登壇者:村上祥子(演劇ライター)
司会:河合祥一郎(東京大学)
5/24(金)からTOHOシネマズ 日本橋ほかで公開になるアンドリュー・スコット主演のNTLive『ワーニャ』のトークイベント付き先行上映が5/18(土)に開催された。本年度ローレンス・オリヴィエ賞プレイ部門リバイバル賞を受賞し、人気俳優アンドリュー・スコットの一人芝居という話題作なこともあり、会場は満席になった。トークイベントには、英国演劇に詳しい演劇ライターの村上祥子氏をゲストスピーカーに迎え、司会進行を東京大学・河合祥一郎先生が務めた。
アンドリュー・スコットは本作でローレンス・オリヴィエ賞の主演男優賞にノミネートされ、英国業界誌からも高い評価を得た。下馬評でも最優秀主演男優賞の最有力だったこともあり、8人ものキャラクターを一人で演じ切る彼の演技は必見レベルの作品となっている。
村上祥子氏によると「8人の登場人物を演じ分ける時に、もっとくっきりと声音を変えたり、分かりやすくすることもできたと思いますが、キャラクターごとに演じ方をとても繊細に変えています。表情一つ、または少し振り返っただけで人物が変わっている。なので、この『ワーニャ』をNTライブで観るのは大正解ですね。劇場の遠くの席から観ると、そこまでの表情の違いには気づけなかったかもしれません」。そして、「アンドリュー・スコットは元々、モノローグがとても上手い俳優で、サイモン・スティーヴンスとは過去に何回か舞台を一緒に手掛けています。初めて一緒に取り組んだのは2008年上演の『Sea Wall』ですが、それも30分の一人舞台でした。『語らせたくなる俳優』なのでしょう」など、アンドリューの魅力を具体的な情報とあわせて教えてくれた。
また、チェーホフの作品を一人芝居に仕立てるということについては、本作の翻案のサイモン・スティーヴンスの戯曲を読んだ村上氏によると、なんと、戯曲は一人芝居を前提に書かれていなかったとの情報も。
村上氏が彼らのインタビューで知った限りでは、サイモン・スティーヴンスは当初、普通に複数のキャストが出る想定で翻案をしていたようだ。そして、翻案・演出・主演の3人が揃った本の読み合わせのタイミングで、たまたまアンドリュー・スコットがいくつかの役柄を演じてみた時に、「これはよいのでは」という話になり、次々と役柄を増やすうちに「一人で演じてみたらどうか」という流れになったというエピソードがあるという。これについて村上氏は「どこまでが本当か疑いたくなるようなエピソードですが、翻案を読む限り、一人芝居とは結びつきませんでした」と語っていた。
本作のイギリス上演時には絶賛のレビューが大多数だったものの、アンドリューが8人を演じ分けるうえに、原作と人物名が異なっていることから、鑑賞時に混乱するという意見も出ていたようで、この劇場公開での鑑賞時にはできるだけ混乱を減らすために、東京大学・河合祥一郎先生が登場人物の相関図を作成した。相関図は以下のとおり。(※全く何も情報がない真っ新な状態で鑑賞されたい方は、本情報は無視していただきたい。)
5/24(金)には公開記念トークイベントがある。東京以外でも神奈川、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡でも公開が始まるので、ぜひ映画館でお楽しみいただきたい。
公開記念トークイベント
日時:5/24(金)18時30分〜 トークイベント後に本編上映
場所:TOHOシネマズ 日本橋
登壇者:東京大学教授・楯岡求美先生/映像翻訳家・柏木しょうこ氏
トピック(予定):
・原作「ワーニャ」について/これまで上演されてきた『ワーニャ伯父さん』について/今回の演出版の興味深い点について、など
座席販売スケジュール: 5/22(水)0時〜(=5/21(火)24時〜)
販売サイト)TOHOシネマズ日本橋 劇場HPにて販売
公開劇場
5/24(金)〜
東京:TOHOシネマズ日本橋/シネ・リーブル池袋
神奈川:TOHOシネマズららぽーと横浜
愛知:TOHOシネマズ 赤池
兵庫:シネ・リーブル神戸
京都:アップリンク京都
大阪:大阪ステーションシティシネマ
福岡:キノシネマ天神
チケット完売した公演をライブ撮影した『ワーニャ』は、2024年に映画館のみで上演される。
鑑賞料:一般3000円、学生2500円(要・学生証の提示)、障害者2500円
レビュー
・アンドリュー・スコットの一人芝居の演技はベスト・オブ・ザ・イヤーだ(iNews)
・マスタークラス!(Evening Standard)
・文句なしに最高の演劇(Broadway World)
・アンドリューに魅了される(Telegraph)
・素晴らしい(Independent)
ナショナル・シアター・ライブ(NTLive)とは
舞台の本場、英国のナショナル・シアターが英国で上演された話題の舞台を厳選し、世界の映画館で上映する企画。こだわりの撮影技術により、舞台上の空気感と鮮度はそのままに、臨場感あふれる映像でスクリーンへお届けされる。感情の揺らぎをとらえるクローズアップから、趣向を凝らした美術セットを隈なく楽しめる舞台のワイドショットまで、NTLiveなら映画館のお客様の誰もが現地の劇場のベスト・シートでご鑑賞いただく観劇体験が可能だ。
公開表記
配給:カルチャヴィル
5/24(金)より全国公開
(オフィシャル素材提供)