登壇者:深町友里恵、加藤雅也、大後寿々花、西尾聖玄、山崎静代、グ スーヨン監督
2024年6月29日(土)、渋谷ユーロスペースにて、映画『幽霊はわがままな夢を見る』の初日舞台挨拶が開催された。
下関を舞台に、夢破れたヒロインが地元のラジオ局で怪談「耳なし芳一」をモチーフにしたラジオ・ドラマ制作に挑む姿を描いた本作。
グ スーヨン監督をはじめ、主演の深町友里恵、加藤雅也、大後寿々花、西尾聖玄、山崎静代ら豪華キャスト陣が登壇し、映画にかける熱い思いを語るとともに、地方での映画制作の意義や、作品に込められたメッセージ、さらには撮影中の裏話などが明かされ、会場は終始温かい雰囲気に包まれた。
初日舞台挨拶では満員の観客を前に、グ スーヨン監督は「(僕の見た目の)印象が悪いので伝わらないかもしれませんが、めちゃくちゃ感動しております」と喜びを露わにした。
主演の深町友里恵は「東京での初日を迎えられて、こんなに多くの方に来ていただけてとても嬉しいです」と笑顔を見せ、本作のきっかけを作った加藤雅也は「地方にはいろんな景色があって、いろんな人が住んでて、みんなの思い出の場所をフィルムに収めるのも映画の役目」と、地方での映画制作への熱い思いを語った。
大後寿々花は「主人公のユリちゃんの幼馴染役を演じさせていただきました。今日はよろしくお願いいたします」と挨拶。
西尾聖玄は「まさか新人の僕がこの舞台に立たせていただけるとは」とそれぞれ感謝の言葉を述べ、山崎静代は「(加藤さん演じるラジオ局を経営するユリの父・昌治に)圧力をかけた大きい女、山崎静代です」と会場の笑いを誘った。
グ スーヨン監督は、主演・深町友里恵が女優を目指して20歳くらいに都会に出てきて、なかなか思うようにはいかないという悔しさや、いろんなことを悩んでいた実体験から着想を得たこと、また、「耳なし芳一」で描かれている理不尽と不条理のようなものを描きたかったと明かした。
深町は、役柄について「怒りすぎたかな」と振り返りつつも、大御所・加藤雅也からのアドバイスに助けられたと感謝の言葉を述べた。加藤は深町について「地元だから楽だったでしょ? プレッシャーはあった?」と問いかけ、深町は「(地元で撮影することで)日常と撮影の区別がつかなくなった」と笑顔で答えた。大後寿々花は、演じたお菊の役について「ボソボソして、何考えてるか分からない女の子」と表現し、ラジオ・ドラマでの朗読シーンとの演じ分けについて語った。
地元・下関への感謝の気持ちとメッセージを語る深町友里恵は次のように語った。「下関で撮影をして、エンドロールにも(下関の名所や地元の方々のお名前が)数多く流れたんですけども、本当にたくさんの人たちが応援してくださって、今、東京で公開できて、地元の温かさだったりとか、この役を通してもですが、もう一歩前進して、もうひと踏ん張り頑張ってみようかなって思う私のきっかけになったので、ぜひこの作品を今日見て、何か感じたりしてくれたら嬉しいです」。
加藤雅也は、地方ロケ映画ではなく「下関映画」と位置づけ、地方の人々と共に映画を作る意義を強調。「子どもの頃に映画撮影を見た子どもたちが、将来映画界に入ろうと思ってもらえたら」と、地方発の映画が持つ可能性に期待を寄せた。さらに、「下関映画第2弾、第3弾を作っていかないと意味がない」と、継続的な取り組みへの意欲を示した。
グ スーヨン監督は、自身の映画を「物語を追うのではなく、一枚の絵や写真を見るように感じてほしい」と独特の表現で説明。観客それぞれが自由に解釈し、想像力を膨らませることを促した。また、下関の人々の協力に感謝し、「団結力がある」と称賛した。舞台挨拶では、キャスト陣の地元愛、地方映画への情熱、そして観客に新たな映画体験を提供したいという思いがひしひしと伝わってきた。
『幽霊はわがままな夢を見る』は渋谷ユーロスペースほか全国公開中。
公開表記
配給:cinepos
全国公開中
(オフィシャル素材提供)