イベント・舞台挨拶

『祝日』初日舞台挨拶

Ⓒ「祝日」製作委員会

 登壇者:中川聖菜、岩井堂聖子、芹澤興人、中島侑香、伊林侑香監督

 本年5月に開催された横浜国際映画祭にてプレミア上映され、5月10日からの先行上映(富山県の4館)で、ミニシアターランキングの4位に入るなど、話題の日本映画『祝日』(しゅくじつ)が、5月17日(金)より、シネマート新宿ほかで全国公開された。
 本作は、2022年公開『幻の蛍』でデビューを果たした映画監督・伊林侑香と、第33回フジテレビヤングシナリオ大賞で佳作を受賞した伊吹一氏が再タッグを組んだオリジナル作品。普通に生きることが難しい世界で「生きる」という、人生の課題を脚本にしたためた渾身の作品となっている。
 キャスティングは富山県在住の新人俳優・中川聖菜(なかがわせいな)を主演に抜てき。岩井堂聖子(いわいどうせいこ)、芹澤興人(せりざわたてと)、中島侑香(なかじまゆうか)、西村まさ彦ら、実力派の俳優陣が脇を固める。
 撮影には『幻の蛍』に参加したスタッフが多数再集結し、全編オール富山ロケを敢行した。生きることを諦めかけた少女の人生最期の一日に、数奇な人々との出会いで変わってゆく主人公をあたたかみのある映像で描く本作にご注目いただきたい。
 この度、公開初日の5月17日(金)に、シネマート新宿でキャスト・監督が登壇する初日舞台挨拶を実施した。

