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『江里はみんなと生きていく』公開日&ポスタービジュアル解禁!

© おもしろ制作

“大丈夫、ひとりじゃないよ”
重い障害のある江里さんと母の良枝さん。そして、ケアスタッフの12年の記録。

 西田江里さん————生まれも育ちも千葉県浦安。オシャレと絵を描くのが大好きな22歳。重い障害を持つ江里さんは、母・良枝さんと自宅で暮らしている。24時間365日の介助が必要で、家族だけで命を守ることができない。
 日常を支えているのはケア・スタッフ。車いすを押してもらって買い物に行ったり、リサイクル・ショップで一緒に働いたり、外食したりと、楽しくも忙しい毎日を送っている。
 そんな江里さんにカメラが密着。12年という撮影期間のなかで、さまざまな出来事が起こる。気管切開して人工呼吸器を装着するか否かの選択を迫られたり、母から自立してひとり暮らしを始めたり————楽しい暮らしぶりだけではなく、医療的ケアが必要になっていく不安や葛藤も映し出していく。さらに、新米だったケア・スタッフも成長し、彼女たちの結婚・出産という人生の転機にも江里さんは立ち会う。
 長い時間を共有するなかで、単にケアをする・されるといった立場をこえて、ともに生きる関係性を育んでいく江里さんと仲間たち。一人ひとりのいくつもの人生の局面をあたたかい眼差しで映像にとどめ、その営みに生きる希望を見出したドキュメンタリー。

『妻はフィリピーナ』『もっこす元気な愛』の寺田靖範監督
19年ぶり、待望の最新作!

 監督は、フィリピン人女性との結婚生活を自ら記録したデビュー作『妻はフィリピーナ』(1994)で第34回日本映画監督協会新人賞を受賞し、2作目の『もっこす元気な愛』(2005)では、重度の身体障害者とその恋人・友人を取り巻く愛と友情を描いた寺田靖範。12年という長い年月、西田家の暮らしを記録し、見つめ続けた先には、人が生きる歓びと関わる人たちそれぞれの人生が交差する瞬間が訪れる。
 作品を発表するごとに、さまざまな「愛のカタチ」を描き続けてきた寺田監督の19年ぶりの最新作。

登場人物

★西田江里 にしだ・えり
 1989年、千葉県浦安市生まれ。生後7ヵ月で障害のあることが分かる。幼稚園、小学校、中学校を地元の普通学級で学ぶ。高校は養護学校高等部に入学するが、訪問学級に転籍。フリースクールを併用して過ごす。2008年、〈パーソナル・アシスタンスとも〉に入社。2016年からヘルパーをはじめとする支援者たちに支えながら自宅でひとり暮らしをしている。

〜江里の自己紹介〜
 こんにちは。西田江里です。私はヘルパーさんを使って浦安で1人暮らしをしています。
 私には重い障害があって、一人で歩けないしご飯を食べることもできません。それでも私にはやりたいことがたくさんあります。私はやりたいことをやるために、いろいろな人に協力してもらって日々過ごしています。
 私は「重い障害があっても地域で暮らしていけるよ」って伝えるために、本を執筆したり、講演会に参加したり、いろいろな人と出会っています。いろいろな人と出会うことで私はたくさんの刺激をもらっています。いろいろな人とこれからも出会い、私の生活を広めていきます。私の好きなものは洋服です。洋服を見ると心が躍ります。
 お出かけも好きで、いろいろな所に行くのが私の楽しみです。お出かけをすると、お花を見たり、動物を見たり、買い物をしたりいろいろな事ができます。それは、私にとってどれも貴重な経験なのでお出かけが好きです。
 私はみんなと出かけるのも好きです。年に一度は私の誕生日に、ヘルパーさんやお友達のみんなに声をかけてディズニーに行きます。毎年私はそれを楽しみにしています。ヘルパーさんたちとは一緒に出かける時もあるし、友達として遊ぶこともあります。不思議な関係だねって時々言われますが、私には心地良い関係です。

