登壇者:『卍 リバース』 鈴木志遠、門間 航、中﨑絵梨奈、田中珠里
『痴人の愛 リバース』桝田幸希、林 裕太
宝来忠昭監督
映画『卍 リバース』『痴人の愛 リバース』は、明治、大正、昭和と3つの時代を生きた、近代日本を代表する文豪・谷崎潤一郎の不朽の名作を、現在を舞台にして“男女逆転”にアレンジし映画化した挑戦的な作品。
5月24日(金)よりシネマート新宿、池袋シネマ・ロサにて2作品とも同日全国公開がスタートした。
公開翌日の5月25日(土)、東京・シネマート新宿にて、『卍 リバース』から鈴木志遠、門間 航、中﨑絵梨奈、田中珠里、『痴人の愛 リバース』から桝田幸希、林 裕太、そして2作品を監督した宝来忠昭が登壇する公開記念舞台挨拶が実施された。
同2作品を映画化した経緯を聞かれた宝来監督は「『卍』とか『痴人の愛』が大好きで、やりたいなとずっと思っていたんですけど、何度も映像化されてきている作品なので、今回やるとなったときに、どういうアプローチがいいか探っていたら、プロデューサーとの話の中で“男女逆転”という提案を受けて『なるほど』と思いました。設定を現代にしようと決めていたので“男女逆転”のほうが馴染みがいいというか、いろいろなことが表現しやすくなるかなと思ったのが最初でした」と説明し、「(2作品の原作が)大好きと言いながら逆なんですけど、今回においてはあまり文芸作品というのを意識しないと言ったら変ですけど、原作を読まれていない方にもきちんと伝わる作品を目指したいなと思い、それもあって“男女逆転”が効くといいなと思って制作しました」と語った。
また、同役のオファーを受けた際の心境や、役作りについて聞かれると、『卍 リバース』で園田孝太郎役を演じた鈴木は「脱サラして美術学校に通って、(門間が演じる)光という青年に出会って人生が変わっていくという役柄で、台本を見たときは難しいなという第一印象だったんですけど、現場に入ったら宝来監督をはじめ、皆さん優しくて、コミュニケーションを取りつつどんどん自分の役柄が掴めていったかなと思います」とにっこり。
宇佐美光役を演じた門間は「光は物語を動かしていく役どころで、光がいなかったら園田と(中崎が演じる園田の妻)弥生はハッピーに過ごしたと思うんですけど、役作りをするにあたって監督と“カリスマ性”というキーワードをもとにやっていて、園田の弥生にとってどうやったら光が魅力的に見えるかというのを意識しながら演じました」と打ち明け、「脚本を読んで感じたのは、オバケとか幽霊じゃないんですけど、光に人間じゃないような空気感や怖さを感じたので、そういうことを意識しながら演じていました」とコメント。物語を動かしていく役どころを演じた感想を求められると「自分の性格もあるんですけど、引っ張っていくようなタイプではないので大変でした。でも『卍』という有名な作品をやる上で、そういう役を任せていただいてやり甲斐になりました」と目を輝かせた。
そして、弥生役を演じた中崎は「弥生は4人の中で1番普通に生きてきて、モラルとかを大切にしてきたけど、光や夫によってある日突然、堕ちていくみたいなものを演じながら、明日は我が身というか、自分もこうなり得るんだろうなという恐怖も感じつつ、愛という美しさみたいなものも感じながら演じていました」と回顧し、表現する中で難しかったことについては「今まで溜めていたものが爆発する瞬間があるんですけど、爆発はするけど自分の理性も保たないといけないという葛藤みたいなものを表現するのは難しかったなと思います」と吐露した。
綿貫香織役を演じた田中は「私は3人をじわじわと追い詰めていく役だったんですけど、演じていくにつれてだんだんと悲しくなっていきました。最終的には間違った道を自ら選んでしまうんですけど、ただ単純に光を愛していただけで、思いがうまく伝わらないことはよくあると思いますし、言葉の間違いとか(間違った)行動って日常においてよくあるのかなと思って、セリフにもある『誰にも負けないくらい愛してる』という言葉も本当に好きじゃないと伝えられないと思うので、香織役を演じて改めて愛の重みを知りましたね」としみじみと語り、天真爛漫の中に怖さが潜んでいる役どころだそうで「、大袈裟にリアクションをしたり、めっちゃ笑顔だったり、そういうのは意識して演じましたね」と明かした。
さらに、『痴人の愛 リバース』で教師のなおみ役を演じた桝田は「10年以上前に『痴人の愛』は読んだことがあって、同じタイミングで宝来さんとも出会っていて、10年以上経って2つが一気にきた瞬間に“これは運命だ!”と思って、なおみを演じたいと思ってお話を受けたことを覚えています」と振り返り、撮影現場での思い出については「ずっと(林と)2人なんですよ(笑)。大変ではあったんですけど、毎日、刺激的で、あと(林の)脚がきれいで、本番中に何回か見惚れちゃいました(笑)」と告白して会場の笑いを誘った。
そして、年下と男・ゆずる役を演じた林も『痴人の愛』の原作を読んだことがあったそうで「役者をやっていると、小説とかを読むときに“この役は僕にできるかな”って考えたりするんですけど、『痴人の愛』に関しては(男女)逆転してないですから(僕にできると)思わなかったので、普通に小説として楽しんで読んでいたんですけど、まさか逆転して自分に当てはまる役がくるとは思っていなかったので、それはびっくりしましたし、僕はオーディションで選んでもらえたんですけど、すごく嬉しかったですね」と声を弾ませた。
なお、林をオーディションで選んだ際、脚のきれいさは決め手になったか尋ねられた宝来監督は「実は見てないです。きれいであることを願うしかなかったです」と答えて観客を笑わせ、「そのあとに恐る恐る見せてもらって、“おっ、きれいじゃん”って感じでした」と安堵。これに林も「自分で言うものなんですが、結構きれいでびっくりしました」とコメントして会場を沸かせた。
続けて、撮影現場での様子を聞かれると、林は「インの前からリハーサルをやっていたので、ある程度どう動いてお芝居をしていくというのは固まっていたので、そこに関してはお互いに信用しながらも、僕の場合は現場で思いつくことをバンバン監督に提案させていただいて、それも受け止めていただいていたので、短い時間で話しながらどんどん撮っていくという作業は楽しかったですね」と振り返り、桝田は「なおみのベッドがあるんですけど、そこでゴロゴロしていて、セットではあるんですけど1番自分がくつろぐ場所だと決めて、私物とかも置いていたんですけど、何かがあるとみんなそこに集まってきたので、自分の家に遊びにきてもらった感覚ですごく幸せな時間でしたし、そのベッドにきたみんなも素に戻っていて“いいな”って思いながら過ごしておりました」と笑顔を見せた。
最後に、メッセージを求められると、『卍 リバース』主演の鈴木は「同性愛だったり不倫とか、現代ではあまりない作品だと思います。この4人が入り乱れていく姿をぜひご覧になってください」とおすすめし、痴人の愛 リバース』主演の桝田は「『痴人の愛』といえば原作の中で有名な“脚を舐めるシーン”があるんですけど、果たしてこの映画で脚を舐めるシーンがあるのかを探してもらって、究極のマゾヒズムを堪能していただければなと思います」とアピールした。
公開表記
配給:アルバトロス・フィルム
シネマート新宿、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開中!
(オフィシャル素材提供)