イベント・舞台挨拶

『箱男』公開記念舞台挨拶

© 2024 The Box Man Film Partners

 登壇者:永瀬正敏、浅野忠信、白本彩奈/佐藤浩市、石井岳龍監督

 作家・安部公房による同名小説を『狂い咲きサンダーロード』『パンク侍、斬られて候』の石井岳龍監督が念願の映画化にこぎつけた『箱男』がついに公開となった。公開翌日となる8月24日(土)には都内映画館で公開記念舞台挨拶が実施され、主演の永瀬正敏、共演の浅野忠信、白本彩奈、佐藤浩市、そして石井岳龍監督が登壇した。

 27年前にドイツでのクランクイン前日に撮影が頓挫するという悲劇を経て、安部公房生誕100年の今年、悲願の完成&公開となった本作。主人公・“わたし”役の永瀬は念願の封切りに「言葉にならないですね。本当に感無量です」と喜びを噛み締めていた。

 石井監督は51年も前の原作を映画化したことに「ストーリーも映画にしたら面白いと思ったけれど、何よりも箱男というキャラクターが凄い。映画的に絶対に面白くなると確信して憑りつかれました」と世界観にゾッコン。

 永瀬も「原作に現実世界が近づいてきた気がする。安部さんは預言者ではないか。観客の理解度も27年前よりも深くなって、それを感じてくれる人が当時よりも増えるのではないかと思う」と27年という歳月は必要な時間だったと述べた。

 さらに、箱男殺害の完全犯罪を目論む軍医役の佐藤も27年前当時キャステイングされていた一人で、「当時に比べて今は情報量が広がっているのに、何かがすごく狭くなっている社会になっている。原作が生まれた51年前と27年前と今と、その変遷が非常に興味深い」と2024年に公開される意味を考察した。

 また、わたしの宿敵となるニセ医者役の浅野は、今回の抜擢について「27年前に頓挫したものが復活したことにビックリしたし、期待もあった。皆さんが27年間温めていた想いに乗り遅れないよう、思い切りやりました」と意気込み十分。

 ニセ医者が開く安部医院で看護師を務める葉子役の白本は「今回の参加は恐れ多かったですが、オーディションの段階から心は固めていたので、浅野さんと同じようにやるぞ!という気持ちでいました」と気合をみなぎらせていた。

 27年の時を経て再び箱をかぶった永瀬だが「実際にかぶってみるといろいろな気持ちになる。安心感もあるし恐怖感もある。皆さんにもぜひ一度体感してもらいたい。街中でかぶるのはさすがにまずいけれど……」と太鼓判。撮影中は「暑い! 浅野君は箱の中でほぼパンイチでいたけれど、その気持ちがわかるくらい暑かった」と苦労もあったという。その浅野は箱をかぶった感想を聞かれると「箱の中に入ると皆が僕の存在を忘れてくれる。誰にも相手にされない。でもそれが心地よくなって、そこで箱男の気持ちを理解しました。見られないのは心地が良いし、誰も相手にしてくれないので中でパンツを脱いでも気づかれない」と話すと会場からは笑いが起きていた。しかし、箱男になった永瀬とは不思議とアイコンタクトが取れていたそうで、永瀬は「俺だけ気づいたりして。箱男同士、何かが目覚める」と経験者同士分かり合っていた。一方、佐藤も箱の中に入ったそうだが「あの箱は僕サイズに出来てはいないので、目線の高さが合わずに苦労しました。箱をかぶった中での動きは想像できないくらいキツイ。(永瀬と浅野の)二人は大変だったと思う」と労っていた。

 最後に石井監督は、27年越しに完成させた『箱男』について「自分にとって『箱男』とは何か? それは分からない。分からないというその謎が惹きつけているんだと思う。映画とは観ていただいた一人ひとりの心の中で作るものだと思うので、皆さんの中で見えた“箱男とは何か?”を教えてもらいたい」と反響に期待。永瀬は「映画の最後の最後に一つの問いかけがあります。観ていただいた方にはそれで分かってもらえるはず。原作では“わたし”ではなく“僕”と書かれていますが、映画では“わたし”です。“わたし”とは男女問わずに使うものなので、箱女もあるということ。そして石井監督はご自身のことを“僕”でも“俺”でもなく、“わたし”としゃべる。石井監督こそ『箱男』なのではないかと思います」と鋭く分析していた。

公開表記

 配給:ハピネットファントム・スタジオ
 全国公開中

  (オフィシャル素材提供)

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