〜メッセージ〜
 この映画を観て、いろいろな人が元気になってくれたらいいなと思います。この映画を観て、私みたいに重い障害があっても地域で暮らせるんだなって思ってほしいです。
 障害があってもやりたいことや夢を諦めないでほしいです。
 私の周りには、たくさんの人が居てくれています。その人たちがいなかったら私の生活はありません。私はその人たちの力や知識を使っています。私だけだったら何もできません。いろいろな人がいるので、嬉しいことや楽しいこともあるけど、悲しくなったりすることもあります。私はそれも含めて、1人暮らしを続けていきたいです。私のそんな生活の様子を知ってほしいです。

★西田良枝 にしだ・よしえ
 <パーソナル・アシスタンスとも>理事長。千葉県浦安市在住。
 1992年、浦安市の福祉と教育の改善を求めて<浦安共に歩む会>を発足。行政への政策提言を行い市内の福祉制度やサービスを充実させ、教育では子どもと保護者が進学先を選べる条約を策定させた。2001年、障害当事者のニーズを理解している自分たちがサービスの担い手になろうとNPO法人を設立。2006年に社会福祉法人へと変更。現在に至る。

〜メッセージ〜
 幼稚園のお遊戯会。カメラやビデオを撮るセンスがない私だけれど、江里のような障がいを持つ子どもが、幼稚園の中でともに生きている姿を多くの人に知ってほしい、いつか伝える機会が来るかもしれないと、撮影した30年前。
 江里には障がいはあるけれど、みんなと同じ、一人の子どもなんだよ、と知ってほしかった。障がいという人との違いがあっても、その人の存在を感じることができる距離で、いっしょにその場にいること、いっしょに何かをすることで、実感をもって理解してもらえるのではないか、理解してほしいと願っていました。そのための環境は親として自分がつくっていくのだとわき目もふらず一本道を歩いてきました。
 作品の中の私は、怖い上司で……なんか感じも悪く……ただただ必死だったのは確かなのですが、恥ずかしい限りです。その必死さゆえに、気がつかなかったことをこの作品は気づかせてくれました。
 私は親として云々と思っていましたが、江里が力強く周りの人と生きている。私の知らないところで、支援をする人たちとの関係性をしっかりと結びながら自分の世界を生きている。当たり前にきまっているのに、渦中にいる私は分かりませんでした。
 人はどんな状態であっても相対するとき、心を通わせ通うようになるもので、そこには本来対等な存在としての関係性があるのだと気づかせてもらいました。江里が生まれた瞬間「愛が生まれてきた」と思いましたが、命はみんな愛の存在で、その愛を与えあい、分かち合いながら生きていく。一人では生きていけない命でも、そうすることで絶望ではなく、希望が見える。それを教えてくれたのがこの作品であり、江里とその時々にかかわりながらともに生きてくれたみんなであり、感謝の気持ちをすべての方に伝えたいです。

スタッフ

★監督:寺田靖範(てらだ・やすのり)
 1964年愛知県生まれ。早稲田大学卒業後に進学した日本映画学校(現日本映画大学)でドキュメンタリーを学ぶ。在学中に撮影を開始したセルフ・ドキュメンタリー『妻はフィリピーナ』を1993年に発表、第34回日本映画監督協会新人賞を受賞した。2006年には脳性まひの男性を主人公にした『もっこす元気な愛』を発表。2014年、映像制作会社・おもしろ制作を設立。TV番組やWEB動画のプロデューサー、ディレクターも多数務める。

