イベント・舞台挨拶

『#スージー・サーチ』トークイベント付き一般試写会

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 登壇者:テラシマユウカ(GANG PARADE)、ISO(ライター)

 第47回トロント国際映画祭のワールドプレミアで話題となった新鋭ソフィー・カーグマン監督の最新作『#スージー・サーチ』の公開に先立ち、7月23日(火)にアイドル・グループGANG PARADEのテラシマユウカ氏と映画に造詣の深いライターのISO氏のトーク付き一般試写会が開催された。

 「いいね!」やフォロワー獲得に魅入られていくインフルエンサーと、それを欲する現代社会をブラックかつコミカルに描いた映画『#スージー・サーチ』。主演にカーシー・クレモンズ(『ザ・フラッシュ』)、共演に『ヘレディタリー/継承』のアレックス・ウルフを迎え、新鋭ソフィー・カーグマンが初長編作としてメガホンをとった。

 風刺を交え、予想を裏切り続けるツイストの効いた展開に、「SNS文化を鋭く風刺している」、「独創的でサスペンスフル!」「衝撃のラスト」と海外メディアからも大きな注目を集めた、予測不能なダーク・スリラー映画『#スージ・サーチ』の一般試写会を7月23日(火)に開催。上映後には、映画コラム「今日はサボって映画観に行く」の連載を持つなど、映画への造詣も深いアイドル・グループGANG PARADEで活躍するテラシマユウカ氏と、映画・音楽を中心にさまざまな媒体で執筆、ラジオでも活躍するライターのISO氏を迎えたトークイベントで、世界に衝撃を与えた話題作について語り尽くした!

ISO「ツイスト、ツイストの連続で、終始目が離せなかった」

 上映直後の熱気溢れる客席から拍手で迎えられたテラシマユウカ氏(以下、テラシマ)とISO氏(以下、ISO)。
 ひと足早く鑑賞したテラシマは「観る前はSNS上で謎解きをしていく映画かなと思っていたのですが、すぐに良い意味で予想を裏切られて、興奮しちゃって。序盤のどんでん返しが早かったこともあり、ここから何が起きるのだろう?とドキドキ感がずっと続いてすごく面白かったです」と感想を語ると、ISOも「ツイスト、ツイストの連続で、終始目が離せなかったです」と共感。

 一方で、“少女探偵もの”の括りとして本作を観進めていったというISO。「少女探偵ものは歴史が深く、1915年の『少女探偵の冒険』という映画から始まり、TVドラマ・シリーズ『ヴェロニカ・マーズ』、そして『エノーラ・ホームズの事件簿』があって。それらの作品はカラフルでポップに描かれることが多いので、本作もその系譜かと思っていたのですが、序盤の展開でそのカラーが毒だったということが分かる。自然界でもカラフルなほど毒々しいというのがありますけど、観進めていくうちに、(ポップさが)毒々しさに変わったことに、ドキドキしました」と、予想を覆す展開や色彩表現を絶賛した。

テラシマユウカ「承認欲求やSNS。自分にも当てはまる普遍的なテーマに共感」

 主人公のスージーが承認欲求に駆られて、予測不能な展開へと突き進む本作についてISOは、「最近、承認欲求が暴走していく映画は多くて。ジェイク・ギレンホールの『ナイトクローラー』、昨年の『シック・オブ・マイセルフ』、『ノット・オーケー!』などがありますよね」と類似作を挙げつつ、「モラルと承認欲求の境界線を描く映画って、今まで(主人公の)モラルが終わりきっていたというか。一方で、本作では主人公のスージーが共感できるキャラクターとして描かれている。監督も主人公についてインタビューで『意思が固くて、好奇心旺盛で孤独。繋がりを求めるひとりの女性として観客には共感してほしい』と言っていたんですよね。この映画は“主人公に共感できる物語”として描かれているというのが、他作品との最たる違いかなと思いました」と、承認欲求を題材にした過去の作品との違いを解説。
 テラシマも「私は本作を観て、『Pearl パール』を連想しました。承認欲求がモンスター化してしまっても自分の中に揺るがない正義や軸があって、悪意がないところが似ているなと。『Pearl パール』の主人公は狂気的ですが、スージーはなぜか憎めない、愛おしさまで感じてしまうキャラクター。ある行動を起こす動機がマイナスな理由ではないところが一味違うなと。母親からの言葉が彼女の中にずっとあって、一筋で優しい心を持っているところとか本当に可愛くて。承認欲求やSNSの使い方など、自分にも当てはまるような普遍的なテーマが描かれていて共感しました」と、最近の話題作と比較しつつ、スージーのキャラクターについて言及した。

