イベント・舞台挨拶

『マンガ家、堀マモル』公開記念舞台挨拶

©2024「マンガ家、堀マモル」製作委員会

 登壇者:山下幸輝、桃果、seta、武 桜子監督、野田麗末監督

 描けなくなってしまった新人漫画家・堀マモルの前に、3人の幽霊が現れたことから巻き起こるさまざまな出来事が、過去と現在そして未来を繋ぐ物語、映画『マンガ家、堀マモル』がついに公開、8月30日(金)に初日舞台挨拶が実施された。スランプに陥り、新人賞を獲って以来、描きたいことがわからなくなりスランプ中のマンガ家で、アパートに突如現れた3人の幽霊たちの話をマンガにしていくことになる主人公・堀マモル役の山下幸輝、マモルの幼馴染で、二人でマンガ家になる夢を追っていた佐倉 春役の桃果、原作&主題歌を務めるシンガーソング・ライターのseta、武 桜子監督、野田麗末監督が登壇した。

 満席の観客の中ついに初日を迎えた感想を聞かれると、山下は「本当に嬉しい限りです。実は、大阪にいる僕の父が今日この舞台挨拶にも来る予定だったのですが、台風の影響で来られなくなりまして。『残念だったね」というLINEをしたら、『今朝映画を観たよ!』という返事があって、楽しんでくれたようでほっとしました」と喜んだ。桃果は「この作品は老若男女の皆さんが観終わった後温かい気持ちになる作品だと思うので、早くたくさんの方々に観ていただきたいという気持ちでいっぱいです」と、温かさが詰まった本作をアピール。
 山下は、オファーを受けた時の気持ちを聞かれると「プロデューサーの方が、僕が上京してきて初めてお会いした優しい大人の方だったんですよ(笑)。そのときに、『いつか幸輝くん主演で映画を作りたい』と言ってくださっていて。まさかそれが現実になるとは思っていなくて、お声がけいただいた時に『頑張って良かったな』と思いました。」と感無量の様子。

 脚本はほぼ当て書きで、“僕自身の事が描いているようで、自分の今までの人生を俯瞰で見られている気がしてゾッとした”と語るほど自身とリンクしていたというマモル役だが、山下は「マモルが発する言葉や動きなど、全部が愛おしいんですよ。ほぼ僕自身だったので、演じる時は深く考えずに演じていまして、映画を観たら、それがナチュラルに表現できていて良かったです」と役への想いを語った。

 原作のsetaは、物語が生まれたきっかけについて「最初は佐倉春を主役にした『幽霊ハイツ203号室』というお話を書いていて、そのお話のあるパートにいたのが、スランプ中のマンガ家、マモルでした。マモル役を山下さんが演じてくださることが決まり、さらにマモルを主役にしようとプロットを書き直しました。山下さんご本人はすごくかっこいいけど、マモルは抜けていて若干ダサ可愛いキャラクターなので、その可愛らしい部分のイメージを膨らまして書き直しました」と回顧。

 setaの原作が映画になるうえで、武監督、野田監督、榊原監督がメガホンを取り、長編作品で監督3人という少し珍しい形の本作。武監督は「脚本を作っている時は、短編の連続ドラマを作る予定だったんです。複数人の監督がいるとそれぞれの信念がずれると作品作りが難しくなってしまう部分もあると思うのですが、今回は主人公がマンガ家なので、“作り手”という共通点がありました。創作する意義、というものに焦点を当てる形なら、監督全員で同じ方向を向いて話を掘り下げていけそうだね、と今の形になりました」、野田監督も「3人全員が毎日現場に行って、3人で1つのモニターを見つつ、3人全員で作り上げた作品です」と3人での作品づくりを振り返った。

 それを受けた山下は「撮影中、毎日監督の3人がずっといてくださって、意見がバラバラになるというより、3人いてくださる分どんどん盛り上がっていく感覚がありました」、桃果も「すごく安心感がありました。3人分の意見も聞けるし、頼りにできるような温かさがありました」と、3人いるからこその安心感だったようだ。

 桃果は初共演の山下の印象について「もう動きや行動がそのままマモルなんですよね(笑)。現場中でも木の棒で絵を描いていたり、一人遊びをされていて。そのマイペースさもマモルらしいな、と思いながら見ていました」と、共演者から見てもまさしくマモルそのままだったという。

 今作は槇原敬之の「うるさくて愛おしいこの世界に」がエンディングテーマとなっており、setaは「脚本があがってきて、今回マモルと春の関係性を今一度見直して歌詞にしたのですが、槙原さんからあがってきた歌詞が、打ち合わせをしていないのにマモルと春の関係性を捉えて書いた歌詞になっていたんです。それにはすごくびっくりしました」とさすがのエピソードが飛び出した。

 劇中に3人の幽霊が出てくることにちなんで、これまでの人生で“科学では解明できない不思議な体験”を披露。野田監督は「うたた寝をした後などに時計を見ると、4時44分だったりすることが死ぬほど多い」というエピソードを披露し、周囲からは「働きすぎですよ」というツッコミが。さらに武監督も「作業をする事務所が、誰も入ってきていないのに扉が開く音がしたり、幽霊とご縁がありそう」ホラー・エピソードが続いた。setaは「自分としてはこの現象が一番不思議です。私が原作を書かなければ出会えなかった人たちと、この映画の世界を見せていただいて、今が不思議な気持ちです」と喜びの気持ちを語った。続けて桃果は、「招き猫現象があります。私が空いているお店に入ると、その後混むんです!」と福を呼ぶエピソード。山下は「人を見ると、その人の色と数字が見えるんです。例えば、『君は6で紫に見える』と伝えると、『すごい! 私、紫が好きなんです!』と、何故か当たっちゃうんですよ!」と不思議な能力があることを披露。そこで山下に桃果に見える数字と色を聞くと、「色は黄色で、数字は6」とのこと。桃果は「う〜〜〜ん…黄色は……ひまわりが好きです」と若干無理矢理(?)絞り出して、会場には笑いが起きていた。

 最後に山下は、「今回はありがとうございました。本当に感無量です。寒い時期に皆で頑張って撮影して、スタッフさんやこの映画から、たくさんの温かさを受け取りました。マモルの一つひとつの言葉や、可愛いところもまっすぐなところも全部受け止めてほしいと思います。」と締めくくり、舞台挨拶は和やかなムードで終了した。

公開表記

 配給:ナカチカピクチャーズ
 2024年8月30日(金) 公開

(オフィシャル素材提供)

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