 大勢の観客が集まったこの日、舞台に立った中川は「初の主演映画がこのような場所で舞台挨拶ができること、すごくうれしく思います」と緊張気味な表情で挨拶。そして本作が生まれた経緯について伊林監督が「デビュー作は『幻の蛍』という映画になりますが、その作品の編集中に今回の企画ができました。2年前はコロナ禍が明ける少し前くらいで、世の中というか、皆さんの気持ちも、未来もちょっと暗いような雰囲気で。どこか光を差すような作品をつくれないかということで、この企画が生まれました」と明かした。
 主人公を演じるのは、富山県在住の新人俳優・中川聖菜。200人以上からオーディションで選ばれた。「選ばれた時はとてもビックリしました。ですが、一生懸命頑張ろうと意気込んだのを覚えています」と中川が振り返ると、伊林監督も「中川さんは、お芝居を見た時から、はかない雰囲気だったり、魅力的なお芝居が上手で。引き込まれるというか、目で追いかけてしまうようなお芝居が上手だったので、今回も暗い過去を持つ、奈良希穂役にピッタリだと思い、お願いしました」と明かした。
 彼女は撮影当時、13歳。そんな中川と共演し、その芝居を間近で見ていたという岩井堂は、「実は監督のデビュー作でもあります『幻の蛍』に出演させていただいていて。その時に聖菜ちゃんと同じシーンがあって。その時は身長も小さかったのに、気づいたら追い越されてしまいました」と笑いながらも、「でも監督が目で追うような女優さんとおっしゃっていましたが、主人公の持つはかなさ、繊細な部分を大事にしていているなというのをわたしも感じていて。初主演だなんて思えないような、堂々としたたたずまいでした。学ぶことがたくさんありました」と中川との共演を述懐。中川も「はじめてのことばかりで緊張もしていたんですけど、岩井堂さんからたくさんのことを教わって勉強になりました」と笑顔。
 そんな中川の返事に「なんか言わせちゃったような感じですね」と笑った岩井堂は、中川との現場の様子について「現場では楽しくお話をしていました。最初は緊張しているのかなという感じはありましたが、カメラの前に立つとそんなそぶりはまったくなくて。しっかりと希穂ちゃんという役柄を、聖菜ちゃんがしっかりと捉えてやっていて。彼女自身が役になりきって。毎日、役として日記を書いていたと聞いた時は、そうなんだとグッときました。絶対に一緒に頑張って、成功させたいなと思いました」と報告。その日記をつかった役づくりに関する意図について伊林監督は「前作(『幻の蛍』)でも、(主演の野岸紅ノ葉に)役になりきって日記を書くということをしていただいて。今回も天使と会う『祝日』の日を撮影初日に設定して。カウントダウンのようにして日記を書いていただいてたので、余計入りやすかったという感じがあったのではないでしょうか」と尋ねると、中川も「はい!」と笑顔で返した。
 本作で岩井堂が演じているのは、天使。「皆さんが天使と聞いてイメージするのとは違う、変わった天使をやってまして。わたし自身、台本を読んで難しそうだなと思いました。ですから本当に細かいところを監督とその都度、相談させていただいて。監督や皆さんと共有している天使の裏設定みたいなことをいろいろと決めて。それはネタバレになるので多くは言えないのですが、それをみんなでシェアして、という感じで。たくさん相談しました。なので、監督と一緒につくってもらったなと思いました」とその役づくりについて明かした。
 一方、芹澤演じるのは喪服が脱げなくなったアフロさん。この役について「これはどこまで言っていいのか分からないですが、喪服を脱げなくなっているということで。自責の念というか、過去に脱げない理由があって。心が壊れちゃうというところまでいった男だと思いますけど、逆を返せば、喪服を脱がないでいたからこそ、心が壊れないでいられたんだなと。そういうことを思いながらやっていましたね」と役づくりについて解説。映画初出演を果たした中川についても「映画を背負うのってなかなかプレッシャーがあって。映画が楽しいというところから始まっても、どこかで踏ん張らないといけない瞬間もあると思いますけど、でも本当に頑張っていました。すてきでした」とねぎらってみせると、「ありがとうございます!」と中川。そんなやり取りに会場も温かな雰囲気に包まれた。
 そして中島が演じるのは“忘れられない人がいるカフェの店員”という役柄。「映画に出てくるシーンとしてはそんなにないですが、ダンスを踊るシーンがありまして。それが社交ダンスなんですよ。しかもひとりで踊ると書いてあって。このシーン、どうなるんだろうと思いながら、撮影現場に行ったことを思い出します。はじめての社交ダンスを踊って、不思議な空気になりましたね」と振り返った中島だったが、「希穂ちゃん(中川)はカットがかかった途端に爆笑していて。そういうのも覚えてます」と明かして、会場を笑顔に。さらに西村まさ彦との共演についても「オーラがすごかった」と振り返った中島は、「初日にしっかり挨拶をして。(役者としての心得などを)たくさん盗んでいきたいぞと思って。おはようございますと近づいて。まだ映画の撮影が2回目くらいの時だったので『役者ってどうしたら演技が上手になるんですか』と思い切って聞いたら、『それはもう、相手の人がいるなら、相手の人に任せちゃえばいいんだよ。自分ですべての責任を負わなくていいんだよ』と言われて。その時はちょうど役に対していろいろと考えすぎていた時だったので、それで心が楽になりました」と述懐。そして中島から明かされた名優からの金言を聞き、中川も深くうなずいていた。
 本作の撮影は伊林監督の故郷でもある富山県で行われ、その自然豊かな美しい風景が印象的に映し出される。その理由について伊林監督が「富山県射水市を中心に撮影をしたんですけど、日本のベニスと言われている内川はいろんな作品のロケ地に使用されているんですが、いかにして違う魅力を引き出すか、『祝日』に寄り添うようなきれいな景色として映し出せるかということは、意識してやらせていただきました。各シーンも、ポストカードにできるくらいに、きれいな画作りをしたいというのは前作もそうですし、今作でも強い気持ちをもって取り組みました」と明かすと、同じく富山出身の中川も「故郷で撮影というのは本当にうれしくて。はじめての主演映画で富山で撮影できたのは本当にうれしかった」と笑顔をみせた。
 そして最後のコメントを求められた伊林監督は、「この作品は2年前に制作させていただいて。2年前からこの作品の信じる力、いろいろな思いを込めた作品になっています。その思いを俳優の皆さん、脚本家の伊吹(一氏)さん、富山の皆さん、応援サポーター、そして製作委員会、たくさんの力がひとつになって、この作品が生まれました。この作品を大きな劇場で観ていただけることをうれしく思いますし、今日からたくさんの方に届けばと思っています」とメッセージを送った。

公開表記

 配給:ラビットハウス
 全国順次公開中

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