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映画「GEMNIBUS vol.1」『ファーストライン』舞台挨拶

Ⓒ2024 TOHO CO., LTD.

 登壇者:角野隼斗(音楽)、ちな(監督)

 ついに6月28日(金)に待望の劇場公開を迎えた「GEMNIBUS vol.1」は、若き才能たちの熱量あふれる作品に期待を膨らませた観客たちが続々と足を運び、満員御礼の回も続出! 公開期間中・驚異の14日間連続舞台挨拶を絶賛実施中のなか、7月2日(火)には、“音も楽しむ”新感覚アニメーション映画『ファーストライン』より、音楽を担当した角野隼斗、ちな監督の2名が登場。溢れんばかりの拍手に包まれるなか、本作のプロデューサーであり本イベントのMCを務める今井翔大が「以前から角野さんを知っていた方はどのくらいいらっしゃいますか?」と客席に呼びかけると満場一致で手が挙がる壮観な光景に、照れた様子も見せながら角野は「逆に知らなかった方を知りたいですね(笑)」と呟き笑いを誘った。そんなアットホームな雰囲気のなかイベントはスタート。
 角野は本作で初めて劇伴を担当。オファーを受けた理由を聞かれると、実は今井プロデューサーとは小学生時代からの友人であることを発表しつつ「以前(今井と)会った時に面白いことをやりたいと何度も言っていたことを覚えていて。“音で遊びたい”と。あとは、クリエイターに焦点を当てた話が結構好きで、自分に重ね合わせてしまうというのがあるのかもしれないです。なのでこれはぜひやりたいなと思いました」と回想。それに対しちな監督は「音楽を誰にするか決める際に、面白いことをしてくれる人、映像よりも面白い音楽を作れる人。となった時に『角野さんはどうですか?』と今井さんに言われて。ぜひお願いします!と頼んだらコンタクトをとってくれて。めちゃくちゃ夢が広がったなと思いました」とキッカケを回顧した。

 今回のイベントのトークテーマは“角野隼斗と考える映画音楽について”。デモの制作背景について聞かれると角野は「ちな監督とお会いして、細かいイメージを伺っていたので方向性はすごく見い出しやすかったです。アニメーションの中で鳴っている効果音が音楽の一部にもなっているのでそれらが全て一体化しているようなイメージを持ちながら作りました」と説明。また、初めて角野によるデモを聴いた時についてちな監督は「音楽発注の際に絵コンテを見ていただいたんですが、映画って作品がどういうふうにお客さんに届くか(という点で)はすごく音楽が大事だと思っていて、この作品は角野さんのこの音でやっていくんだというワクワク感と覚悟みたいなものが出てきて、絵もより一層このデモに勝ちに行こうという気持ちが沸いてきました」と振り返った。

 2人のトークが続くなか、レコーディング方法について聞かれると角野は「全編グランドピアノをメインで使用しつつ、持参したトイピアノと組み合わせながら作っていきました。ちな監督にも立ち会ってもらいました」。ちな監督は「劇中の音楽効果は実際に角野さんがピアノを弾かれているんですが、それに対してのディレクションを即興的な感じでやり取りさせていただいて。あの瞬間は本当にこの映画を作っているのすごく楽しいなと思いましたね」と目を輝かせた。また、“映画音楽とはどういうものだと思われますか?”という難解な質問に対し角野は「僕が普段コンサートでやるような音楽とは違うものになるとは思うんですが、映画の効果をより引き立てる存在に音楽を持ってこれたのがすごく楽しかったです」と感想も交えながら回答。

 今後どのような映像作品に携わりたいかを聞かれると、ちな監督は「今回この『ファーストライン』という作品で、映画の中で原画をパラパラめくるシーンに角野さんの音楽演出を当てはめてもらったんですが、あの仕掛けを生みだせたことが良くできてるいるなと自分でも思っていて。音と絵の動きが合わさってできる表現で、これは映画にしかできないことだと思うし、このギミック自体も映画の面白さが詰まったものなので、それらを1本目の作品で組み込めたことはよかったです。面白いものづくりをこれからもしたいです」と力を込めた。

 イベントも大いに盛り上がるなか、客席からの質問タイムに突入。最初の質問は、劇中で無音になるシーンについて、その演出の意図を問うもの。ちな監督は「デモをいただいたときに、角野さんが音を入れてこない箇所があったんですが、それは角野さんの演出でもあり。『どこかで無音を活かした演出をしたい』というのを最初にオーダーを出していてそれを組んでもらったものだったのかな」と振り返る。角野も「主人公が成長していくたびに音が高くなって、盛り上がっているのを演出している。ボスにダメ出しを喰らっているシーンはそのときの状況を無音によって表していました」と補足した。

 続いて、アニメーションに音をのせていく際に気をつけていたこと・意識していたことはなにかという質問について角野は「映像に合わせすぎないという視点もあるのかなと思っていて。それは久石 譲さんが『君たちはどう生きるか』のインタビューで仰っていたんですけど。『映像と音楽が一体化しすぎると印象が薄まることがある』と書かれていたのをなるほどなと思い、一定の距離を置いていました。音楽が映像には寄り添うんですけど、決して映像を追い越さないように。と思っていました」とこだわりを明かした。

