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【ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024】予告編解禁&コメント到着

© Rainer Werner Fassbinder Foundation © 1980 by ROXY / CIP

 伝説的映画監督、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの珠玉の三作品を集めた【ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024】が、8/30(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次開催される。上映作品は『エフィ・ブリースト』『自由の暴力』『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』。この度予告編が解禁となった。また、日本大学文理学部教授/ドイツ映画研究、渋谷哲也さんから傑作選に寄せてのコメントも到着した。

 ヴェンダース、ヘルツォークらと並んで戦後ドイツ、ニュー・ジャーマン・シネマの担い手となり、37年という短い生涯で40本以上もの作品を手がけた伝説的な監督、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。社会や人間のあり方をはじめとした多岐にわたるテーマを時にスキャンダラスなまでに描き、その独自の美学と強烈な魅力に満ちた物語の数々は、今も世界中の映画ファンの心を掴みつづけている。今回8/30(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で開催される【ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024】では、日本劇場初公開の『エフィ・ブリースト』、改題して初のリバイバルとなる『自由の暴力』、そして4K版では初上映の『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』が登場する。
 この度、三作品の濃密な魅力が詰まった予告編が解禁。19世紀ドイツの作家、テオドール・フォンターネの小説が原作で、厳しい家父長制度のなかで違和感を抱き続けながら生きた若い女性を描いた『エフィ・ブリースト』はモノクロ映像ながら、全てに色が感じられるくらいに美しく繊細な映像が見どころのひとつ。主人公を演じるのはファスビンダーのミューズ、ハンナ・シグラだ。『自由の暴力』はファスビンダー監督が自ら、愛した資本家の男とその家族たちに搾取されていく若者を熱演する、悲しく狂おしい人間ドラマ。本作には世界的大ヒット作『プリンセス・シシー』シリーズのヨーゼフ一世役で知られ、マイケル・パウエル監督の『血を吸うカメラ』(60)などに出演、晩年はファスビンダー映画の常連となった怪優カールハインツ・ベームも出演、映画をますます特異なムードに盛り上げている。大戦下、持ち歌「リリー・マルレーン」が大ヒットしスターになり、ナチス・ドイツのマスコットとして利用されてしまった実在の歌手の愛と苦悩を描く、ファスビンダーの中で一番の大作である『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』は、予告でもまばゆい豪華な映像美を確認することができる。主演のハンナ・シグラは自ら歌も披露、引き裂かれてしまった恋人への愛と国の間で翻弄される歌手、ビリーを艶やかに演じ切っている。

 今回上映される三作品に描かれるのは、社会が生み出したシステムに抗いながらも押しつぶされていく個人の姿や、恋人や家族間でさえ生じる抑圧や力関係。それでもなお、求めてやまない絶対的な愛やその先の死。時代が追いつけない速さで駆け抜けた鬼才、ファスビンダーの傑作三本をぜひ、お見逃しなく。

【渋谷哲也さん(日本大学文理学部教授/ドイツ映画研究)のコメント到着】
 今回のファスビンダー特集はまぎれもなく「暴力」がキーワードだ。今まで『自由の代償』として知られたゲイカップルの物語はセンチメンタルな道徳劇ではなく、妄執と策略の熾烈な闘争なのだ。それはあらゆるパートナー間で生起しうる搾取の関係性だとファスビンダーならいうだろう。『エフィ・ブリースト』は結婚という抑圧装置がもたらす諦念を描き出し、後に『マルタ』でグロテスクな悲喜劇へとデフォルメされた。そして『リリー・マルレーン』は決して結ばれることのないカップルの物語だ。彼らを隔てるのはナチスとユダヤ、ドイツとスイス、巡業歌手とサロン芸術家という絶望的な差異である。どの映画も愛する者たちの関係を非情に握りつぶす。だがそうなるのは運命でも必然でもない。その悲劇を容認してしまう社会の態度をファスビンダーは鋭く批判しつつ、微かに希望の光も同時に感じさせる。イナー・ヴェルナー・ファスビンダー。3作品の公開まで、ぜひ楽しみにお待ちいただきたい。

上映作品

『エフィ・ブリースト』

© Rainer Werner Fassbinder Foundation

  (原題:Fontane Effi Briest、1974、ドイツ、上映時間:140分)
  ※ 日本劇場初公開!

