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ノルウェー発、心と体を癒すスローシネマが登場『ヒューマン・ポジション』本編映像~猫のいる生活篇~解禁

© Vesterhavet 2022

 病気の療養から復職した新聞記者がなにげない日常や社会との繋がりから心の居場所を見出してゆく、静かな癒しの映画『ヒューマン・ポジション』がいよいよ9月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開となる。とある病気の療養からの経過を見つつ日々を過ごす主人公の傍には、常に猫がいる。何をするともなく窓の外を見つめ、気が向いたら悪戯をし、お腹が空いたら食べ、眠る。現代のスピーディーな生活感覚のなか、猫のマイペースな生活が傍らにあって、調子を崩した人間もどこかそれをお手本にするかのように癒しを見出す。ガールフレンドとの日々の営みのなかで、猫の手も借りながら自分自身を立て直してゆくアスタの姿は、猫好きには納得の描写。このやたらと人懐っこい猫、なんとアンダース・エンブレム監督の愛猫、その名もフロッピーくんなのだ!
 映画公開に先立ち、さまざまな「生活と猫」をテーマに編集された本編映像「猫のいる生活篇」が初解禁となる。さらに助演俳優賞間違いなしの超キュートな独占初出しフロッピーくんのグラビア写真も同時解禁!

ノルウェーの哀愁漂う港町の新聞社。
職場復帰した彼女は、どこかもの悲しくて、あてどない。

 青くて、物悲しいノルウェーの長い夏。うっとりするような静けさの中、パステル・カラーに包まれた港町の丘をゆっくりと登って振り返るアスタ。新聞社に勤める彼女は、地元のホッケー・チーム、アール・ヌーボー建築を保存するための小さなデモやクルーズ船の景気など地元の人々を取材しニュースにする。彼女の支えとなるガールフレンドのライヴは、デザイン・チェアを修復し、キーボードを演奏し、作曲をする。子猫が歩きまわる家で、料理を作ったり、古い映画を観たり、ボード・ゲームを楽しんだりと二人は穏やかな時間を過ごしている。ある日、アスタは10年間ノルウェーに住み、働いてきた難民のアスランが強制送還されたという記事を目にする。その事件を調べて行くにつれ、アスタは自身を覆っていた無気力感を払拭し、仕事とプライベートの両方で自分が求める“心の居場所”を次第に見出していく……。

いつだって猫の自由な心が、不自由な人間の心を開放してくれる――
優しさと静かな時間に満ち満ちた、実は隠れた猫映画。

 今回解禁された本編映像は、さまざまな「生活と猫」をテーマに編集されたもの。アスタとライヴの二人の食卓には、必ず猫がいる。広げた新聞の上もお構いなし、隙あらば何か食べてやろうと試み、または遊ぼうよと誘う。見えない何かを追ってみたり、一人掛けの椅子にもまるで自分のベッドかのようにのびのび寛ぐ。アスタのお腹の上も落ち着く。でも実はアスタも同じ気持ちで、お腹の上に猫がいるとそれだけで嫌なことも忘れて優しい気持ちになれる。寝るときも一緒だ。窓の外を見るのが大好きで、いるだけで知らず知らずアスタや二人の時間を優しい時に変えていくこの不思議な生き物。時々の悪戯には目を瞑ってやりたい。癒しの本編映像第二弾&独占初出しグラビア写真が解禁となった。

 監督は、本作が長編2作目となるノルウェーが生んだ才能アンダース・エンブレム。フィヨルドに囲まれ、絵画のような色彩豊かな風景で「ノルウェーで最も美しい街」と称される監督の故郷オーレスンを舞台に、写真集を捲るように優しく美しい筆致で、主人公の心の機微や日常を丁寧に描く。繰り返されるショット、音楽の不在、削ぎ落とされた行間、街の音はもちろん呼吸音まで聞こえてきそうな長い静寂……。アスタとライヴを取り巻く環境を、カメラは空気をも映し出すかのようにゆったりと物語る。自身のインスピレーションの源としてロベール・ブレッソンと小津安二郎を挙げるエンブレム監督は、劇中でも『お茶漬けの味』のセリフを登場させ、その小津愛溢れる演出には誰もがニヤリとするだろう。また、もう一つの主役とも呼べる椅子への想いが、二人をより結びつけている。ある喪失感を抱えた主人公の日常をそっと見守る子猫も、名脇役として作品に貢献している。

 主人公アスタを演じるのは、監督デビュー作『HURRY SLOWLY(原題)』に続いて再びタッグを組んだアマリエ・イプセン・ジェンセン。トラウマを抱える心の揺らぎや内に秘めた聡明さを、透明感を放ちながら抑制のきいた演技で表現。彼女に優しく寄り添うライヴ役にはマリア・アグマロ。そのコケティシュな仕草と歌声でほっこりと作品を彩る。柔道着を着て、着物を着る。日本の映画を観て、囲碁を打つ。箸を使って食事をする。少しずつ描かれる二人の機微を愛でるように心静かに見守るプロセスは、観るものを心和む気持ちに導いてくれるだろう。

 窓越しの淡い新緑、葉のざわめき、風の通る木陰、船にぶつかる波の音、新聞のページを捲る音など、何気ない日々のスナップ・ショットを並べたような描写と共に、柔らかな色彩に包まれたこの作品は、静かな佇まいで絵の具が乾くのを見るかのように進む。何かを声高に叫ぶわけでもなく、世界で最も裕福な国の一つといわれるノルウェーに対する、微妙な疑問とメッセージをそっと囁くように投げかける。心拍数を安定させながら、心乱さず高揚させてくれる物語は、“語らずに語る”全てが愛おしいスロー・シネマだ。

公開表記

 配給:クレプスキュール フィルム
 2024年9月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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