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性被害を正しく伝える映画を作りたい。長編映画『それでも、』制作支援プロジェクト クラウドファンディング開始

 同志社大学文学部哲学科4年の佐藤諒介は、自主製作長編映画『それでも、』を監督するにあたり、その制作資金をクラウドファンディングサイト「MotionGallery」にて募集を開始した。募集期間は2024年9月1日(日)から11月25日(月)で、募集金額は50万円を目指す。

 クラウドファンディングサイト URL:https://motion-gallery.net/projects/soredemo_208(外部サイト)

『それでも、』立ち上げの背景

 私は高校生のときに、ある映画の影響から、初めての長編映画監督作で性被害をテーマにした『生きる』(2018)という作品を撮りました。性被害を題材にするにはまだ若かったというのもあり、うまく語りきることができなかった(実際に内容が背伸びしているという審査員の意見もありました)ため、同じテーマでいつか撮り直したいという想いを抱えていました。
 そんなさ中、私の好きな映画監督の性加害問題が報道されました。私は心の中で、ずっと性加害を否定しておきながら、性加害者である、とある監督の映画を嫌いになれない自分に矛盾を感じるようになりました。
 また、他にも有名人の性加害が報道され、さまざまな人の意見を見ていく中で、世間ではあまり性被害に対して正しく理解している人が少ないと感じました。
 だからこそ、私は今こそ性被害への正しい理解を観客に届けなければならない使命があると感じて、この映画を作ることを決意しました。

この映画にかける想い

 この映画では、次の2点を意識して制作します。
 ① 第三者が被害者に対してどのように向き合っていくべきか
 ② 性被害の再演をしているかもしれないという自分とレイプ以前の日常の自分(性に興味関心が強かった自分)という自己矛盾

 ① 本作のキャッチコピーである“私はいつまで「被害者」なの?” は、性被害に遭った人が、いつまでも性被害のトラウマから抜け出せずに苦しんでいることを表現しただけではありません。
 「被害に遭った人は、いつまで被害者を演じ続ければいいの?」
 世の中の性被害の認識は、実情とは乖離しており、まだまだ偏見や先入観によるものが多いです。そうした憶測が、被害者は被害者らしく振る舞い、可哀そうな人であり続けさせようとするのではないでしょうか。はたして、うまく笑えず、幸せになれないのは、トラウマから回復していないという当事者の問題にすぎないのでしょうか。それとも、私たちの無自覚な眼差しが、性被害に遭った人を幸せにさせないように仕向けているのでしょうか。安易な理解や発言は、セカンドレイプを巻き起こし、被害に遭った人の心をさらに殺していってしまいます。私たちにできることは何なのかを今一度問い直してみたいのです。
 ② 性被害者はトラウマを抱き、フラッシュバックし、性的なことを避けて生きようとする人もいます。その一方で、性に奔放となり、風俗や売春をするケースも多くあります。それはトラウマの記憶を薄れさせるためであったり、他者から必要とされる喜びからだったりします。では、性被害以前の自分が性に対して興味関心が強かった場合、どのような選択をするのが正しいのでしょうか。答えの出せない問いにぶつかっていくことで、類型ではなくその人個人と向き合うことの大切さ、難しさを取り上げていきます。
 これらを踏まえながら、性被害の実態を正しく伝えられる映画を作ります。

