イベント・舞台挨拶

『愛に乱暴』完成披露舞台挨拶

©FILM SERVIS FESTIVAL KARLOVY VARY

 登壇者:江口のりこ、小泉孝太郎、風吹ジュン、馬場ふみか、森ガキ侑大監督

 映画『愛に乱暴』の完成披露舞台挨拶が都内で行われ、主演の江口のりこ、共演者の小泉孝太郎、風吹ジュン、馬場ふみかとメガホンを取った森ガキ侑大監督が登壇してクロストークを行った。当日は、映画の大ヒットを祈願して劇中に登場する真っ赤なチェーンソーを使用しての鏡開きが行われ、会場を盛り上げた。

 本作は、「悪人」「怒り」などの吉田修一の同名小説(新潮文庫)が原作。映画『おじいちゃん、死んじゃったってさ。』『さんかく窓の外側は夜』などの森ガキ監督が実写化。第58回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭クリスタルコンペティション部門に選出され、ワールドプレミア上映で喝采を浴びた。
 夫の実家の離れで暮らす初瀬桃子(江口)が主人公。威圧感がある義母(風吹)と、自分に無関心な夫の真守(小泉)と暮らす桃子の周囲で、夫の不倫が発覚。不審火や愛猫の失踪など不穏な出来事が起こり始め、少しずつ日常が乱れていく……。いびつな愛の暴走が日常を侵食するヒューマン・サスペンス。

 俳優・江口にとって今年、『あまろっく』『お母さんが一緒』に続いて3本目の主演映画となる。今後は舞台出演も控えている。江口は、美しい白のロングドレス姿で登場した。“2024年は「江口のりこイヤー」と言っても過言ではない”とMCから紹介された江口は、「月日は流れるというか、去年たくさん働いたんだなぁって……。みんなで作ったものが無事公開されるというのは、すごいことだなって思います。とても嬉しいです」と微笑む。

 作品について江口は、原作に強く惹かれていたことを明かし、「原作を読んで、とても面白いなって思いました。主人公の桃子のキャラクターもおかしみがあると思いました。映画の脚本は原作に比べて、削ぎ落とされ、スマートになっている印象がありました」と話した。

 映画の撮影時のエピソードを聞かれると、江口は、不倫夫役を演じる小泉について、(江口と小泉の共演は10年ぶり)「10年前も、ドラマ(「名もなき毒」)で孝太郎さんを追いかけ回すストーカーのような役でした。今回もまた追いかけ回すのかなって(苦笑)。一緒に芝居をしていて、小泉さんって本当に面白い人だなって思いました。一緒に時間を過ごせて良かったです」とコメント。

 それを聞いた小泉は「江口さんはどこにいても平常心。いつも変わらないのがすごいなって思いました」と江口の印象について話した。また、小泉は、「江口さんから、『私はやっぱり孝太郎さんとご縁がある。10年に一度のサイクルで孝太郎さんを追い詰めている』って言われて、それがすごく嬉しかったです」と話した。
 小泉は、客席に向かって「皆さんが本編をご覧になる前でホッとしています。上映後には「イヤな奴だ」と僕に対して思われると思うので……(笑)」と不安げに話した。

 普段はさわやかなイメージが強い小泉だが、本作でガラッとイメージを変えた。「撮影に入る前に監督から、前髪はこうして……。と指示があって、ミリ単位で調整しました。『真守だったらこうするよね』という部分を森ガキ監督と擦り合わせられたのが大きかった」と役作りで長時間の話し合いが行われたことを打ち明けた。

 森ガキ監督は「真守は内に入って表情を隠しがちなキャラ。観た人に『あれって小泉さんだよね?』と思わせたら勝ちだなと思って……」と狙いを明かす。

 小泉は「衣装を着ていたら誰も“小泉”に気づかない。『森ガキさんすごい!』と思いました」。桃子の義理の母・照子を演じた風吹も「私も目を見るまでまったく気づかなかった。森ガキさんの勝利です!」と称賛した。そして風吹は小泉について「内面も真守になっていたので、会った時はとてもとっつきにくい息子でした(笑)」と印象も語っていた。

 風吹は、役作りについても話す。「意地悪しているつもりはないけれど、そう見えてしまうという距離感を出さないといけない」と思って演じていました」。

 そんな風吹について江口は、「自分が小説で感じたおもしろさを映画で表現できるか」という思いがありました。『ここに風吹さんがいて、ここにいいお母さんがいるんだと』。この流れでお芝居をしていけば映画は完成するんだから、もう小説は忘れて映画の『愛に乱暴』を作ろうと思えました」と風吹に背中を押してもらったことを感謝した。

 真守の不倫相手・三宅奈央役を演じた馬場は、「撮影ごとにすごく緊張しちゃって、役柄と相まって張り詰めたシーンになっていると思います。暑さを感じないぐらいひざの上で手が震えていました……」と昨年8月、酷暑での撮影を振り返った。

 終盤、作品の大ヒットを祈願して、撮影で使用された真っ赤なチェーンソーで鏡開きが行われた。江口は「懐かしいです」。小泉は「僕はトラウマです」とコメントをして会場に笑いを誘った。

 最後に、小泉は「真夏の匂い、実家の雰囲気がよみがえるような映画になっています。『真守サイテーでした』とか、率直なご意見、楽しみにしてます」、江口は「ゆったりとした気持ちでのんびり観てください。森ガキ監督の愛情がたっぷり詰まった映画です」と作品をアピール。

 森ガキ監督は、ワールドプレミア上映を振り返り、「ヨーロッパでの反応がとても良かった。笑うポイントは想像していたのとは違いましたが、上映後に答え合わせをしたがる人がたくさんいて、自信になりました」と大きな笑顔だった。

 「シンプルで分かりやすい映画ではありませんが、感じてもらえるものがすごくあると思います。新しいエンタテインメントになりました」とメッセージを送った。

 (取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

 制作・配給:東京テアトル
 2024年8月30日(金) 全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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