 監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
 撮影:ディートリッヒ・ローマン、ユルゲン・ユルゲス
 出演:ハンナ・シグラ、ウォルフガング・シェンク、カールハインツ・ベーム、ウリ・ロンメル

 ブリースト家の娘エフィは20歳も上のインシュテッテン男爵と結婚するが、男爵は年若い彼女を躾けようとする。それに違和感を抱いたエフィは若くて魅力的な夫の友人クランパス少佐と浮気をしてしまう。数年後、エフィと友人の裏切りを知った男爵は、クランパスに決闘を申し込むのだが……。
 19世紀ドイツの作家テオドール・フォンターネの小説の映画化であり、ファスビンダーにとっては後年の『ベルリン・アレクサンダー広場』にならぶ重要な<文学映画>。19世紀後半の家父長制度のなかで破滅の道をたどった女性の姿にファスビンダーが共感、彼の永遠のテーマでもある「社会への違和感」「夫婦、恋人間での躾けや抑圧」が強くあらわれている。

『自由の暴力』

© Rainer Werner Fassbinder Foundation

 (原題:Faustrecht der Freiheit、1974、スイス、上映時間:123分)

 監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
 脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、クリスチャン・ホホフ 撮影:ミヒャエル・バルハウス 
 音楽:ペール・ラーベン
 出演:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ペーター・カテル、カールハインツ・ベーム

 身寄りはアル中の姉しかいない大道芸人フランツは宝くじに当たったのをきっかけに、ブルジョワのゲイのサークルに入り込み、ハンサムなオイゲンに恋をする。一夜で富と愛を手に入れたフランツはオイゲンに貢ぐが、工場経営者の御曹司オイゲンと粗野なフランツとでは趣味も会話も何もかも相容れない。それでもひたすら愛を信じるフランツだったが、やがてふたりの齟齬は決定的となり……。
 ファスビンダーが初めて男性同性愛を正面から取り上げた作品。ひとりの資本家の男に夢中になったばかりに、利用されるだけされ尽くされる主人公をファスビンダー自身が熱演。資本主義社会の冷酷さを暴きだすと同時に、愛の名のもとに展開される哀しく痛ましい暴力的な関係が、デジタルリマスターされた美しい映像で鮮烈に描かれる。

『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』

© 1980 by ROXY / CIP

 (原題:Lili Marleen、1980、ドイツ、上映時間:120分)

 監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
 脚本:マンフレート・プルツァー、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
 撮影:ザヴィエル・シュワルツェンベルガー
 音楽:ペール・ラーベン
 主演:ハンナ・シグラ、ジャンカルロ・ジャンニーニ、メル・ファーラー、カール・ハインツ・フォン・ハッセル、クリスティーネ・カウフマン、ウド・キアー

 舞台は第二次世界大戦下、ナチスの勢力が増すヨーロッパ。売れないドイツ人歌手ビリーは、ユダヤ系名門一家の息子で音楽家のロバートとスイスで幸せに過ごしていたが、ドイツからスイスへ戻る際にビリーだけ入国を拒否され、ふたりは離れ離れになってしまう。歌手としての成功を夢見るビリーはナチスの高官に気に入られ、「リリー・マルレーン」をレコードに吹き込むことに。「リリー・マルレーン」はひょんなことから兵士たちの間で大ウケし、ビリーはスターになる。そんなある日、ロバートが偽造パスポートでドイツに侵入し……。
 ファスビンダーのミューズ、ハンナ・シグラが時代に翻弄される歌手を熱演。盟友、ダニエル・シュミット監督のカメオ出演も見どころ。

オフィシャル・サイト(外部サイト)

『ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024』公式サイト
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024 『エフィ・ブリースト 』『自由の暴力』『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』8月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開

 公式X:@RWFassbinderjp

公開表記

 提供:マーメイドフィルム
 配給:コピアポア・フィルム

 8/30(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次ロードショー!

(オフィシャル素材提供)

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