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「ANIME FANTASISTA JAPAN 2024」初開催!井上俊之、押山清高ら日本を代表するアニメ制作者たちが集結

 世界の最先端であり、注⽬と称賛を集め続ける⽇本のアニメーションと、その現場の制作者たちにフォーカスした唯⼀無⼆のイベント「ANIME FANTASISTA JAPAN 2024」が、8⽉11 ⽇、12⽇の2⽇間にわたり、武蔵野市の吉祥寺エクセルホテル東急にて開催された。

 武蔵野市には、多数のアニメーション制作会社がある。武蔵野市では、市を挙げてアニメーションの街として盛り上げていきたいと願っており、それに応えたアニメ制作会社が結集し、本イベントが開催される運びとなった。
 本イベントでは、ずば抜けた技術を持ち、創造性に富んだ表現⼒を⾒せる天才的な⽇本のアニメ制作者たちを「ANIME FANTASISTA」と命名し、トークセッションや制作実演、ワークショップなどを通じてその創造の現場に触れることができる場が⽤意された。
 第⼀回⽬の開催となる今回は、⽇本を代表するアニメーター・井上俊之さんや、話題の映画『ルックバック』がスマッシュヒット中の押⼭清⾼さんをはじめ、豪華ゲストを迎えた5つのトークセッションをラインナップ。会場ではアニメーターによるライブドローイングや秘蔵の原画等の展⽰、⼦どもも⼤⼈も楽しめるアニメーションを描くワークショップ、アニメ制作会社各社の蔵出しアニメーション上映などで、情熱のこもったアニメの魅⼒を2⽇間にわたって紹介した。

■テーマは「SAKUGA 描く⼈」 武蔵野からアニメの魅⼒を発信︕
「ANIME FANTASISTA JAPAN 2024」開会式

 開催初⽇の8⽉11 ⽇(⽇)、吉祥寺エクセルホテル東急のメインステージにて、開会式が執り⾏われた。⼩美濃安弘⽒(武蔵野市⻑)、稲垣英夫⽒(武蔵野市観光機構 理事⻑/武蔵野商⼯会議所 名誉会頭)、髙橋 勇⽒(武蔵野商⼯会議所 会頭)、斎藤美次⽒(吉祥寺エクセルホテル東急 総⽀配⼈)が登壇。それぞれが武蔵野市の発展に向けた挨拶をして、イベントの幕開けを祝うテープカットを実施した。

● ⼩美濃安弘(武蔵野市⻑)
 武蔵野市はアニメに⼒を⼊れております。商⼯会議所や観光機構の皆さんが押し進めているアニメノマンガノムサシノも3回⽬を迎えて、全国からアニメ・ファンが武蔵野に押し寄せています。今⽇はちょうどコミック・マーケットが開かれておりますが、ANIME FANTASISTA JAPANがコミケを凌ぐようなイベントになるように、私も武蔵野市を挙げてこれから頑張っていきたいです。どうぞ皆さんもご期待いただければと思います。

● 稲垣英夫(武蔵野市観光機構 理事⻑/武蔵野商⼯会議所 名誉会頭)
 「ANIME FANTASISTA JAPAN 2024」の開催、誠におめでとうございます。私たちも1999年に吉祥寺アニメワンダーランドを⽴ち上げ、世界から約70万⼈が武蔵野の地に集まっていただけて、⽇本のアニメが世界に知れ渡っていることが分かりました。⽇本のコンテンツ産業は宗教も⽂化も関係のない、世界共通の産業としてこれからも発展していくだろうと思っております。アニメ制作者の皆様には⽇本を背負って⽴って、産業として頑張っていただくことを期待して、挨拶とさせていただきます。

● 髙橋 勇(武蔵野商⼯会議所 会頭)
 武蔵野にはアニメの会社が多数ございまして、今回は16社の企業さんにご参加いただきました。企業の⽅々の⾃分たちの仕事を通して地域を活性化したいという思いは、商⼯会議所も同じです。武蔵野市、吉祥寺を活性化するには、地域から魅⼒をどんどん発信しなければ、これからの時代は厳しいと⼤変強く感じています。そのような意味で、今⽇はたくさんの⽅にお集まりいただいて本当にありがたいです。皆さんの⼒をお借りして、この武蔵野をもっともっと元気な街にしていきたいと思っています。

● 斎藤美次(吉祥寺エクセルホテル東急 総⽀配⼈)
 「ANIME FANTASISTA JAPAN 2024」をご開催いただきまして誠にありがとうございます。東急ホテルズ&リゾーツ社は「ひととまちと、こころ満たされる時間(とき)を創る」ことをパーパスとして昨年にスタートしました。まさにその取り組みが、ここに実現できたと感じています。髙橋会頭からは今年では終わらず来年も、というお話を頂戴しました。街の皆様にご協⼒がどこまでできるのか、その宿題を私たちが頂戴して、⼀緒に運営をさせていただければと思っています。