あらすじ

 真木芳子は、高校1年のときに当時付き合っていた男から性暴力を受ける。
 それ以来、芳子はいろんな男と性交渉を繰り返すようになる。トラウマの再演、性被害の再演をしているかもしれない自分と、性被害以前の性に対して一際関心が強かった自分。私が性交渉を好むのは、どちらによるものなのだろうか。男たちは芳子の過去を知ると、「助けてやる」と言ってくれる。でも、その度に私は助けてもらわないほど、哀れな存在なんだと感じてしまう。私はまだ過去のトラウマに苦しむ「被害者」なんだ。そんな辛い現実から抜け出すために、みんなが手にしている日常を欲しいと思い始める。みんなみたいに笑えて、幸せを感じるそんな日々を。
 芳子は結婚して、夫と妻、子ども一人の温かい家庭を夢見る。しかし、なかなか子宝に恵まれず、不妊治療をしてもうまくいかない。夫の態度も初めて出会ったころから変わって、威圧的になっていく。芳子は夫への愛が冷め、家を出る。
 5年の結婚生活が終わり、車で一人休んでいると、「一緒に乗せていってほしい」と見知らぬ女性・吉澤 幸が現れる。幸とのドライブを楽しむ道中、セクハラをしてくる男と出会う。芳子はフラッシュバックして苦しくなる。うまく笑って過ごせる幸を見て、羨ましく妬ましく思う。とうとう、芳子は幸をバットで殴ってしまう。
 みんなみたいになりたかった。みんなみたいな日常を送りたかった。ただそれだけなのに――。

主演:真木芳子役:谷本紗優奈 コメント

 私は今、関西の映画と舞台に出演しながら、演技を勉強していますが、もうすぐ、関西を出て東京に行きます。演技は学べば学ぶほどその魅力が見えてきて、私は女優として「生きる」ことを決めました。
 芳子は、性被害に遭い、PTSDに苦しみ、何度も死を考えますが、それでも「生きる」ことを選びます。その過程を逃さず丁寧に演じていきたいと思います。芳子という存在を、映画を通して肌で感じてもらえる、そんな作品にしたいです。

プロフィール
 2004年生まれ、滋賀県出身。同志社大学文学部国文学科3年。
 主な出演作は、【舞台】『お憑かれ夏(サマー)』母(梅宮実流)役(2023.10)、『霊媒師 竹林道参完の巻き込まれ事変』桜辺薫役(2024.2)、No One Novus vol.1(ショーケース)『死後になって分かること』櫻坂優里役(2024.7)。【映画】『僕の愛しきミ・アモール』(2023/藤井暉大監督)、『どうしようもない』(2023/佐藤諒介監督)、『春から大学生(仮)』(2024/藤井暉大監督)などがあり、そのどれもで主演を飾る。また、滋賀県信楽町観光PR動画『わたしだけの信楽見つけてみよう』(2024.5)、京阪モールインスタグラム公式タイアップ企画 イメージモデル(2024.6~2024.8)など幅広く活躍中。

監督・脚本:佐藤諒介 プロフィール
 2002年生まれ、愛知県出身。同志社大学文学部哲学科4年。
 高校から映画制作を始める。高校のときに、短編2作、長編2作を監督する。高校生最後に作った映画『魂のゆくえ』(2019)が高校生のためのeiga world cup2019で入選。続く、大学時代では、学内最大規模の自主製作映画サークルF.B.I.で、短編1作、長編3作を監督する。本作で初めてのクラウドファンディング実施と劇場公開を目指す。

今後の展望について

 本映画は、9月5日からクランクインします。完成しましたら、2025年夏ごろに劇場公開を目指して、活動する予定です。
 また、「SAY YES」や「YAH YAH YAH」、「はじまりはいつも雨」で知られるASKAの楽曲を主題歌、劇中歌として使用いたします。

 主題歌:ASKA 「太陽と埃の中で」
 劇中歌:ASKA 「月が近づけば少しはましだろう」

 私はこれまで、人間の持つ闇、暗い感情に焦点を当て、どうしようもなく生きられない、そんな日々を送る人がそこから見える微かな光を見つけ、希望を胸に生きていく姿を描いてきました。今作も例外ではありません。私は、この映画が誰かにとっての、今日を生きるためのささやかな希望でありたいと思っています。

今後のスケジュール
 2024年9月、12月~2025年1月 撮影
 2025年2月~3月 編集
 2025年夏ごろ 劇場公開を目指すプロジェクト

(オフィシャル素材提供)

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