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『愛に乱暴』チェコ カルロヴィ・ヴァリィ映画祭コンペ出品!レッドカーペット&ワールドプレミア上映で喝采

©FILM SERVIS FESTIVAL KARLOVY VARY

 『悪人』『怒り』で知られる吉田修一の傑作小説『愛に乱暴』が江口のりこ主演、森ガキ侑大監督で映画化、2024年8月より全国公開となる。

 第58回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭(チェコ現地⽇程で6⽉28⽇〜7⽉6⽇まで)のメインのコンペティション「クリスタル・グローブコンペティション部門」に純粋なアジア映画としては唯一、選出された『愛に乱暴』。
 本作は、夫の実家の敷地内に建つ“はなれ”で暮らす主人公・桃子が、相次ぐ不審火や、愛猫の失踪、怪しい隣人、不気味な不倫アカウントなど不穏な出来事に苛まれ、平穏な日常が少しずつ崩れていくヒューマン・サスペンス。

 世界で最も古い映画祭の一つとして1946年から開催されたカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭は、毎年世界中から200本の映画が上映される。クリスタル・グローブコンペティション部門は2000本を越える応募作品の中から選りすぐりの12作品が選出され、映画への優れた芸術的貢献に対して最優秀作品賞を始め5つの賞が授与されている。まさに東欧・中欧の映画ファンが一同に会する映画の祭典となり、世界中から700名を超えるジャーナリストたちも集まっている。

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 そんな歴史と権威ある国際映画祭で、『愛に乱暴』から監督の森ガキ侑大を始め、横山プロデューサー、𠮷田プロデューサーらフィルム・メイカーたちがレッドカーペットを歩いて上映会場入り。あいにくの雨が降る中ではあったが、緊張の面持ちの森ガキ監督と、満面の笑みを浮かべるプロデューサー陣らで堂々と歩ききった。

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 その後ワールドプレミアとなる公式上映が、チェコ現地時間7月4日(木)20時からメイン会場のグランドホール(1131席)にて満席でスタート。冒頭に一緒に映画を観るコンペの審査員たち(『パスト ライブス 再会』などのプロデューサー:クリスティーン・ベイコン、エミー賞受賞俳優のジェフリー・ラッシュ、『LAMB ラム』の脚本家ショーンら)が紹介された後に、森ガキ侑大監督、横山プロデューサー、𠮷田プロデューサーが登壇した。

©FILM SERVIS FESTIVAL KARLOVY VARY
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 森ガキ監督がチェコ語で「やあ!」という意味の「アホイー!」と第一声を上げると、会場は笑い声のあとに拍手が広がり、さらに覚えたてのチェコ語で「カルロヴィ・ヴァリ映画祭へご招待いただきありがとうございます。幸せです」と挨拶をすると、会場は大きな拍手と歓声に包まれた。その後は日本語で「この映画愛に溢れる映画祭にお呼ばれして、こうやってチェコで皆さんの前でこの映画が上映できることを本当に幸せだと思っています。この作品も(このような場で)皆さんに観ていただけるということは、すごく幸せな作品だと思っています。今は僕らだけがここに立っていますが、たくさんの日本のスタッフと丁寧に丁寧に紡いで本当に自信のある作品になったと思っています。そのスタッフへの敬意も込めて、今日は皆さんに楽しんでいただければと思っています」と日本に残るスタッフへも感謝を込めたメッセージを披露した。
 最後にまたチェコ語で「ジェクイ!」(ありがとう)と〆ると、再び暖かい笑いと拍手が広がった。

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 上映中は途中途中で笑い声が起こりながらも、後半になると水を打ったように静まり緊迫感が会場内に充満したが、映画が終わり場内が明るくなると、満面の笑みの観客たちが森ガキ監督に惜しみなく拍手を送り続けた。

 その後ホールのロビーでは映画をみた観客たちに囲まれ質問攻めにあった森ガキ監督は「熱量がすごかった。本当に皆さん映画が好きなんだと感じた。ものすごく考察されていて、ここはどうだったのかといろいろ感情的なことも技術的なことも聞かれた。質問に対して「その通りです」というと、「おー! 予想が当たった!」と盛り上がったりしてくれました。あと画面が美しかったと、とにかくビューティフル、ビューティフルと言われました」と観客たちの熱さにインパクトを受けた感想を語った。

映画の読み取りレベルが高すぎる観客とのQ&A!

 翌日は『007/カジノ・ロワイヤル』の撮影でも使われたグランドホテルプップ内のプップホールでQ&A付きの上映が行われた。こちらも416ある座席は即日、完売済み。
 上映が終了して森ガキ監督が登壇すると、拍手が沸き上がり質問を募ると次々と手が上がった。

©FILM SERVIS FESTIVAL KARLOVY VARY

 観客からはまず「主人公の桃子の演技が素晴らしかった。撮影中は演じるのが苦しかったのでは?」という質問に「桃子はどんどん追い込まれて崩壊していく役なので、後半になるにつれて撮影は苦しかったと思います」、「Q.桃子役のキャスティングはいつも組んで信頼している俳優をキャスティングしたのか?」→「A.江口さんとは以前ドラマとCMでご一緒したことはありますが、映画は初めてでした。すごく難しい役だったので、この役は江口さんじゃないとできないんですと、ラブコールしました」と最初に主演の江口さんについて次々に質問が上がった。

 その後「Q.スクリーンサイズをスタンダードサイズにした理由は?」→「A.主人公桃子の機微を、観客に彼女の目線と一緒になって感じてもらいたかった。余分な情報をなるべく入れずに彼女と一心同体になるようにスタンダードサイズにしました」、「Q.映画の舞台となる家はセットではなくロケ撮影なのか?」→「Q.ロケができる家を探すのはめちゃくちゃ大変でした。母屋とはなれがあって、床下を掘ってもよくて、最後に家を××してもいいところという大変な条件を満たせる家を探すのに1年ぐらいかかりました」など映画の裏側に迫った質問が上がった。
 さらに「Q.チェコの離婚率は60%と非常に高い。主人公はなかなか離婚しないが日本は離婚しにくいのか?」や「Q.日本では女性が一度キャリアをリタイアすると復帰が難しいのか?」、「Q.映画にX(旧twitter)を使ったトリックが出てきたが、日本人はSNSをあまり利用しないイメージがあった。実際はどうなのか?」など日本の社会への関心が高い質問も相次いだ。
 また映画を深く考察しようとする質問も多く「Q.ラスト・シーンで桃子が着ていた服装が表す意図はなにか?」「Q.主人公は夫の浮気相手という憎むべき相手に何故スイカを持って行ったのか?」「Q.ゴミ捨て場が燃えているシーンにはどんな意図があるのか?」など質問が次々と上がってきて、ここでも森ガキ監督は「映画の読み取り能力が高すぎる」と舌を巻いていた。
 最後にタイトルの意味について質問された監督は「人を好きになることは幸せなことなんですが、人を愛しすぎると人は狂っていく。愛の中に乱暴さがあり、乱暴さの中に愛がある、という物事は表裏一体、紙一重であることがタイトルに込められていると僕は捉えています」と答えてQ&Aを締めくくった。

 今回主演の江口のりこは撮影がありどうしても映画祭への参加はかなわなかったが、間違いなく映画とともに俳優としての存在感はヨーロッパに刻まれたことだろう。

公開表記

 制作・配給:東京テアトル
 2024年8月30日(金) 全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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