登壇者:杉咲 花、萩原利久、豊原功補、安田 顕、原 廣利監督
「孤狼の血」、「佐方貞人」、「合理的にあり得ない」など数々のシリーズが映像化されている、大藪春彦賞作家の柚月裕子の小説「朽ちないサクラ」(徳間文庫)が、主演・杉咲 花にて実写映画化し、6月21日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他全国にて劇場公開した。
この度、本作の公開記念舞台挨拶に主演の杉咲 花、共演の萩原利久、豊原功補、安田 顕、そして、本作のメガホンをとった原 廣利監督が登壇した。昨年3月、満開の桜のもとオールロケで撮影が行われた、撮影現場でのとっておきの秘話や、本作にまつわるエピソードトークをたっぷりと語った!
映画上映後、映画の衝撃的な展開を目の当たりにし、騒然とした様子の会場内。そんな熱気あふれる会場の様子を目の当たりにした杉咲は「上映前と上映の後だと、空気が違うなと思って。映画が皆さんに届いたんだなというのを実感しています」と挨拶。続いて萩原が満席の客席を見渡しながら「午前中からたくさんの方にお集まりいただいてうれしいです」と晴れやかな顔で呼びかけた。
映画は前日の6月21日に初日を迎えたばかり。映画の反響について尋ねられた杉咲は「うれしいですね。でも緊張もしています。皆さんの口コミが気になって、調べています」と笑顔。安田も「映画というのは、公開されてお客さまに観ていただくというのがひとつの結果なので。そこにたどり着くまでには、企画、脚本、撮影、編集とたくさんの方が参加していて。そういう方の思いが結実しているような、そういうのを含めて、今日われわれは立たせていただいているんだなと思います」と続けた。
本作の撮影の日々を「粛々と静かに熱を帯びているような現場でした」と振り返った杉咲。しかしそんな中でも部下役の杉咲とは、YouTubeでストレッチの動画を見ているという話をしたり、一緒に食事をしたりとコミュニケーションをとっていたというが、「ご飯を食べている時はケラケラ笑ってくれて。いい子だなと思っていたんですけど、初日になったらいきなり黙っちゃうんですよ」と語る安田に、思わず笑いながら「そういうシーンなんです(笑)」と返した杉咲。和気あいあいとした様子のふたりに対して、豊原はちょっぴりさみしそうな様子で「僕は普通にしていました。現場で気軽に話しかけられる器量がなかったんで。今、ふたりが食事に行ったという話を聞いて、もっと話しかければ良かったなと後悔しています。僕はコンビニでピーナツを買って。ウイスキーを飲んでました」と告白し、会場は大笑いとなった。
劇中では「同期」の設定となった安田と豊原だが、そんなふたりの“イケオジ”ぶりも話題となっている。そんなふたりの姿は原作者の柚月裕子からも「渋いカッコ良さがにじみ出ている」と絶賛されるほどの魅力を放っていたが、安田自身は「こういう作品ですから緊張感がありましたし、豊原さんはキャリアにおいても大先輩ですから。はじめてご一緒させていただいて光栄でしたし、正直、緊張感がありました。ここのふたりのシーンの会話はめちゃくちゃピリピリしてるんで緊張しました」と述懐。さらに役に合わせて、「僕としては髪の毛を後退させようと思って。少し(生え際を)そることにしました。まあそらなくても年相応には見えたとは思うんですけどね」と笑いながら明かした。なお原監督がふたりの演出で心がけたことは「やはりふたりとも声がセクシーというか。低いトーンなので、そこは生かしたいというのは意識した」という。
一方の萩原は「僕は逆に皆さんほど事件の中心にいるわけではないので。まわりがうわさ話をしているシーンとか。ゆるいわけではないけど、比較的張り詰めた感じのシーンでもなかった。だからもしかしたら現場の雰囲気は違うかも」と切り出すと、「ちょうどあの瞬間にWBCがやってて。食堂みたいなところをお借りして、お昼休憩とかもみんなでテレビでWBCを見ていました。すごかったですね」と振り返った。原監督は「でも(萩原は)ずっとバスケの話ばかりで。WBCの話には入ってこなかった」と笑いながらも、「3人(杉咲、安田、豊原)のシーンが緊迫感があったので、(萩原)利久くんのシーンには癒やされました」と笑顔をみせた。
