イベント・舞台挨拶

『ぼくが生きてる、ふたつの世界』完成披露舞台挨拶

©五十嵐大/幻冬舎 ©2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会

 登壇者:吉沢 亮、忍足亜希子、呉 美保監督

 映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の完成披露舞台挨拶が都内で行われ、キャストの吉沢亮、忍足亜希子、メガホンをとった呉 美保監督が出席して作品に込めた思いを語った。

 本作は、コーダ(Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子どもという意味)という生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をする作家・エッセイストの五十嵐大氏による自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」を映画化。脚本は、『正欲』などの港 岳彦が手がけた。第26回上海国際映画祭コンペティション部門に出品された。また、10月に開催される第68回ロンドン映画祭コンペティション部門、第42回バンクーバー国際映画祭パノラマ部門へ正式出品されることが決定している。

 耳が聞こえない両親のもとに生まれ、コーダ/CODAとして育った青年・五十嵐大役を演じた吉沢は、オファーを受けた理由について「呉監督の作品は、すごく大好きな世界観で、いつかご一緒できたら……と思っていました。台本になる前のプロット(筋書き)を読みました。コーダという特殊な環境の物語ですが、描かれているのは普遍的なテーマで、家族の関係性、親子の愛情の変化の仕方みたいなものが描かれていて、共感できる部分が多かった。純粋に素晴らしいお話だなと思ったので、”ぜひ演じてみたい”と思いました」と説明した。

 ろう者俳優として活躍する忍足は、脚本を読んだ感想を聞かれると、「息子の気持ち、母としての葛藤、細かいところまで書かれていました。読んでいて、時折泣いたりもしました。この作品に参加できて本当に良かったです」と笑顔。忍足は、大の母・明子役を熱演。

 映画『そこのみにて光輝く』(2014年)などで知られる呉監督にとって9年ぶりの長編作品となる。呉監督は吉沢をキャスティンしたグ理由について聞かれると、「映画やドラマを見ていて、吉沢さんってすごく素敵だなと思っていたんです。吉沢さんは美しい人。その中にある“美しくない何か”を見たいと思いました。彼とこの企画は相性がいいんじゃないかなと思ってオファーさせていただきました」と説明した。

 忍足については「忍足さんに映画の1シーンを演じてもらったんです。それを見たときに、私は忍足さんの娘ではないのですが、お母さんにこんなことを言わせてしまった申し訳ない気持ちでいっぱいになったんです……。この方にぜひやっていただきたいと心から思いまして」と話した。また、脚本を手がけた港 岳彦について、呉監督は「以前2本の企画を進めていたのに成立せず、今回が3度目の正直です。成立させたい一心でした」と吐露。念願のタッグとなった。

 吉沢と忍足は、初共演となる。吉沢は忍足について「本当に温かい方ですね。忍足さんと父役の今井(彰人)さんの手話は温かくて現場でもすんなり入ってくるんですよ。分かりやすくやってくださっていたとは思いますが、何を言っているかがすごく分かるんです。そこに僕は勝手に愛情を感じていて、本当に温かいご両親だと思いました。忍足さんは、一緒にお芝居をさせていただいてチャーミングで素敵なお母さんだなと思いながらやらせていただいていました」と優しい笑顔で共演時の印象を話した。

 実生活で中学生の娘がいるという忍足は、「息子を持つってことは、こんなにドキドキ、ワクワクするものなのかと思いました。吉沢さんは本当に素晴らしい息子で、手話も自然に少しずつ習得されて、息子としての手話表現を見て感動していました」と共演を振り返り、吉沢に優しい眼差しを向けた。

 6月に開催された上海国際映画祭では3人でレッドカーペットを歩いた。今後も多くの映画祭で上演されることについて吉沢は「本当に光栄な限りです。国や文化を問わず、観ていただいた方に伝わる普遍的なテーマなんだなと改めと思いました」とコメント。呉監督は「日本だけでなく海外の方にたくさん観ていただけたことが嬉しいです!」と大喜び。

 最後に、吉沢は「この作品に参加させていただいて、言葉を伝える大切さを改めて感じました。今回、手話と出合って感じたことですが、手話の世界は愛に溢れています。気持ちは伝えなきゃ伝わらないということをこの映画を観てそれを感じ取っていただけたら……。たくさんの方に楽しみながら観ていただきたいと思っています」と客席に向かって熱いメッセージを伝えた。

 本作では、母親役の忍足、父親・陽介を演じる今井彰人をはじめ、ろう者の登場人物にはすべてろう者の俳優を起用している。

 (取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

 配給:ギャガ
 9月20日(金) 新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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