■⽇本を代表するアニメ制作者たちが集結 メインステージ(1⽇⽬)
 LIVE SAKUGA『彼⼥の想いで』

 開会式に先駆けて、メインステージではSTUDIO 4℃のアニメーター・中澤海友さんによる実演プログラムを開催。『彼⼥の想いで』で井上俊之さんが⼿がけた作画監督修正をもとに、その絵と絵の間を埋める動画を描いていった。会場には⽣の制作素材に触れることができる体験コーナーもあり、スタッフが原画やセル画について解説。休憩時間中には中澤さんが来場者からの質問に答えるなど、アニメを詳しく知る場にもなった。
 最後には完成した動画をプレゼントするためのジャンケン⼤会を開催。⾒事勝ち抜いた来場者は満⾯の笑顔を浮かべ、⼤盛況の内に幕を閉じた。

FEATURING『井上俊之の作画遊蕩』井上俊之+今村 亮「『彼⼥の想いで』から考える」

 アニメーター・井上俊之さんが⾃⾝の代表作の⼀つに挙げる『MEMORIES』の中の⼀編『彼⼥の想いで』をテーマに、これからの作画について考える本セッション。対談相⼿に本作を最も好きなアニメ作品として挙げる今村 亮さんを迎え、アニメーター同⼠の作画をめぐるトークが繰り広げられた。
 話題は近年のアニメにもおよび、井上さんへの憧れを語る今村さんの⼀⽅、井上さんが今村さんの仕事ぶりを称賛するという⼀幕も。トーク後には2⼈のサイン会を実施。来場者が詰めかけたため、別室へ移り延⻑するほどの⼤盛況だった。

FEATURING『井上俊之の作画遊蕩』井上俊之+押⼭清⾼+⼩島崇史
「『フリップフラッパーズ』から 『ルックバック』へ――理想の制作システムをめぐって」

 本セッションでは、アニメーターの井上俊之さんと、『ルックバック』の監督・押⼭清⾼さん、その初監督作『フリップフラッパーズ』でキャラクターデザイン・作画監督を務めた⼩島崇史さんが登壇。今年4⽉刊⾏の『井上俊之の作画遊蕩』で問題提起されたアニメーションの「理想の制作システム」をテーマに議論が交わされた。
 集団制作のワーク・フローをめぐり、トークは時に対⽴する意⾒が⾶び交いながらも、終始穏やかな雰囲気で展開。たびたび会場を笑いに包み込みながら、これからのあるべきアニメ制作の現場をめぐる建設的な議論が交わされた120分となった。

■メインステージ(2⽇⽬)
 LIVE DRWAING『⽕の⿃ エデンの花』⻄⽥達三

 2⽇⽬のメインステージはアニメーター・⻄⽥達三さんのライブ・ドローイングからスタート。2024年の12⽉24⽇に武蔵野市⺠⽂化会館で開催される、⼿塚治⾍原作の映画『⽕の⿃ エデンの花』の上映に合わせてフルオーケストラが演奏するシネマ・シンフォニー。その関連企画として、『⽕の⿃ エデンの花』のキャラクターデザイン・総作画監督の⻄⽥さんが、メインキャラクターのロミ、コム、カインの3⼈を描き下ろした。⻄⽥さんは予定時間より早い1時間ほどで絵を完成させてしまったため、追加で⽕の⿃のイラストを描くという嬉しいハプニングも。アニメーターが絵を描くスピードにも驚かされる⼀幕だった。

MUSASHINO FANTASISTA SESSION ⻩瀬和哉+⻲⽥祥倫「ムサシノがつないだFANTASISTA TALK」

 Production I.Gの⻩瀬和哉さんとWIT STUDIOの⻲⽥祥倫さんが登壇。
 武蔵野市のアニメスタジオ所属という共通項ゆえに実現した初対談は、⻩瀬さんの仕事を追いかけてきた⻲⽥さんが、⻑年の疑問を問いかけるという流れで進んだ。
 途中、スタジオ所属のアニメーターだからこそ抱く新⼈教育の難しさを語る場⾯も。質疑応答のコーナーでは海外の来場者からも⼿が挙がり、トーク後のサイン後には⻑蛇の列ができたりと、スーパー・アニメーターへの注⽬度の⾼さが伺えた。

FANTASISTA SEMINAR 久野遥⼦+岩井澤健治「ロトスコープの現在2024」

 本セッションでは実写映像をもとにアニメーションを作り出す技法・ロトスコープにフォーカス。現在公開中の映画『化け猫あんずちゃん』から監督の久野遥⼦さん、原画の平井あかねさん、CG監督の飯塚智⾹さんら。ロトスコープ⻑篇『⾳楽』からは監督の岩井澤健治さんが登壇。それぞれの制作プロセスについて、メイキング素材を豊富に交えながら解説した。
 後半には、ロトスコープが持つ可能性について監督同⼠の対談が。まだ⾒ぬ新たな表現への期待が膨んだ。

