『岸辺の旅』で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門・監督賞を受賞、『スパイの妻』で第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞するなど、世界から高い評価を得る巨匠・黒沢 清。最新作にして自身「これまでのキャリアの中で最高傑作ができた」と語るセルフ・リメイク作品『蛇の道』が、日仏共同製作により完全版“リベンジ・サスペンス”として誕生した。主人公・新島小夜子を演じるのは、多くの話題作に出演する日本を代表する俳優・柴咲コウ。全編フランス・ロケ、フランス語という撮影に挑み、他人の復讐に協力する謎に包まれた精神科医という難しい役どころを見事に演じきる。殺された娘の復讐に燃える男・アルベール役に、主演作品『レ・ミゼラブル』(19)ほか多くの作品で活躍するダミアン・ボナール。パリで精神科医として働く小夜子の元に通う患者・吉村役には、『クリーピー 偽りの隣人』(16)など多数の黒沢監督作品に出演、国内外で注目される俳優・西島秀俊、小夜子の夫・宗一郎役には、昨年劇場公開された『ゴジラ-1.0』でも重要な役どころを好演するなど、映画やドラマで活躍する青木崇高。また、『007 慰めの報酬』(08)で悪役ドミニク・グリーンを演じ、黒沢監督作品『ダゲレオタイプの女』(16)などの注目作に出演、映画監督としても評価を受けるマチュー・アマルリックや、グレゴワール・コランなどフランスを代表する俳優が脇を固め、巨匠・黒沢 清のもとに日仏の豪華俳優陣が集結した。
何者かによって8歳の愛娘を殺された男、アルベール・バシュレ(ダミアン・ボナール)。偶然出会った精神科医の新島小夜子(柴咲コウ)の協力を得て、犯人を突き止め復讐することを生きがいに、殺意を燃やす。“誰に、なぜ、娘は殺されたのか”。とある財団の関係者たちを2人で拉致していく中で、次第に明らかになっていく真相。“必ずこの手で犯人に報いを─” <徹底的復讐>、その先に待つ真実とは――。
世界が認めた映画監督・黒沢 清
プロデューサーも痺れた!国境を越えた奇跡の撮影エピソードとは
今回解禁となったメイキング映像は、アルベールと小夜子が事件に関与する財団の関係者を拉致するシーンの撮影風景を収めたもの。冒頭、柴咲とダミアンは英語でコミュニケーションを交わし、段取りを確認する様子が伺える。人が入っていると思わしき袋を引きずりながら、二人が草原を駆け抜けていくワン・シーンはオリジナル版を想起させるが、舞台がフランスに変わったことによりスケールアップし、天候も相まってより不気味な雰囲気を醸し出している。また、草木が茂る森の中では、黒沢監督自ら走って見せ、追手役の役者に指示する場面も。
朝から晩まで過酷なロケが行われることも少なくない映画制作において、黒沢監督の撮影現場は、しっかりとしたスケジュール管理のもと、俳優やスタッフの働きやすい環境が整っていることで知られている。黒沢監督の中に明確な画があるからこそ、スピーディーに進行するのである。舞台をフランスに移してもそのスタイルは変わらず、俳優にそのシーンの動きだけを説明し、細かい心情や芝居に関する演出をしないのもいつも通りだ。言語や文化の違いはあれども、日本と同じように和やかな現場であったことが、本映像からも見て取れるが、撮影中にある奇跡的瞬間があったと小寺プロデューサーはいう。「黒沢監督が日本語で指示を出すと、通訳を介していないのに、助監督が『分かった』と指示通りのことをすることがあって(笑)。監督は『言葉が通じなくても、分かる人はいるんですよ』と。あの瞬間は人間の繋がりの強さを感じました」と。名立たる映画人たちからリスペクトされ世界中が注目する黒沢監督の最新作に、期待あれ!
公開表記
配給:KADOKAWA
6月14日(金) 全国劇場公開
(オフィシャル素材提供)