『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、数々の傑作を世に送り出し続けてきた名匠ヴィム・ヴェンダース。彼が長年リスペクトしてやまない役所広司を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた『PERFECT DAYS』は、TOHOシネマズ シャンテをメイン館として全国公開し、興行収入は13億円、動員は90万人を突破した。公開から5ヵ月が経ち、ロングランを記録している。
ヴィム・ヴェンダースが、日本の公共トイレのなかに small sanctuaries of peace and dignity(平穏と高貴さをあわせもった、ささやかで神聖な場所)を見出し、清掃員の平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追いながら紡いた本作は、第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したことを皮切りに、第50回テルライド映画祭、第48回トロント国際映画祭、第71回サンセバスチャン映画祭、第60回台北金馬映画祭と名だたる映画祭に招待された。日本国内では36回東京国際映画祭オープニング作品として大きな話題になり、日本アカデミー賞(優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞)、キネマ旬報ベスト・テン(日本映画監督賞、主演男優賞)を受賞。米国アカデミー賞®では国際長編映画賞・日本代表としてノミネートされた。
第77回カンヌ国際映画祭プレゼンターとして役所広司が登壇!
『PERFECT DAYS』をめぐる旅路を振り返る
この度、5月25日(現地時間)に行われた授賞式にて、第77回カンヌ国際映画祭の最優秀女優賞プレゼンターとして壇上に登場した役所。昨年の同映画祭でワールドプレミア上映され、最優秀男優賞を受賞したことから始まった、『PERFECT DAYS』のこれまでの軌跡を振り返るように「この1年、映画とともにいろいろな国をまわって“映画の力”というものを実感しました。映画は国境や価値観を越えて私たちを強く結び付けてくれます。未来と過去も繋いでくれます。そして映画は、他人の痛みを感じる心を育ててくれます。そんな映画の力を私たちは高め、そして伝え続けなくてはいけません」と語った。
役所広司 コメント
ちょうど一年前、ここカンヌで男優賞をいただき、それから『PERFECT DAYS』という映画とともに、たくさんの国へ旅をしてきました。
ヴィム・ヴェンダース監督の日本への愛はとても深く、彼を通して日本を知り、興味をもってくださった方も多くいらっしゃいました。
この1年は、日本の素晴らしさを伝えていく時間だったようにも思います。
それぞれの国の観客の皆さんとの交流で、あらためて「映画の力」の素晴らしさを実感しました。
それは国境を越え、価値観を超え、私たちを結びつけてくれます。
映画は、他人の痛みを感じる心を育ててくれるものだと思います。
この力を必要とするひとが、世界にはたくさんいます。
私たちは連帯し、高めあって、そして伝え続けなくてはいけません。
映画も今、たくさんの問題を抱えています。
でも映画のもつ美しい力を信じる心がある限り、きっと乗り越えられると私は信じています。
この1年の素晴らしい旅がはじまりの場所、カンヌでひとつのゴールを迎えることがとても嬉しく、そして寂しくもあります。
次へ、前へ、皆さんと進んでいけたらと思います。
公開表記
配給:ビターズ・エンド
絶賛上映中!
(オフィシャル素材提供)