イベント・舞台挨拶

『ぼくのお日さま』第72回サンセバスチャン国際映画祭上映舞台挨拶

© 2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

 登壇者:奥山大史監督、池松壮亮

 現在開催中の第72回サンセバスチャン国際映画祭(スペイン現地日程で9月20日~9月28日まで)。本映画祭のザバルテギ・タバカレラ部門に出品された『ぼくのお日さま』の上映が、現地時間9月21日(土) に≪タバカレラセンター≫で行われ、満席の会場に監督の奥山大史、キャストの池松壮亮が上映前の挨拶と上映後のQ&Aに登壇した。

 奥山大史が本映画祭に参加するのは『僕はイエス様が嫌い』以来、実に6年ぶり。待ちに待った新作の上映に地元の映画ファンや学生たちが多く詰めかけた。
 今回『ぼくのお日さま』が上映されたザバルテギ・タバカレラ部門の“ザバルテギ”という言葉は、バスク語で「自由」を意味する。それだけに、挑戦的な意欲作が多く出品され、今年は、レオス・カラックス監督の新作中編も出品されている。

 上映前、まずサンセバスチャン国際映画祭のプログラマーであるビクトル・イリアルト[Victor Iriarte]氏が登壇。
 奥山が、デビュー作で第66回サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞を受賞したことに触れ、「6年ぶりに新たな作品を携えて帰ってきました」と紹介。続けて、『ぼくのお日さま』について、「好きな人の、好きな人が、自分でない。その時に抱いてしまう感情を、どこまでも繊細に描いた作品」と評し、本作を選出した理由を述べた。

 続けて、奥山と池松が登壇し割れんばかりの大きな拍手で迎えられると、奥山は「ブエナス・ノーチェス(こんばんは)。サンセバスチャン映画祭は僕にとって、とても大切な場所です。初監督作『僕はイエス様が嫌い』をニューディレクターズ部門で上映していただき、そこから大きく人生が変わりました。この映画が撮れたのも、サンセバスチャン映画祭のおかげです。大切に作った映画と共に、こうして戻って来られたこと、心の底から嬉しく思います」と感謝の気持ちを伝えた。

 池松も「ずっと来たかったサンセバスチャン映画祭に来ることができたことをとても嬉しく思います。そして今日こうしてこの場で皆様に、ご覧いただけることを光栄に思います。温かくて余韻の深い映画になっています。楽しんでください。グラシアス」とスペイン語を交えて挨拶。会場は大いに盛り上がり温かい空気に包まれた。

 上映中、観客は登場人物たちの繊細な心の動きや美しい情景に引き込まれ、その真剣な眼差しからは一瞬たりともシーンを逃すまいという思いが伝わった。物語がクライマックスに進むにつれ場内には緊張感が漂う一方、確かな感動が観客の心に深く染み渡っていくのが感じられた。
 上映後のQ&Aも熱気に包まれ、多くの質問が飛び交った。奥山に対しては、「この映画に出てくる日本の景色は、自分が知っている日本の景色ではなくて驚いた。景色はどのように選びましたか? 選ぶ際に海外の観客を意識することはありますか?」という質問が。奥山は「もし京都の花見小路や東京のスクランブル交差点などを日本の景色として認識されていたら、確かに真新しくみえる日本の景色なのかもしれません。ただ、海外の方々にまだ馴染みの無い日本の景色を撮ろう、といった作為はありませんでした。スケートが滑れる凍結湖を探すと北海道にいきつき、そこから物語の世界観に合う景色を北海道各地から見つけ出し、転々と撮影をしていくことで、一つの架空の街を浮かび上がらせることを目指しました。結果としてそれが新鮮に見えたならとても嬉しいです」と回答。

 また、「荒川という役にどうアプローチしましたか?」という質問に対して池松は、「スケート技術が必要な役でしたので、半年かけて特訓しました。タクヤもさくらも奥山監督も、スケート経験があってスイスイ滑れるので、たくさん足を引っ張りました(笑)。また、大人としてどういう態度で未来と対峙できるのか、役柄はありますが、この2人と向き合うということに最後まで迷いながら取り組むことを目指しました」と笑いを交えながらも真摯に答え、会場を沸かせた。
 期間中、舞台挨拶がある回の他に3回の上映があり、いずれも満席。上映後には拍手が起きるなど絶賛の嵐となった。

 本作は、田舎街のスケート・リンクを舞台に、吃音のあるホッケーが苦手な少年、選手の夢を諦めたスケートのコーチ、コーチに憧れるスケート少女の3つの心がひとつになっていく……雪が降りはじめてから雪がとけるまでの、淡くて切ない小さな恋たちの物語が描かれる。映画『ぼくのお日さま』は全国で絶賛公開中。

公開表記

 配給:東京テアトル
 全国の劇場にて絶賛公開中!

(オフィシャル素材提供)

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