⼭本健+ちな「新時代の作画美術・撮影・3DCG」

 最後のトークプログラムでは、 劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』の⼭本健さんと短篇『ファーストライン』のちなさんが登壇。今年はじめて劇場作品を⼿がけた、1990年代⽣まれの若⼿監督⼆⼈が、現代のアニメ表現を語り合った。
 トークは、現代のアニメ業界のケース・スタディとして、⼆⼈のキャリアを辿りながら展開。デジタル化以降の表現の変化や、制作現場の課題、作品への向き合い⽅など、アニメをめぐる現代の課題が多⾯的に掘り下げられた。

■アニメ作りの楽しさを体験できるワークショップ&展⽰・上映企画も⼤盛況︕
ワークショップ「アニメを描いてみよう︕」

 メインステージ以外のルームでも、アニメ制作の魅⼒を伝えるさまざまな企画を開催。ワークショップでは、アニメーターの⻄野理惠さんを講師に迎えて、アニメの作画体験コーナーを⾏った。
 アニメのキーとなる「絵」=原画と、「中割り」=動画の描き⽅を学べる貴重な機会には、親⼦連れのファミリー層からアニメーター志望の若者まで幅広い年代の⼈々が参加し、満員の回が出るほどの⼤盛況に。⾃分が描いた絵が実際に動いた様⼦を⾒た参加者たちは、驚きの声をあげたり、思わず笑みをこぼしたりと、アニメ作りの⾯⽩さを味わっていた。

ワークショップ「デジタル作画体験コーナー supported by ワコム」

 ワークショップの室内にはペンタブレットの⽼舗メーカー・ワコムの液晶ペンタブレットを4台設置。アニメ制作スタジオで使⽤されているペイントソフト・CLIP STUDIO PAINTを使って、デジタル彩⾊や描画を体験できるコーナーを設けた。
 デジタル作画に関⼼のある⼤⼈から、⾒慣れない液タブに興味津々のお⼦さんまで、多くの来場者が参加。担当者が一人ひとりに使い⽅を解説し、デジタル環境で絵を描くための第⼀歩をサポートした。

原画等展⽰会

 展⽰ルームでは原画や絵コンテ、キャラクター設定画などを⼀挙公開。『彼⼥の想いで』を中⼼に、武蔵野市のあるスタジオにちなんだ制作資料をラインナップした。
 ⼀部の資料は⼿に取ることができ、原画のコピーをパラパラとめくって動きを確認したり、タブレットに流れる本編の映像と⾒⽐べてみたりと、アニメが完成するまでに多くの制作物が⽣み出されていることがよくわかるコーナーとなった。

蔵出し︕アニメ上映会

 上映ルームでは武蔵野市のアニメ・スタジオが⼿がけた作品を中⼼に、映画やTVアニメ、OVA、MVなど全15プログラムを上映。1990年代から2020年代までのタイトルが揃い、ジャンルもファンタジーやコメディ、アクションなどバラエティ豊か。配信サービスでは観られない作品もあり、熱⼼にスクリーンを⾒つめるファンの姿が印象的だった。

「ANIME FANTASISTA JAPAN 2024」開催概要

 開催⽇時︓2024年8⽉11⽇(⽇)・8⽉12⽇(⽉・祝振替)11時開場
 開催場所︓吉祥寺 エクセルホテル東急 7F (住所︓東京都武蔵野市吉祥寺本町2-4-14)
 参加⽅法︓⼊場無料/イベント有料
 後援︓武蔵野市、武蔵野商⼯会議所、武蔵野市観光機構、武蔵野市⺠社会福祉協議会
 協⼒︓アニメノマンガノムサシノ、武蔵野市内のアニメーション制作会社
 協賛︓武蔵境⾃動⾞教習所、Beyond C.
 主催︓ANIME FANTASISTA JAPAN 実⾏委員会
 公式サイト:https://anime-fantasista-japan.jp/(外部サイト)
 公式X:@afj_fantasista

■武蔵野市に本拠地を置くアニメーション制作会社(今回の参加会社⼀覧)

 Animore(株)
 (株)ウィットスタジオ
 (有)オレンジ
 (株)サイエンスSARU
 (株)ジェー・シー・スタッフ
 (株)シグナル・エムディ
 (株)シルバーリンク
 (有)スタジオキャブ
 (有)スタジオ・ザイン
 (株)スタジオディーン
 (株)スタジオポノック
 (株)STUDIO4℃
 (株)スペースネコカンパニー
 (株)Seven Arcs
 (株)タツノコプロ
 (株)プロダクション・アイジー開

(オフィシャル素材提供)

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