作品紹介

『デビルクイーン』

イントロダクション

 ギャング、同性愛者、ドラァグ・クイーン、娼婦など、軍事独裁政権下のブラジルで最も疎外された⼈々を、強烈なサウンドと極彩⾊の美術、暴⼒とクィアネスを融合して描いた本作は、1974年にカンヌ国際映画祭出品されると瞬く間に観客を魅了、ブラジルを代表する新聞「O GLOBO」によると「ラテンアメリカのファスビンダー」と評され、カルト的⼈気を博した。
 その後も熱狂的ファンに愛されながらも、⻑きに渡って世界的上映の機会に恵まれていなかったが、制作から50年の節⽬の2023年に奇跡の4Kレストアを果たした。同年のベルリン国際映画祭で上映されると「アシッドロックの旋律に乗って殺し合うスコセッシ的モンタージュ」「⾊彩あふれる陶酔的なカーニバル」と絶賛され、⾎なまぐさいギャング映画とキャンプなエッセンスの融合が若者を中⼼に⽀持を集め再び映画祭を沸きあがらせた。

 ある時は恐怖で組織を⽀配するギャングのボスとして、またある時はスウィートな⼥王として狂気とチャーミングさを⾒事に同居させたデビルクイーンを怪演したのはブラジルの伝説的俳優ミルトン・ゴンサルヴェス。シネマ・ノーヴォとボサノヴァのミューズのひとりであるオデッチ・ララがキャバレー・シンガーとして出演している。
 監督のアントニオ・カルロス・ダ・フォントウラは『Copacabana Me Engana』(68)で劇映画デビュー、ブラジルのサイケロックバンド・ムタンチスやシンガーのガル・コスタなどトロピカリア・ムーヴメントを代表するアーティストたちのドキュメンタリーなども⼿がけている。
 ブラジル映画史の中で最も抑圧的だった時代の検閲をくぐり抜け、世界中の映画祭で観客を熱狂の渦に巻き込むも、⽇本では知られざる存在だった異端にして伝説のクィア・ギャング映画が50年の時を経てついに本邦初公開となる。

ストーリー

 デビルクイーンと呼ばれるその⼈は、ヴィヴィッドな⾊のアイシャドウを塗ったまぶたから鋭く光る視線でリオデジャネイロの裏社会を⽀配している。部下のギャングたちに恐怖を、⾃分の王国の“ドールズ”にキャンディをバラまき、愛⽤のジャックナイフで脚をシェーブし、裏切り者を切り裂く。
 ある⽇、ハンサムなお気に⼊りが警察に追われていることを知ると、スケープゴートとしてキャバレーシンガー・イザのヒモ、世間知らずのべレコを巻き込むが、事態は思わぬ⽅向に動きはじめ……。

 (原題:A RAINHA DIABA、1973年、ブラジル、上映時間:100分)

キャスト&スタッフ

 監督・脚本:アントニオ・カルロス・ダ・フォントウラ
 撮影:ジョゼ・メデイロス
 編集:ラファエル・フスト・ヴァルヴェルヂ
 美術・⾐装:アンジェロ・ヂ・アキーノ
 ⾳楽:ギリェルメ・マガリャンイス・ヴァス
 メイクアップ:カルロス・プリエト
 プロデューサー:ロベルト・ファリアス、アントニオ・カルロス・ダ・フォントウラ
 出演:ミルトン・ゴンサルヴェス、オデッチ・ララ、ステパン・ネルセシアン、ネルソン・シャヴィエルほか

ギャラリー

予告編

オフィシャル・サイト(外部サイト)

映画「デビルクイーン」公式サイト
1973年ブラジル、軍事独裁政権下に誕生した伝説のクィア・ギャング映画、8/10(土)日本初公開。

 公式X(旧Twitter): @devilqueenjp

公開表記

 配給:ALFAZBET
 8月10日(土)、 シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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