イベント・舞台挨拶

『ナミビアの砂漠』ジャパンプレミア

Ⓒ2024『ナミビアの砂漠』製作委員会

 登壇者:河合優実、金子大地、寛一郎、山中瑶子監督

 第77回カンヌ国際映画祭で、国際映画批評家連盟賞を受賞した映画『ナミビアの砂漠』のジャパンプレミアが都内で行なわれ、 女性監督として史上最年少で同賞を受賞した山中瑶子監督とキャストの河合優実、金子大地、寛一郎、が舞台挨拶に出席。会場に詰め掛けた観客から大きな拍手で迎えられた。

 本作は、「世の中も、人生も全部つまらない」と、やり場のない感情を抱いたまま日々を生きている、21歳のカナ(河合)が主人公。優しいけれど退屈な“ホンダ”(寛一郎)と別れ、自信家で刺激的な“ハヤシ”(金子)と、新しい生活を始めてみたものの、恋愛すらただの暇つぶしにしか思えないカナが、次第に自分自身に追い詰められていく姿が描かれる。

 これまでに日本で国際映画批評家連盟賞を受賞した作品は、小栗康平監督の『死の棘』(1990)、諏訪敦彦監督の『M/OTHER』(99)、青山真治監督の『EUREKA ユリイカ』(2000)、黒沢清監督の『回路』(01)、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』(21)。山中監督は、「自分が影響を受けたり、圧倒されたりした作品ばかりです」と自身の受賞の喜びを語る。上海国際映画祭でのアジアプレミアでも絶賛されている。

 ヒロインのカナを演じた河合は、俳優になる以前の18歳の頃に、山中監督の初監督作品の映画『あみこ』(ぴあフィルムフェスティバル観客賞受賞、ベルリン国際映画祭フォーラム部門に史上最年少で招待された)〉を観賞し、衝撃を受け、俳優になりたい熱望するようになった。その熱い思いを山中監督に『いつか山中監督の作品に出たい』と手紙で伝えていたという。それから5~6年がたって河合の夢が叶い、山中監督とのコラボが実現した。

 河合は「一緒に撮影できることや、完成した作品を皆さんに届けられることを楽しみにしていた作品です」と熱い思いをかみ締める。劇中、河合は、いじわるで、嘘つきで、暴力的ながら中毒的な魅力を持つ21歳のカナという難役を体当たりで演じた。

 山中監督は「映画などで河合さんを見かけるようになって、“あの約束はまだ効いているのな?”と思っていました。私は脚本を作るのに時間がかかるので、かなりお待たせしてしまったのですが、河合さんの存在に背中を押されたので、“感無量”です」とコラボ実現への思いを話した。

 河合は監督の言葉を受けて「良かったです、相思相愛で。どっちかが忘れてるとかじゃなくて良かったです」と、コメント。お互いが存在を認め合い、タッグが実現した。
 役作りについて、河合は「監督とお話をしたときに、わたしの要素をかなり取り入れたとお聞きしたんですけど……。人の話を聞いていないところですね(苦笑)。さも聞いているかのような顔をして、実は聞いていないということはたまにあります」と明かして会場を笑わせた。

 また、河合は映画祭への参加で、「賞をいただけるとは思っていなかったですが、上映されることで、観客の皆さんの反応がダイレクトに伝わってきたので、自分たちが面白いと思って作った作品が海を越えても伝わるんだと驚きましたし、嬉しかったです」と話した。さらに、カンヌにみんなで行けたことで、撮影前よりも仲が深まったことも話した。

 共演の金子も「最高でしたね!」と大きな笑顔で、「海外の映画祭(カンヌ)は初めてです。贅沢だなぁ~って。ずっとニヤニヤしてました。完全に浮かれてました」と振り返った。劇中、金子は、カナと付き合い始める自信家のクリエイター・ハヤシ役を演じた。自分がどの役を演じるか分からない段階で脚本を読んだという金子は「そのときは僕が、ホンダを演じるんだと思っていました。すごく役に共感できたんです」と告白。

 寛一郎は、カナに尽くすものの捨てられてしまう“優しくても退屈な男”ホンダ役を演じた。「脚本には『退屈な男』とは書いてないんですが、退屈な男という設定は僕から来たんじゃないかな? ネガティブな意味じゃないし、自分を卑下しているわけじゃないけど……」とコメント。そんな寛一郎を山中監督は「寛一郎さんが“ホンダ”という役にかなり奥行きと立体感を与えてくれたと思います。恥をかくことをまったく恐れない感じが本当に素晴らしかった」と称賛した。

 長編映画初挑戦となる山中監督は「2時間を超えるような長編映画を作るのは初めてだったので、私だけの脳では書ききれなかった。若いスタッフとか、友人とか、全然知らないカップルとか、いろんな人に話を聞いて具体的にエピソードに反映している箇所もあります」と話した。

 終盤に自身のキャッチコピーを紹介するコーナーがあり、金子が「陽気な小心者」。寛一郎が「天邪鬼で、わがままな、飽き性」と回答。「プロクラスティネーター」と書いた河合は、「最近、家族に教えてもらった言葉で『先延ばしするクセのある人」とのことです」説明すると、山中監督が「それなら私が一番、そうです。だって、ずっと脚本を待たせてしまったから」と話して、会場に笑いを誘った。

 最後に、河合が客席に向かって「私にとって、思い入れのある作品です。みんなの作品への愛が強くて、みんなで自由に楽しみながら作りました。心をまっさらにして楽しんで観てください。びっくりする映画になっています」とメッセージを伝えた。

 (取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

 製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
 2024年9月6日(金) TOHOシネマズ 日比谷 全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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