ISO「予想外な出来事で、どんどん仮面が崩れていく描写や演技がすごく良い」

 本作はソフィー・カーグマン監督の長編デビュー作。監督の手腕についてISOは「ヒッチコックっぽいと思いました。1940年の『レベッカ』の主人公の女性がある秘密を抱えていて、それがバレるかバレないかという問題に移り変わっていく部分などはすごく似ているなと。クラシカルな映画っぽさもありながら、映像表現としての新しさもあって初監督は思えない手腕を感じる作品でした」と名匠になぞらえて解説。
 また、主人公スージーを演じた『ザ・フラッシュ』などのカーシー・クレモンズ、共演の『ヘレディタリー/継承』アレックス・ウルフら実力派俳優陣についてISOは、「2人とも印象的でした。カーシーは撮影時20代後半くらいで女子大生を見事に演じていてすごいなと。予想外な出来事でどんどん仮面が崩れていく描写は結構すごくて、自分の描いたシナリオからズレていく瞬間の人間らしい演技がすごく良かった。アレックス・ウルフは、ジェシーを演じるにあたって、ジェシーとしてInstagramを開設したり、役になりきって詩を書いたと監督がインタビューでも言っていて。本当に“なりきる俳優”だなと」と大絶賛。続けて、テラシマユウカは「表情が秀逸な映画。スージーの表情が絶妙で、本当に上手だなって。真実を知っている観客としては、彼女の見え隠れする闇の部分も見えて、すごかった」とカーシー・クレモンズの表情ひとつひとつに釘付けになったと語った。

テラシマユウカ、映像表現から「他人事ではなく、自分事というメッセージ性を感じた」

 色調や音楽、衣装などディティールがこだわり抜かれた演出について話題に挙がるとテラシマは、「最初のシーンから色彩は印象に残っていて。ポップさと皮肉、ダークさがすごく絶妙に調和していて。バランスが素晴らしい作品だと思いました」とそのこだわり抜かれた世界観を絶賛。ISOは、「劇中、パソコンや服装……グリーンとブラウンの色調があらゆるシーンで画面に支配的に使われている。監督も精密なカラーパレットで世界観を強調したという話をしていたので、主人公が落ち着く色なのかもしれないなと。技術的にもかなり精密的に作られた映画」と解説。

 また、劇中の挿入曲の話題になるとISOは、「(楽曲によって)主人公の気持ちを直接的に描いていたなと。ある事件が起こった後に流れているのが、ナタリー・バーグマンの「Talk To The Lord」の歌詞は、“迷った時や怖い時は神頼みしなさい”という曲。内面的なものも楽曲で表現しましたね」と選曲にも注目。また、印象に残った演出について問いかけられたテラシマは、「ある映像に、別の映像を重ねていくカットが多くて。観客に向けて“自分自身を重ね合わせられるぞ”っていうメッセージ性を感じて、ドキッとしました。他人事じゃなくて、自分もその(登場人物たちのような)面を持ち合わせているかもしれないし、悪意がなくても自分の信念があっただけで過ちを起こしてしまうかもしれない。ネット社会に警鐘を鳴らされている感じがしました」と演出から受け取ったメッセージについて明かした。

テラシマユウカ「あらゆる伏線が落ちまくっているので2回目も観てほしい」

 “承認欲求”がテーマの本作についてISOは「どこまで“承認欲求”のためにやるのかというのは普遍的なテーマだと思いました。僕もバズるだろうなと思っても、モラル的に呟かないこともありますし、皆さんにもラインがあると思うんですけど、そのラインについて絶妙に描いていたなと思いました」とコメント。
 それを受けたテラシマユウカは「私は、アイドルを始める前はSNSに執着することがなかったんですが、アイドルになって始めてみると“いいね!”数を気にしてしまったり、自分が当事者になると思っていなかったところまで気にしてしまったり……。SNSでバズって叩かれている人を見ていると、そこまで悪人じゃなくて、ほんの少し歯車がズレちゃっただけで、大炎上みたいなことが起こっていて。作品を通して、自分のポスト(投稿)も考え直そうと思う機会になる映画でした」と自分ごととして、観ることができる作品だと伝えた。

 最後にISOは、「本作はダーク・スリラーとして秀逸なんですけど、個人的にはそれ以上にスージーの青春映画として観るとかなり面白い作品だなと思いました。2回目はそういった視点で観ていただければと思います」とさまざまな角度から観ることができる作品だと締めくくり、テラシマは「私も繰り返し観たのですが、全てを知ってから2回目に観る、自分では1回目に気づけなかったことなど、あらゆる伏線が落ちまくっているので、公開したらもう一度観てほしいですね」と笑顔で結んだ。

公開表記

 配給:SUNDAE
 8月9日(金) 新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋HUMAXシネマズほか全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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