 最後の質問は、絵コンテだけで曲を作る際にどういうふうにイメージを膨らませたのか、というもの。角野は「最初は割と俯瞰してみていたんですけども、ストーリーは分かるように作っていただいてたので想像が難しいところはそんなになかったです」と天才らしくきっぱり回答。

 イベントも終盤、惜しまれながらも一言ずつ挨拶を求められると角野は「こんな素晴らしい作品に音楽として関わることができたことを本当に嬉しく思います。ちな監督ありがとうございます! また何かやれたらいいですね」とラブコール。するとちな監督も「ぜひやりましょう!」と呼応しつつ、「初監督作品なのでいろいろとドキドキしながら皆さんがどう観ていただいたのかな?とも思っているんですけども、この作品で角野さんと出会えて、角野さんの音楽と一緒にこの物語をだすことができて本当に嬉しいですし、今日に限らずこの後も(上映が)一週間以上あるので、何度もご覧いただきたい。サウンドトラックも素晴らしいのでぜひ聴いてください。ありがとうございました!」と締めくくった。

「GEMNIBUS」企画概要

 “東宝”が新たに手掛ける才能支援プロジェクト!
 新進気鋭クリエイター4名による新時代の映画、限定公開を見逃すな!
 GEMSTONE Creative Labelは、東宝株式会社の若手社員たちが立ち上げた挑戦的なコンテンツ制作レーベル。フォーマット、メディア、そして実績の有無を問わず、クリエイターの皆様が自由に才能を発揮できる場を提供する才能支援プロジェクトです。そして、その第一弾劇場公開作品となるのが、『GEMNIBUS vol.1』。4人の新進気鋭な監督たちによって創り出された短編オムニバス映画です。

作品情報

タイトル「GEMNIBUS vol.1」

 監督:上西琢也/平瀬遼太郎/ちな/本木真武太
 テーマソング:Vaundy「常熱」(SDR)
 製作:GEMSTONE Creative Label
 配給:TOHO NEXT

各作品情報

1.『ゴジラVSメガロ』

 脚本・監督・VFX:上西琢也
 撮影監督:柴田晃宏
 編曲:半田 翼
 出演:岡本弥歩/阿座上洋平
 制作プロダクション:白組、東海制作

作品概要
 全世界1,070万回再生を超える『ゴジラVSガイガンレクス』待望の続編として昨年YouTubeで公開され、早くも470万回再生となるショートフィルム『ゴジラVSメガロ』。日本のトップCGクリエイター・上西琢也の手により現代に蘇った守護神メガロが、<シネマティック・バージョン>としてより精緻かつ迫真の映像となってスクリーンに登場! 映像だけでなく、5.1ch音響によってさらにパワーアップしたメガロとゴジラの闘いが、日本にふたたび厄災をもたらす……!

2.『knot』

 脚本・監督:平瀬遼太郎 
 音楽:森いづみ
 出演:三浦貴大、SUMIRE、柊木陽太、川原瑛都、杢代和人、田村健太郎、徳橋みのり、野波麻帆、金子ノブアキ、滝藤賢一
 制作プロダクション:AOI Pro.

作品概要
 ほぼ全編スマホ内で完結する縦型ホラー映画「娯楽」でTikTok TOHO Film Festival 2022にてサードアイ賞を受賞した平瀬遼太郎が、親と子の血縁の結び(knot)をスタイリッシュな映像で描くサイコ・スリラー。絵本作家である永倉和弥の息子がある日失踪する。和弥はアシスタントの奏美と一緒に息子の行方を追うが、その過程で自らを呪縛する父との過去に向き合うことになる。血縁がもたらすのは、呪いか、救済か――。

3.『ファーストライン』

 脚本・監督:ちな
 音楽:角野隼斗
 出演:田村睦心/斎藤志郎
 制作プロダクション:TOHO animation STUDIO

作品概要
 「平家物語」「薬屋のひとりごと」などで絵コンテ・演出を務め「TOHO animation ミュージックフィルムズ」監督にも最年少で選出された、新鋭ちな監督が紡ぐ青春アニメーター物語。「アニメーション=生命を吹き込む事」の面白さと残酷さを、劇中劇として大胆に描いていく。音楽は活躍目覚ましい唯一無二のピアニスト・角野隼斗と奇跡のタッグが実現し、フィルムスコアリングで作品の隅々まで音を彩った。28歳の若き天才2人が贈る、“音も楽しむ”新感覚アニメーション。

4.『フレイル』

 脚本・監督:本木真武太
 音楽:斎木達彦
 出演:奥平大兼/莉子、今井柊斗/大石吾朗
 制作プロダクション:Virgin Earth

作品概要
 第75回カンヌ国際映画祭#TikTokShortFilm コンペティションでグランプリを受賞し、TikTok TOHO Film Festival 2022ではテクニカル賞を受賞した、縦型映画のパイオニアともいえる本木真武太が、今回は少子高齢化問題を背景とした、SF学園ゾンビ映画に挑む。VR空間で青春を追体験する老人・明。しかし、何者かによってゾンビウイルスがVR空間に放出され、死の淵に追いやられることに。生きる意味を失っていた明が、生死を彷徨った末に、見出した生きることの本質とは――。

公開表記

 配給:TOHO NEXT
 2024年6月28日(金)より TOHOシネマズ 日比谷、TOHOシネマズ 梅田にて2週間限定公開

(オフィシャル素材提供)

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