〜メッセージ〜
 浦安の街で生きる西田江里さんと良枝さん。そしてその命を支えるヘルパーや医師や看護師たち。この暮らしぶりを映像にとどめたいと思った。
 江里さんの障害は重い。食事や排せつをはじめ、呼吸するのも他者の助けが必要だ。ひとりでは何もできないが、実に幸せそうに生きている。それを可能にしているのは、母親の良枝さんが筆舌に尽くしがたい苦労を重ねて、この地にさまざまな福祉サービスを根付かせてきたからだと言っても過言ではないだろう。
 これについては、一般的な図式だと、母親が娘のためにさまざまな福祉サービスをこの街に作ってきたということになるのだが、わたしは、江里さんが母親をしてこの街に福祉サービスを作らしめたのだと考えている。社会福祉法人<パーソナル・アシスタンスとも>は、江里さんが江里さんのために作ったのだが、それは決して自身のためだけでなく、支援を必要とする市民すべてに役立つように作られたものだ。
 ここ数年、福祉の人材不足は深刻で、利用者は充分な支援サービスを受けることが難しくなっているが、<とも>は100人をこえるスタッフが、地域に暮らす1000人ほどの市民の生活を支えている。
 わたしは、無批判に良枝さんや<とも>を称賛する者ではない。この取り組みを一般化するのも簡単ではないだろう。しかし、浦安の街で展開されているこの実践は夢物語ではなく、現実だ。この試みが今後、発展していくのか、もしくは衰退していくのか。その将来は楽観できないが、本作が江里さんを中心とした営みが浦安に確かに存在したという証になり、悩み苦しみながら生きている人たちのひとつの道標になれば幸いである。

★撮影:水戸孝造(みと・こうぞう)
 1985年、東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。電通PRセンター(現・電通PRコンサルティング)にて契約カメラマンを務めた後、「水戸写真事務所」を開設。
 2003年、介護保険情報誌 の取材でパーソナル・アシスタンスともと出会う。以降、数回にわたって取材をするうちに、ともの広報に関わるようになり、現在に至る。

~メッセージ~
 江里さんとは彼女が14歳のころからの付き合いになるが、目を合わす度に心を覗かれているような気がしているのは当時から変わらない。

★音楽:飯田俊明(いいだ・としあき)
 NHK ドキュメンタリー「沁みる夜汽車」、ドラマ「生きて、ふたたび 保護司・深谷善輔」 などTVの他、六本木ヒルズ時報、ゲーム、愛知万博、安藤美姫アイス・ショーなどに作品提供。また池田直樹、岡本知高、田代万里生、中島啓江、平原綾香、ミネハハや劇団四季、 宝塚歌劇団、二期会などの多彩なヴォーカリストをピアノ、作編曲の両面からサポートをおこなう。ホリプロ60周年オールスター・ミュージカルCD、伍代夏子雪中相合傘MVなど 数多くの作品を手がける他、山根基世、進藤晶子、中村獅童、二木てるみなどとの朗読の共演も多い。PTNAデュオ特級最優秀賞受賞。

~メッセージ~
 映像を観て、江里さんの魅力を端々に感じた時、歌ではないのだけれど、自然に「エリ、エリ」という歌詞を口ずさみながら、メイン・テーマを作っている自分がいました。江里の日常に溢れる誠実な、けれど何気ない温かさも込めて。伝わっていたら嬉しいです。

キャスト&スタッフ

 監督:寺田靖範
 語り:西田良枝
 音楽:飯田俊明
 撮影:水戸孝造
 題字:八田芝翠
 プロデューサー:島田隆一、二見 幸
 制作:パーソナル・アシスタンス とも/おもしろ制作助成:三菱財団

 (2024年、日本、上映時間:91分)

オフィシャル・サイト(外部サイト)

映画「江里はみんなと生きていく」
重い障害のある西田江里さんと母の良枝さん、そしてケアスタッフの12年を記録したドキュメンタリー映画「江里はみんなと生きていく」。2024年10月下旬よりポレポレ東中野ほか全国順次公開。

公開表記

 配給・宣伝:おもしろ制作
 2024年10月下旬よりポレポレ東中野ほか全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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