去る8月14日に逝去した俳優ジーナ・ローランズを追憶する、特集上映「In memory of Gena Rowlands/イン・メモリー・オブ ジーナ・ローランズ」が、11月23日(土)より1週間限定でシアター・イメージフォーラムにて開催することが決定した。
世界中の映画監督・俳優たちから愛され、唯一無二の俳優として屹立するジーナ・ローランズが、2024年8月14日、カリフォルニア州の自宅で息を引き取った。享年94歳。俳優として活躍しながら、ジョン・カサヴェテスの公私にわたる最良のパートナーとして、彼と共闘して映画に挑み続け、カサヴェテス監督作品に7本出演。ジョン亡き後も、その確固たる演技で世界中の人々を魅了し続けた。『こわれゆく女』(74)と『グロリア』(80)ではアカデミー賞®主演女優賞にノミネートされ、『オープニング・ナイト』(77)ではベルリン映画祭の最優秀主演女優賞を受賞している。
現在目覚ましい活躍をしている映画監督のリューベン・オストルンド(『逆転のトライアングル』)やシャーロット・ウェルズ(『aftersun/アフターサン』)、パブロ・ラライン(『スペンサー ダイアナの決意』)たちもジーナ・ローランズの演技を絶賛。また彼女の訃報に触れた映画人たちが、自身のSNS等で哀悼の意を表しており、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー賞®助演女優賞に輝いたジェイミー・リー・カーティスは、「彼女は偉大な女優の一人であり、私にとっては道しるべだった」とインスタグラムにコメントを寄せた。
今回は、ジーナが出演しているジョン・カサヴェテス監督作品7本の中から、厳選した5本を上映。中流アメリカ人夫婦の破綻した関係が崩壊へと至るまでの36時間を描いた『フェイシズ』(68)、壊れかけた家庭を繋ぎとめようとする夫婦愛を描き、アカデミー賞®主演女優賞、監督賞にノミネートしたカサヴェテスの代表作の一つである『こわれゆく女』(74)、有名女優の舞台前の極限の緊張を描き、ジーナ・ローランズがベルリン国際映画祭主演女優賞を受賞した『オープニング・ナイト』(77)、ジーナ・ローランズが相手に一歩も引かないタフな女性・グロリアを熱演し、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した『グロリア』(80)、そしてカサヴェテスの集大成的作品であり、ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した『ラヴ・ストリームス』(84)の5作品だ。
なお明日10月19日(土)発売の「キネマ旬報 11月号」では、ジーナ・ローランズを追悼する巻頭特集が組まれ、表紙もジーナ・ローランズが飾っている。
特集上映「In memory of Gena Rowlands/イン・メモリー・オブ ジーナ・ローランズ」は、11月23日(土)から渋谷のシアター・イメージフォーラムにて1週間限定で開催、タイムテーブルも発表となった。
ジーナ・ローランズ
1934年6月19日、アメリカのウィスコンシン州カンブリア生まれ。地元の大学を卒業後、NYのアメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツ(AADA)で演技を学ぶ。そこでジョン・カサヴェテスと出会い、翌年1954年3月19日に結婚。はじめは舞台俳優として活躍し、56年に出演したブロードウェイ作品『夜の真ん中で』は記録的なロングランとなった。57年にMGMと5年契約を交わして映画デビュー、TVでも人気を博す。63年にはじめてジョン・カサヴェテスの監督作品『愛の奇跡』に出演、それ以後、計7作品のカサヴェテス監督作品に出演した。『こわれゆく女』(74)と『グロリア』(80)ではアカデミー賞®主演女優賞にノミネートされ、『オープニング・ナイト』ではベルリン映画祭最優秀主演女優賞を受賞している。カサヴェテス監督作品以外の主な出演作品は、『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91)『きみに読む物語』(04)など。
上映作品
『フェイシズ』FACES
(1968年/アメリカ/上映時間:130分/モノクロ/ヴィスタ)
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
撮影:アル・ルーバン
出演:ジョン・マーレイ、ジーナ・ローランズ、シーモア・カッセル
配給:ザジフィルムズ
関係の破綻した中流アメリカ人夫婦の36時間を描く。男女の愛の葛藤を描いたカサヴェテス一連の作品の原点。
自宅を抵当に入れて撮影した監督第2作。アカデミー賞®3部門(脚本賞、助演男優賞、助演女優賞)にノミネートという成果を挙げ、ハリウッドにその存在を認知させた革命的傑作。ヴェネチア国際映画祭最優秀主演男優賞、最優秀監督賞。
『こわれゆく女』A WOMAN UNDER THE INFLUENCE
(1974年/アメリカ/上映時間:147分/カラー/ヴィスタ)
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
製作:サム・ショウ
出演:ジーナ・ローランズ、ピーター・フォーク、マシュー・カッセル
配給:ザジフィルムズ
精神のバランスを崩した妻と、土木工事の現場監督を務める夫。壊れかけそうな家庭を繋ぎとめようとする夫婦愛を描いたカサヴェテスの代表作の一つ。脚本はジーナ・ローランズ主演の戯曲として執筆。ゴールデングローブ賞最優秀女優賞(ドラマ)受賞。アカデミー賞®主演女優賞、監督賞ノミネート。
『オープニング・ナイト』OPENING NIGHT
(1977年/アメリカ/上映時間:144分/カラー/ヴィスタ)
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
撮影:アル・ルーバン
出演:ジーナ・ローランズ、ジョン・カサヴェテス、ベン・ギャザラ
配給:ザジフィルムズ
一人の有名舞台女優を通して、人が“老い”を自覚し始めた時に感じる焦燥や不安を描いた作品。ベルリン国際映画祭で主演女優賞を受賞したジーナ・ローランズの演技は必見。カサヴェテス作品の中で本作が唯一「夫婦役」として共演している。
『グロリア』GLORIA
(1980年/アメリカ/上映時間:121分/カラー/ヴィスタ)
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
製作:サム・ショウ
撮影:フレッド・シュラー
音楽:ビル・コンティ
出演:ジーナ・ローランズ、バック・ヘンリー、ジュリー・カーメン、ジョン・アダムズ
提供:ソニーピクチャーズエンタテイメント
ニューヨークを舞台にしたハードボイルド・アクション。ジーナ・ローランズ演ずるグロリアが、ある日突然、ギャングの抗争に巻き込まれ、そのギャングの子どもを連れた逃避行が始まる……。相手に一歩も引かないタフな女性・グロリアを熱演し、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。
『ラヴ・ストリームス』LOVE STREAMS
(1984年/アメリカ/上映時間:141分/カラー/ヴィスタ)
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス
原作・共同脚本:テッド・アレン
撮影:アル・ルーバン
出演:ジーナ・ローランズ、ジョン・カサヴェテス、ダイアン・アボット、シーモア・カッセル
配給:ザジフィルムズ
他人を愛することに不器用ながらも、愛や孤独をテーマにした小説を書く弟と、その深い愛ゆえに狂気に陥っていく姉の内面の荒廃を描く。「愛、孤独、家族」を主題にしたカサヴェテス映画の集大成ともいうべき傑作。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。
公開表記
11/23(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムにて1週間限定開催!
(オフィシャル素材提供)