登壇者:小谷実由(モデル)、YUUKI(マルチクリエイター)
MC:奥浜レイラ(映画・音楽パーソナリティ)
昨年に開催された第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリを受賞した映画『HOW TO HAVE SEX』が、7月19日よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、シネマート新宿、アップリンク吉祥寺ほかにて全国公開する。
本作はティーンの友情や恋愛、セックスが絡み合う青春の夏休みを、思いやりを込めた視点で活き活きと表現し、痛いほどに共感できる爽快で感動的な物語。主人公タラ(ミア・マッケンナ=ブルース)は、親友3人で過ごす卒業旅行の締めくくりに、パーティーが盛んなギリシャ・クレタ島のリゾート地、マリアに降り立つ。自分だけがバージンで、初体験というミッションを果たすべく焦る彼女を尻目に、親友たちはお節介な混乱を招いてばかり。そんな中、ホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くのだが……というストーリー。
監督を務めるのは、2023年サンダンス映画祭で審査員大賞を受賞した映画『SCRAPPER/スクラッパー』や、エイサップ・ロッキー「Sundress」、レディオヘッド「Follow Me Around」等、数々の大物アーティストのミュージックビデオで撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカー。2020年カンヌ国際映画祭批評家週間で上映された初の短編監督作『アンスピーカブル(原題:Good Thanks, You?)』を経て、今作で長編デビューを飾るやいなやカンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ、世界の映画祭で<19受賞・30ノミネート>の快挙を果たし、ジェーン・カンピオン監督が「モリー・マニング・ウォーカーは映画界の新しい声」、名優ジョン・C・ライリーが「説得力があり、本物で、正直で、洞察力に富み、真実味がある」と大絶賛。ほかにも「VOGUE」誌や「タイム」誌、「ガーディアン」紙など複数の海外メディアが監督の手腕や主演・ミア・マッケンナ=ブルースの演技を讃えるレビューをこぞって寄稿し、米批評サイト「ロッテントマト」では96%の高評価を記録(2024年4月25日時点)するなど、世界中から賞賛の声が寄せられた。
7月3日(水)、映画の公開を記念し、モデルの小谷実由と、マルチクリエイターのYUUKIをゲストに迎えたトーク付き特別試写会が実施された。トークショーでは2人がティーンが抱える友情や恋愛、性的同意の問題を描いた本作について、多角的な視点からたっぷりと語った。
主人公たちが過ごす夏休みの日々を彷彿とさせるような真夏の暑さを全国各地で記録した本日、本作のトーク付き特別試写会が開催され、モデルの小谷実由とマルチクリエイターのYUUKIが登壇した。
事前に作品を鑑賞したという2人は感想を尋ねられると「最初はタイトルに面を食らって今日のお仕事を受けるかを迷ったくらいだったんですが、予告編を見ても掴みきれなくてどうしても気になって。ドキドキしながら本編を見たんですけど、タイトル通りのストーリーもありますが、大きく見ると対人関係の映画だなと思いました」(小谷)、「青春のよくあるキラキラ、美しいほうではなくて、苦いほうで。自分に同じような経験があるわけではないけど、昔の自分を思い出させられるような苦さを感じました。苦さが旨味になるというか、年を取るとまた違う思い出になるという、年代によっても印象が違ういい映画だなと感じました」(YUUKI)とそれぞれの視点から感想を語った。ティーンの人間関係や心の機微を精細に描いた本作だが、小谷は「(主人公たち)3人のやりとりに終始、痛いくらい分かる~!という感じで。ちょっとした気まずさとか、なんとなくまわりから圧力をかけられている感じとか、そういうちょっとした違和感は知ってるな、と苦しさを感じましたね」、YUUKIは「友達関係の空気感を壊さないように3人それぞれが気をつかっている。なかでも(主人公の)タラは初めての経験に対する極端なくらいの憧れがあったと思うけど、それに対する印象が最初と最後で全く違うんだなって感じて。憧れや焦りからくる、自分でも制御できないくらいの高揚感があったからこその落差を実感しているんだなと。性のことに限らず若いころの未経験のことに対する憧れと現実の差に直面した時の感情に共感しました」と自分自身の経験と重ねながら共感を述べた。また主人公たち親友3人組の女性キャラクターについては「タラはみんなでわいわいしているのも楽しいけど、ちょっと疲れて一人になった時に見せる表情が本当の姿なんだろうなと。それからついつい辛辣なことを言ってしまうスカイは誰にでもちょっとずついるタイプ」(小谷)、「スカイは苦手(笑)。でも彼女のようなタイプのよかれと思ってやってくるおせっかいのおかげで一歩踏み出せることも確かにあるよなと。そこに(タラと)価値観の似ている優しいエムが出てきて救われる。3人の絶妙なバランス」(YUUKI)と語った。
一方で彼女たちの視点から映る男性の描かれ方については小谷が「片方の視点だけで描かれるのでは理解が深まらないので男性側も描くのは必要なこと。全編を通して気まずくなりたくない、楽しい場に水を差したくないと(男女問わず)みんなが思っていてリアルだなと思いました。それが空気に流されるというか同調圧力につながることにもなるのかな」と指摘すれば、YUUKIは「劇中に出てくる男性は自分の悪くないほうにスルスルと逃げていくけど、男性は男性で自信がないからなんだと思う。でも女性も自信のないところがあるから、流れを全員で作ってしまう。その描き方がめちゃくちゃリアルでした」と述べた。ほかにも印象的な音楽について「絶え間なく重低音の音楽が流れていると深く考えられなくなっちゃうのかなって。音が空気感を作る役割にもなっている」(小谷)、「大音量の音楽があるからこそ静寂が主人公の迷いや葛藤を強調する対比として効いている」(YUUKI)と解説したり、賛否両論のラストについて議論が交わされるなど、白熱したトークが続き、あっという間にイベントは終了の時刻に。
最後に観客に向けて「映画の感想を話すことは理解を深めるいい時間になるので家族や友人に勧めて、また観た後に話してみてもらえたら」(小谷)、「観る人によって感想が違うだろうし、一人で抱えられないくらいのいろんな気持ちが湧いてくる映画だと思うので、みんなで語ってみてほしい」(YUUKI)がメッセージを送り、トークショーは終了した。
ストーリー
親友たちと夏のクレタ島で過ごす、特別な卒業旅行。絶対に最高の夏になるはずだった。
タラ(ミア・マッケンナ=ブルース)、スカイ(ララ・ピーク)、エム(エンヴァ・ルイス)の3人は、卒業旅行の締めくくりに、パーティーが盛んなギリシャ・クレタ島のリゾート地、マリアに降り立つ。自分だけがバージンで、居ても立ってもいられないタラ。初体験というミッションを果たすべく焦る彼女を尻目に、親友たちはお節介な混乱を招いてばかり。タラは、バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、一人酔っぱらい、彷徨っていた。そんな中、ホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くのだが――。
(原題:HOW TO HAVE SEX、2023年、イギリス・ギリシャ、上映時間:91分、PG-12)
キャスト&スタッフ
監督・脚本:モリー・マニング・ウォーカー
出演:ミア・マッケンナ=ブルース、ララ・ピーク、サミュエル・ボトムリー、ショーン・トーマス、エンヴァ・ルイス、ラウラ・アンブラー
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公式X:@HTHS_MOVIE #HowToHaveSex
公開表記
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
7月19日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、シネマート新宿、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
(オフィシャル素材提供)