登壇者:奈緒、猪狩蒼弥、三吉彩花、風間俊介、三木康一郎監督
MC:奥浜レイラ
映画『先生の白い嘘』の公開初日舞台挨拶が都内で行われ、舞台挨拶に奈緒、猪狩蒼弥(HiHi Jets)、三吉彩花、風間俊介とメガホンを取った三木康一郎監督が出席してクロストークを繰り広げた。
本作は、2013年から17年まで「月刊モーニング・ツー」(講談社)で連載された、鳥飼茜氏の同名漫画(全8巻)が原作。主人公の高校教師・原美鈴を中心に、ひとりの女性が抱える「自らの性に対する矛盾した感情」や、男女間に存在する“性の格差”を描くことで人の根底にある醜さと美しさを映しだし、観る人の心の奥底をえぐるストーリーが展開する。
公開前に、今作においてインティマシー・コーディネーターを入れずに撮影したことが問題化されており、舞台挨拶前に制作プロデューサの稲垣竜一郎氏からインティマシー・コーディネーター起用について説明がなされた。稲垣氏は「インティマシー・コーディネーター起用の要請がありましたが、日本では事例も少ないこともあり、出演者や事務所、監督との話し合いで細心の注意をはらって撮影することとなりました。配慮が出来ていると思っておりましたが、このたび、多くのご批判をいただいたことを受け、私どもの認識が間違っていたことをここに報告し、お詫びを申し上げます」と反省の言葉が述べられ、謝罪が行われた。
続いて、舞台挨拶に登壇した三木監督が最初に「関係者、スタッフやキャスト、多くの皆様に大きな苦しみを与えてしまったことを謝罪いたします。ご心配をおかけしました。申し訳ございません。本日はお越しくださって本当にありがとうございます」と客席に向かって頭を下げた。
男女の性の格差に翻弄され葛藤する高校教師・原美鈴役を演じた奈緒は、緊張した面持ちで「ここに来るまでにいろんな葛藤がありましたが、私は大丈夫です!」と力強く話した。「今日は何を話してもいいから――と言われおり、自分の言葉でしっかりとお話させていただきます」ときっぱり。
奈緒は、原作者の鳥飼氏に直接連絡を取って会ったことも明かし、「私はこの映画を作る際に原作にすごく支えられていた部分が大きかったので、皆様にこの原作が伝われば嬉しいなぁと思っています。初日を迎えて思うのは、現場の皆で乗り越えた結果、この作品が1つの映画として、とても力強いものになっているということがすごくすごく嬉しい。感謝の気持ちでいっぱいです」と話す。
また、「今日は監督のほかに、風間さん、三吉ちゃん、猪狩くんがいてくれて……。(観客の)皆さんのお顔を見られて、すごく嬉しい気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます」と涙をにじませた。
美鈴が担当するクラスの・生徒・新妻祐希役を演じた猪狩は「最初、上手に演じなきゃと思って演じていたのですが、奈緒さんが『私はこの作品を撮り終わったあとに猪狩くんがまた演技やりたいと思ってくれたら、それがいちばん嬉しい』と言ってくださったんです。現場では奈緒さんの強さに支えられました」と話す。そして、猪狩から「また演技をやりたいです!」という言葉が伝えられると、奈緒は目を涙で潤ませ、「ありがとう……」と応えながら、作品への思いをつのらせていた。
猪狩は公開前に原作を読み直したことを明かし、「エンターテインメントを誰かのために届けるという熱い想いを持ってこの作品にかかわれたことを嬉しく思っています」と伝えた。
映画は2年ほど前に撮影された。美奈子の婚約者で、 社交的で優秀な会社員でありながらも女性を蔑視するという二面性を持つ早藤雅巳役を演じた風間は「映画館に行こうか悩んでいる方もいらっしゃると思うんです。今じゃないと思った方がいたら、その心に従ってください。いつか観たいと思っている方のいつかが来ることを願っています」と呼びかける。「この作品が、誰かの希望になったり、明日を変える作品になったら幸せです」と優しい口調でメッセージを届ける。
男性に依存しながらも見栄を張り、表面を取り繕う女性で美鈴の親友・河野美奈子役を演じた三吉は「初日が迎えられて本当に嬉しいです。監督、プロデューサー、キャスト、スタッフ、皆さんが自分の覚悟であったり、強い意志を持ってこの作品に挑んだことと思われます。それを皆さまがしっかりと受け取ってくださったらこの作品が意味のある映画として残っていくと思います」とコメントした。
イベントでは原作者の鳥飼氏からの手紙が届き、MCが代読する場面も。「原作者として自分も無責任すぎたかもしれない。奈緒さんは誰よりも早く謝罪していただきました。心遣いに感謝しています。何より、主人公の演技が素晴らしかったです」と奈緒を称賛してエールを送った。
最後に、奈緒が「私は権力に屈することなく、対等な立場でお話して伝えしました。どんなに綺麗な川にも淀みはあります。その部分ばかり見るのではなく、全体の綺麗な部分に気づいて欲しい。自分の誠意を脅かすようなことがあれば、まずは自分の気持ちを守ってください。相手には家族がいて、大切な人がいると、この映画を観て、思い描いていただけると嬉しいです」と自身の熱い想いを伝えた。
(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:松竹ODS事業室 / イノベーション推進部
2024年7月5日(金) 全国劇場&3面ライブスクリーンにてロードショー
(オフィシャル素材提供)