親友のことを疑ってしまったことから“取り返しのつかないこと”に後悔の念を抱くことになる主人公の姿を描き出した本作。そこで「失敗したこと」について質問されたキャスト陣。まずは杉咲が「コーヒーを水筒に入れたら、パッキンを付け忘れてしまい、財布がコーヒーを全部吸い取ってしまった」という失敗話を披露。さらに萩原の「最近、サッカーの大きな大会が行われていて、毎朝4時に起きる生活をしていたんですけど、前日に10時から始まる試合も見てから寝たら見事に起きられなくて。それがよりによって今日で。マネジャーの電話で起きました。あぶなかった」という話から、話の流れはキャスト陣の“寝坊へのざんげ”大会へ。
続く豊原も「今日の舞台挨拶が緊張するなと思って、お酒を飲んだんです。そしたら思わず寝てしまって。起きたのが夜中の1時半とか2時ごろ。そこから眠れなくなった。それだけ今日の舞台挨拶にかけていたということ。映画って撮影から公開まで1年くらいかかるので、やはり多くのお客さんに観てもらいたい。初日が終わって口コミを見たら“杉咲 花、無双状態”と書いてある。それが我がことのように嬉しくて。今日の舞台挨拶で何を聞かれるのかなとか、いろいろと考えておりました」と明かした。そしてそれに触発された安田も、10年ほど前の過去の撮影での寝坊にまつわる失敗エピソードを明かし、「そういう大きな失敗を経験すればするほど人間は大きくなっていきますから。ここ最近の寝坊・遅刻なんてのは“数えるほどしか”しておりません」と冗談めかして会場を大いに笑わせた。
原監督といえば本作だけではなく、現在大ヒット公開中の映画『帰ってきた あぶない刑事』でもメガホンをとっている。そんな縁から昭和、平成、令和と3つの時代をまたにかけて活躍する最強バディ、タカとユージこと、同作主演の舘ひろし、柴田恭兵からサプライズメッセージが司会者より読み上げられた。突然のメッセージに杉咲をはじめとしたキャスト陣、そして原監督もビックリ! (※メッセージ全文は本文のあとに)
そんなふたりからのメッセージを聞いた原監督も「本当に嬉しいです。泣きそうです。皆さんとつくったものが垣根を越えて、こうやって観ていただけるというのはすごく光栄なこと。本当にやって良かったなと思います」と感激した様子。さらに杉咲が「こんなことってあるんだなと。でもそれは監督のお人柄だったり、積み重ねてきたものが作品を越えたところでつながったんだなと思い、感動しました」と語ると、安田も「映画をご覧になっていただけたのもうれしいですし、こうやってお手紙をいただけるというのも、原さんのキャリアもあるでしょうね」と会場を盛り上げた。
そして最後に杉咲が「この映画の中で、サクラというのは公安を意味すると描かれています。気になって調べてみたら、桜には、“精神美”という花言葉があるそうです。物語のなかで、取り返しのつかないことに向き合った時に出てくる精神の強さだったり、人間味があぶりだされていく泉という人のことを考えずにはいられませんでした。人は失敗する生き物だと思うんですが、その失敗に向き合う姿を他者は見ていると思うし、新しい境地にいけることもあるんじゃないかなとも思います。泉がした選択をどう見つめたのか、皆さんに教えてほしいです。今日は観に来てくださってありがとうございました」と会場に呼びかけた。
メッセージ全文
舘ひろし
ひとりの人間としての正義と警察組織としての大義。
杉咲 花さん演じる主人公・泉の勇気、まっすぐな眼差しが素晴らしかった。
混沌とした時代だからこそ、正義を貫くことの大切さを改めて感じることができました。
原監督とご一緒した『帰ってきたあぶない刑事』とは、同じ刑事モノでも、真逆の世界観。
共通するのは、映画に登場する刑事たちの魅力を存分に引き出す素晴らしい演出力。
手に汗握る映像展開に、原監督の映画作りの力を感じました。
柴田恭兵
『朽ちないサクラ』公開おめでとうございます。
「あぶ刑事」の次に手掛けられた作品が、またも警察が舞台の、しかもミステリーとのこと。
『帰ってきた あぶない刑事』のようにアドリブ満載ではないでしょうね。
間違っても、ハーレーとショットガンで事件を解決しないように、と願います。
原監督なら、『帰ってきた』の時と同じように、スタッフみんなと「いい作品撮るぞ」という空気を作り上げて、これからも素敵な映画を生み出していくと思います。
また、どこかでお会いしましょう。
公開表記
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
全国にて絶賛公開中!
(オフィシャル素材提供)