登壇者:亀井 岳(監督)、高橋琢哉(音楽監督)、櫻井文(プロデューサー)
『ヴァタ~箱あるいは体~』は、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022で観客賞(長編部門)を受賞した後、第23回ニッポン・コネクションで上映され、8月3日(土)より渋谷ユーロスペースにて公開中。8月24日(土)より大阪・第七藝術劇場にて公開される他、横浜シネマ・ジャック&ベティ、名古屋・ナゴヤキネマ・ノイ、金沢・シネモンド、京都シネマ等全国順次公開されることが決定している。
渋谷ユーロスペースでは、8月4日(日)の19:00〜の回上映後には、マダガスカルの竹でできた弦楽器ヴァリハの名手、ジュスタン・バリ(Justin Vali)が演奏するミニライブがあった他、その後も亀井 岳監督と大石 始氏《作家・8月9日(金)20:35〜の回上映後》、荻原和也氏《音楽評論家・8月10日(土)》、高橋慎一氏《映画監督・8月11日(日)》とのトークイベントが決定している。
8月3日(土)の初日舞台挨拶に、監督・脚本・編集の亀井 岳、音楽の高橋琢哉、製作の櫻井 文が登壇し、製作の裏話を話した。
初日を迎えた監督は、「マダガスカルと皆さんを繋げる喜びを感じています」と感慨深げな様子。
本作は、音楽によって祖先と交わってきたマダガスカルの死生観を元に、家族を失った人々がその悲しみをどう乗り越えていくかについての映画。監督は、「いろんなことがものすごい速度で過ぎていくけれど、立ち止まって振り返る時間、自分自身の中で整理できることが必要なんだろうなという想いで作りました」と本作に込めた想いを吐露。
通訳も務めた本作プロデューサーの櫻井 文は、亀井監督が執筆したマダガスカルの死生観を元にした脚本について、「シナリオを現地語にして現地の方に読んでもらったところ、現地の人にとっても取り上げるのが難しいテーマだったようですが、よく『本当にこれを日本人が書いたのか?』と言われるようなストーリーで、受け入れてもらえたと思います」と話した。
櫻井は、「映画の主人公を演じた男の子と話をした時に、『自分が住んでいる県で撮った作品だけれど、自分も行ったことがない、びっくりするような風景があった。それもぜひ日本の皆さんにも楽しんでほしい』と言っていました」と本作の魅力を挙げた。
音楽担当者は、映画の撮影が終わってからポストプロダクションの段階で作業が始まることが多いが、本作の音楽を担当した高橋琢哉は、「今回もシナリオを書く前に、監督から、『マダガスカルの死生観をベースにした、あの世とこの世が渾然一体となったような映画にしたいので、音がものすごく重要。現地のフィールド録音から作曲から全部最初から一緒にやってほしい』というような話を最初にいただきました。音楽に現地で録った音をふんだんに使っています」と説明。
本作のサントラは、ダウンロードコード付きでスマホなどでも聞けるが、カセットテープで販売されている。高橋が「マダガスカルらしいかなと思って」と言うと、会場は爆笑。「CDっていうのも今どきちょっとなんだし、レコードにするのもなかなか大変だし、カセットはすごくいいなと思いました。何しろ作曲していた期間が3年近くあったので、映画2〜3本分曲を作ったので、(本編で使われなかった)アウトテイクを入れる先が欲しくて、たっぷり入れました」と話し、「実は映画で使われているもののほうが少ない」と暴露すると、また観客は大爆笑。「聞いてもらったら、さらに外の世界が広がる」と監督もサントラに太鼓判を押した。
最後に亀井監督が、「おそらく誰も見たことのないような、不思議な映画になっています。完全にドラマなんですけれど、まるでドキュメンタリーのような映画です。ぜひこの映画でマダガスカルの本当の世界を一緒に旅していただければと思います」とメッセージを送った。
公開表記
配給:FLYING IMAGE
渋谷・ユーロスペースにて公開中
(オフィシャル素材提供)