イベント・舞台挨拶

『まる』完成報告イベント

© 2024 Asmik Ace, Inc.

 登壇者:堂本 剛、綾野 剛、小林聡美、吉岡里帆、森崎ウィン、荻上直子監督
 MC:奥浜レイラ

 映画『まる』の完成報告イベントがesports銀座 studioにて行われ、映画『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』以来、27年ぶりに映画単独主演を果たした堂本 剛(KinKi Kids)と、共演者の綾野 剛、小林聡美、吉岡里帆、森崎ウィン、メガホンを取った荻上直子監督が出席して作品について語った。堂本と綾野はお互いのクランクアップに駆けつけた話や、お互いの呼び方を明かした。

 本作は、美大卒なのにアートで身を立てることが出来ずに、人気現代美術家のアシスタントをしている沢田(堂本)がある日、事故で腕にケガをして職を失ってしまう――。部屋に帰ると床に一匹のアリが。そのアリに導かれるように描いた○(まる)を発端に、日常が○に浸食され始めるという奇想天外な物語。近年では珍しいフィルムでの撮影。『かもめ食堂』『彼らが本気で編むときは、』などの荻上監督が、沢田役を堂本に当て書きして脚本を書いている。

 KinKi Kidsとしてデビューし、2023年に26周年を迎えた。今は、クリエイティブプロジェクト「.ENDRECHERI.」としても独自の道を切り開いている堂本が、独立後初めて報道陣の前に姿を現したので大勢の報道陣が集結した。

 堂本は「沢田という役は、僕の役者人生と言っていいのでしょうか。今まで数々の役を演じさせていただいてきたのですが、受け身の役というのはあまり演じてきませんでした。今回は受け身の役だったので、非常に難しかったです」と話す。

 続けて「スタッフや共演者、皆さんのお力添えと大きな愛に包まれながら、リラックスして、演じることができました」と堂本は、難しかったという沢田役を演じられたのはスタッフ陣のおかげだと感謝を伝えた。

 主人公の沢田役を堂本に当て書きするために荻上監督は「堂本さんとは脚本を書く段階から何度か打ち合わせを重ねました。(堂本自身が)音楽アーティストでもあるし、共通点があると思いました」と話し、「撮影現場で一緒にお仕事をしていて、想像以上に純粋な方なんだなということが毎日伝わってきました。その堂本さんの純粋さが、沢田という役を通して作品に出ていると思います」と話した。

 堂本は「ワン・シーン、ワン・シーン、撮る前に、かなりのミーティングをしてから撮るという形を取りました。監督の思いが詰まった作品ですが、僕も芝居を楽しんでいました。いろいろな感情をいい意味で忘れながら、役に没頭することができました」と充実感をにじませた。

 沢田の隣に住む、売れない漫画家の横山を演じた綾野は、共演した堂本の印象を聞かれると、「他者に対する愛情、体温をちゃんと届けてくれる方。剛さんとお仕事ができること、ご褒美のような時間でした。とても温かい方で現場ではお互いにぬくぬくしてしまって。こたつに入りながらずっとしゃべっているような感じ(笑)。実家感がありました」とニコニコしながら話した。堂本も「そうそう実家感。のんびりと、しゃべっていましたね」と同調した。綾野は「出来上がった作品を観て、そうやって人同士としてしゃべっている時間が重要だったのかもしれないと思いました」とその時間も映画に反映されていると話した。

 綾野が堂本のことを「剛さん」と呼び、堂本は綾野のことを「僕は、“綾ちゃん”と呼んでいます」と話し、綾野が「今まで誰からも呼ばれたことがない無い呼び方です」と明かしたので、会場に笑いが起きた。

 さらに、綾野は「僕のクランクアップの時に、剛さんが来てくださったんです。とても嬉しかったので、僕も剛さんのクランクアップに行きました」と打ち明けた。花束とチョコレートのケーキを持って駆けつけたのだそう。堂本は「僕のクランクアップ当日は、なんともいえない美しい夕日でした。『撮影終了です』と言われた後に『剛さーん!』って“綾ちゃん”が走ってきたんです。感動的なシーンでしたね」と大きな笑顔を見せた。

 ギャラリー・オーナーの若草役を演じた小林は「堂本さんは沢田としていつも現場にいらっしゃいました。静かな優しい雰囲気は彼の世界だなと思っていました」と話す。
 堂本は「ボーっとしていただけです(笑)。沢田がボーっとした役なので、それが残っていたのかも……」と照れ笑いだった。

 沢田と同じく現代美術家のアシスタントとして働く矢島役を演じた吉岡は、堂本と映画での共演は初めて。「堂本さんと話すと面白いんです。笑わせようとしているわけじゃないのに、“おもしろ”感が漂ってきて、別に笑うことじゃないのに笑っちゃうみたいな。でも笑っちゃうと失礼かなと思って、静かに心の中でフフってなりながら、家に持って帰っていました」と堂本との共演について話した。

 また、現場で堂本が“丸いもの”の写真を撮影していたことが気になっていたという吉岡が「あの写真ってどうなりました?」と質問すると、堂本は「SNS用に現場の雰囲気を撮ってくださいということでスマホを渡されました。演じる役になりきって、身近にある丸いものをめちゃくちゃ撮りました」と話す。その写真は公式SNSで公開されているそう。

 ミャンマー出身のコンビニ店員のモー役を演じた森崎は、「堂本さんは特別な言葉をかけるのではなく、その存在感自体が現場を大きな包容力で包んでいるような。本当に居心地が良かったです」と印象を話す。さらに、「コンビニの撮影場所にクレーン・ゲームがあったんです。剛さんがその前に入り浸っていてずっとゲームをやっていました」と撮影時のエピソードも話す。堂本は「人形のクレーン・ゲームをやりました。たまたま撮影で一緒だった小さな女の子に、『僕この間、ゴールドの人形をクレーン・ゲームで取ったんや』と話したら、『いいな! ゴールドは持っていない』というので、撮影の合間に家まで取りに戻って、ゴールドを渡してあげたら、大きいバージョンの人形と交換してくれました」とほっこり可愛いエピソードを披露した。

 最後に堂本は「この映画に漂う空気はすごく優しいし、ただ優しいだけではない強いものがあります。優しくなること、強くなること、毎日が忙しいとそれを叶えられないことが多いと思います。僕はこの映画を通していろんなことに気づかされました。たくさんの人々のこれからの未来が、もっともっと自分らしい未来につながるように。そんな勇気を与えられたらと思って、みんなで一生懸命に楽しみながらつくりました。世代を超えてたくさんの方々にこの映画と対話してもらいたいです」とメッセージを伝えた。

(取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

 配給:アスミック・エース
 2024年10月18日(金)ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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