登壇者:緒方憲太郎(Voicy代表)、堤 幸彦監督
9月1日(日)、映画『夏目アラタの結婚』のティーチインイベントが開催された。
9月6日(金)の公開まで一週間を切るなか、厳選されたコンテンツを“ながら聴き”できる音声の総合プラットフォームVoicyの代表である緒方憲太郎と堤 幸彦監督がティーチインイベントに登壇。
実は緒方は、『夏目アラタの結婚』にて、黒島結菜演じる、品川ピエロの異名を持つ連続殺人犯で死刑囚の品川真珠に殺された3人の社会的成功者のうちの一人を演じている。
今回、異色の出演となった経緯や、堤監督との関係、出演者として作品を見た感想だけでなく、映画というメディアをどう捉えているのか、そして起業家から見た堤監督作品の魅力、本作の面白い点などをVoicyのパーソナリティたちの前で語った。
本編の上映終了後、およそ50人のVoicyパーソナリティの前に登壇した、Voicy代表の緒方憲太郎と堤 幸彦監督。
緒方と堤監督、一見すると接点がなさそうに見える2人だが、実は過去、堤監督が緒方のラジオ番組にゲスト出演。その際、“殺人犯に殺される実業家の役”を探していた堤監督が緒方に出演をオファーし、緒方の本作への出演が決定した。緒方が演じるのは、黒島結菜演じる死刑囚・品川真珠に殺された3人の社会的成功者のうちの1人目の被害者・周防英介という物語のきっかけとなる重要人物。
緒方はイベント冒頭、「今日僕も改めてみんなと一緒に観まして、僕の出るシーンで苦笑が起こっていてどうしようかと思いました(笑)。僕が思うに、一番出番の短いキャストとして監督と一緒に登壇させていただくと思うのですが、今日は堤監督にいろいろお伺いさせていただきたいと思います!」と挨拶し、ティーチインイベントはスタート。
2回目の鑑賞だったという緒方は「漫画もどんでん返しの連続で、1回目観た時分からなかった部分も今回、とてもしっくりきました」と言うと、堤監督も「2回観ないと分からない、ということは悪いことではなく、僕自身1回で分からなかったとしても、その奥に感じる何かがあるような映画が好きで、結論を押しつけがましくするよりも、曖昧なところがあるほうが良いなと思っています」とコメントし、「僕だけでなく、プロデューサー、脚本家、編集、音楽、スタッフのみんながいることで、この映画は完成しています。今回は今までにないくらい編集にとても頭を悩ませましたが、編集の洲﨑さんがとても良いものを仕上げてくれて、さらに作品のレベルを高めることができました」とチーム全員で作り上げた、本作の出来栄えに自信をのぞかせた。
緒方は堤監督に「僕のこと、出して大丈夫でしたか?」とストレートな質問を投げかけると、会場からは笑いが巻き起こり、「ご一緒した黒島結菜さんが、マウスピースをつけて撮影されていて『外したい』と言っていたのが印象的でしたね」と言うと堤監督は、「あれがないとこの作品は成立しないので、あれをやっていただけるかどうかにかかっていました」と振り返った。緒方は続けて「撮影の時に、控室で、他の被害者の方と一緒になって、『堤監督が僕と似た方を集めてくださったのかな』、と思っていたらお二人とも俳優をちゃんとやられている方で、恐縮してしまいました(笑)」と笑いながら振り返ると、堤監督は「でも緒方さんに出ていただけて正解でした。あの立ち位置はとても重要で、どういう殺人事件なのか、ちゃんとした説得力を持たせる必要がありました。今回、僕はこの作品を『顔面歌舞伎』と言っていますが、顔のアップをたくさん使っていまして、それだけ顔の持つメッセージ性が重要なんです。そう考えると、緒方さんの顔の持つメッセージ性が一番強いんです! 演技という嘘がないので!」と力強く語ると、今日一番の会場から笑いと拍手が起こった。さらに緒方は「これだけ多くの作品を製作されていていると、改めて自身の作品を見直した際に、やり直したいなと思うことはあるんですか?」と単刀直入に質問すると、堤監督の「あります! しょっちゅうあります!」とまさかの回答で会場から驚きの声が上がる一幕も。
緒方が撮影の裏話として「自分の出演シーンの撮影前日、めちゃくちゃセリフ覚えるのを練習したのですが、当日現場で堤監督に『そのセリフを頭を壁に打ち付けながら言ってみて』とお願いされまして、結構強めに頭打ち付けて頑張ったんですが、本編では『楽になりたいんだ……』のみ使われていて、ほとんどカットされてましたね(笑)」と明かし、堤監督は「申し訳ないです! ただ、現地で撮影場所を見て、緒方さんの姿を見てみないと思いつかないこともあったので(笑)。ぜひ緒方さんのそのシーンにもご注目いただきたいです!」。
最後に緒方が「監督として、どういうふうにこの作品をお客さんに楽しんでいただきたいですか?」と質問すると、堤監督は「最初はなかなか混乱すると思いますが、今日緒方さんが言ってくださったように、2回ご覧になっていただくと意味が分かることが多いかと思います。人間の脳は不思議なもので、最初に観ただけで混乱、混沌としていたものも、2回目見ると整理整頓されて、より多くのことを受け取れるようになるみたいなんですね。なので2回、立体感のある劇場でお楽しみいただけたら嬉しいです」と公開を間近にして、改めてメッセージを送り、イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。
公開表記
配給:ワーナー・ブラザース映画
9月6日(金) 全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)