イベント・舞台挨拶

『つゆのあとさき』初日舞台挨拶(上映後)

©2024BBB

 登壇者:高橋ユキノ、西野凪沙、吉田伶香、山嵜晋平監督
 スペシャルゲスト:佐々木チワワ

 作家・永井荷風による原作をコロナ禍の現代に置き換えて超訳した映画『つゆのあとさき』がついに公開。
 6月22日(土)には公開記念初日舞台挨拶が実施され、出演者の高橋ユキノ、西野凪沙、吉田伶香、山嵜晋平監督、歌舞伎町系ライターの佐々木チワワが登壇した。

 満席の会場を前に主演の高橋は「ご来場ありがとうございます!」と万感の思いで挨拶。コロナ禍にパパ活をしている女性に話を聞いたことが本作製作のきっかけという山嵜監督は「それと同時期に永井荷風の『つゆのあとさき』を読んでいて、時代が回って似た空気感になったという実感を持った」と永井荷風の原作をベースにした理由を明かした。

 一方、歌舞伎町の社会学を研究している佐々木は本作について「パパ活女子の描写がリアル。全員実際に見たことがあると思った。女性側も男性側もどこで働いてどれくらい稼いでいるのか予想できるくらいキャラ立ちして面白かった」と絶賛。しかも担当ホストと一緒に本作を鑑賞したそうで「買ってる側と観たのでヤバい空気になりました。歌舞伎町を舞台にした笑えるエンタメ作品は数あるけれど、この作品はマジで沈黙するくらいのリアルな映画だった」と実感を込めていた。

 また佐々木は出会い喫茶という特殊な場について「女の子はスカウトという存在がいることで、街を歩いているだけで牛肉みたいに等級をつけられる。それが強制的に引き出されて交渉の場として提供されているのが出会い喫茶」と分析し「この映画を通してその感覚を追体験して欲しい」と呼び掛けた。

 脚本を読んだ印象について高橋は「物語として面白くて一気に読んだ。すぐにやりたいと思ったし、届ける必要性がある映画だと感じた」とし「パパ活を題材にしているけれど、街と人が密接に描かれている。琴音がこの街をどのような景色として見て歩いているのか? その眼差しを大切にしながら演じました」と役作りを明かした。

 西野も脚本を読んだ印象について「コロナを経て閉塞感が膨らんでいる中、人と人が繋がることで生み出される可能性や希望もあると思った」と明かし「三重県出身だとか方言が混じるとか、実際の私を役に寄せてもらえた。役作りというよりも、自分がこうだったらどうだろうか?と考えながらその場にいようとしました」と撮影を振り返った。

 吉田は「脚本を読んだ時に自分が普段生きている世界とは真逆だと思ったけれど、知ろうとしなければ気づけない世界もあると思った。演じる上では知らなかったものを知って自分の中に取り込んでいきました」と話した。

 そんな吉田から「一番ヤバかったホストは?」と聞かれた佐々木。「いろいろな意味でヤバいホストもたくさんいるので……」と怖いことを言いながら「うちのおかんとおとんとご飯を食べてくれたホストは一番ヤバかったかな? 家族ぐるみで固められております」と苦笑い。「ホストは等価交換がより見えるからこそ、女の子側も求めるものが大きくなって、結果的に事件に発展するものもある」と解説した。

 また撮影時の思い出話になると、西野は道玄坂でのワン・カット長回しシーンをピックアップ。「一発撮りを10回くらいやりました。しかも音声だけ録ってカメラが付いてこない時もあって、そこからカメラに出合うまでの時間も印象的。ほかの人とかぶるとダメなので(高橋と)二人で歩き方を微調整した」と舞台裏を紹介すると、高橋も「道玄坂で人とかぶらず歩くなんて難しい! でも(西野とは)友情が芽生えました」と苦労した様子。これに山嵜監督は「編集で一部切ってしまってすみません……」と平謝りだった。

 最後に主演の高橋は、自ら本作のチラシを劇場で配っていることに触れて「映画館を出入りする人はもちろん、街行く人にチラシを渡したいという気持ちがあります。パパ活する女性たちはきっといろいろな街にいて、そんな彼女たちと普段接点がないような人にも『つゆのあとさき』が交わることない他者に想いを馳せる時間になればいいと思います。映画を普段見ないような方々にも届いていったらいいなと思います」と呼び掛けていた。

公開表記

 配給:BBB
 ユーロスペースほか全国順次公開中

(オフィシャル素材提供)

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