにトラウマ級の出来事だが、それに関連して、登壇者たち自身が今まで経験したトラウマ級の出来事について話が及ぶと、佐津川はまだ自分が保育園に通っていた時の話を披露。「当時、保育園の催しで、お化け屋敷みたいなものが行われで、先生たちが一生懸命作ってくださったんだと思うんですけど、そこに入って暗い中を手探りで歩いていく中で、急に何かが首元にひっつく感触があったんです。そしたらすぐに次は、その何かが鼻に当たったんです。あの時の何とも言えない感触が今でも残っていて、あの当時は分からなかったんですけど、おそらく、あればこんにゃくを上からつるしていたんだと思います。そのせいで、未だにこんにゃくを調理するときは、息を止めながら切っています」。
その後、劇場での公開を迎え、この作品がどのように拡がっていってほしいのかということについて話が及ぶと、まず佐津川は「こうやって皆さんが観に来てくださったことがとても嬉しいです。そして何より、この作品のスタッフやキャストの皆さんと一緒になって一生懸命、頑張って作ったこの作品に対して皆さんがどのような反応をしてくださるのか。どんな反応を持ってもらえるのか。それを読んだり聞いたりするのが今からすごく楽しみです」と話すと、続いて内藤監督は「僕は、撮影現場で脚本に書かれている以上のことが起きたり、俳優の皆さんに演じてもらえることがすごく嬉しいんです。例えば、佐津川さん演じる萩乃が(物語の後半に)『私の体だから』って言ったところで画面が暗くなるんですけど、あれは本当に偶然、太陽が雲に隠れて撮れたシーンなんです。そして、それがとても彼女の心情とリンクしていて、まさに奇跡的に撮れたショットだったんです。その他にも、台本には竹財さん演じる父親が“プリン一気に食べる”って書いただけなんんですけど、まさかあんなにも劇中で早く食べてしまったり、“ちーちゃん”と萌花が、作中で、指で×マークを作るんですけど、あれは脚本にはなく、現場で生まれたものだったんです。この映画は、本当に現場で俳優の皆さんから教えられたり、発見できたものがたくさんあった作品で、皆が一緒になって素晴らしい映画にしてくれたと思っています。多くの方にこの映画が伝われば嬉しいなと思います。どうもありがとうございました」と撮影当時を振り返り、作品に込めた想いを話した。
舞台挨拶の最後には、4月7日(土)に誕生日を迎える竹財に佐津川から映画のイメージカラーでもある赤の花束が贈られた。花束を受け取った竹財は「僕は“年”は記号でしかないと思ってるんですが、年々、身体的には年を感じてしまっています。足がつったりね」と照れ臭そうに話し、終始笑いが絶えない舞台挨拶を締めくくった。
公開表記
配給:クロックワークス
2024年4月5日(金)より、新宿バルト9ほか全国公開中
(オフィシャル素材提供)