婚約者の浮気、マッチングアプリ、パパ活など現代社会に潜む甘い罠と不安の渦の中で自分自身を見失っていくひとりの女性を描く心理サスペンス・スリラー映画『STRANGERS』が、いよいよ11月2日(土)より公開となる。この度、本編の冒頭映像ならびに各界より到着したコメントも一斉解禁となった。さらに来場者向けに無料配布される小冊子や、トークイベントの情報も。
strange【形】:奇妙な、不思議な stranger【名】:他人、よそ者、見知らぬ人――
第97回米国アカデミー賞®国際長編映画賞の日本代表作品に決定した『Cloud クラウド』を監督した巨匠・黒沢 清が「後ろ姿が恐い。静寂が恐い。掛かっている服が恐い。そしてまわりの人はみんな恐くなる。これぞまさに現代ホラーのスタンダード」と絶賛した本作。解禁された本編冒頭映像は、のっけから突如、何者かに刺されて倒れる人物を覗き込む群衆のシーンから始まる。続く家族との会食シーンでの、求められる娘像や世間体とのギャップが描かれ、現実感と非現実感の強コントラストで本作の世界観に一気に引き込まれるファースト・ショットとなっている。
主人公の直子を演じるのは『鯨の骨』(23)、『夜明けまでバス停で』(22)、『嵐電』(19)、『菊とギロチン』(18)など話題作への出演が絶えない大⻄礼芳。さらに、濱口⻯介監督作や黒沢 清監督作に出演するなど国際的に活躍の場を広げている玄理が、現代社会の中で不安を抱える直子にとってのファム・ファタール<魅惑する女>山口を演じる。また、唯一無二のサスペンスを支える重要な役割の担い手として柾木玲弥、小川あん、宮田佳典、岩瀬 亮らが集った。
本作をいちはやく視聴した各界の識者たちからは、コメントが一斉に到着した。アイドル・グループGANG PARADEのメンバーのテラシマユウカは「憧れと執着、自身の変化に翻弄され自我を見失う新感覚の恐ろしさ」と、その狂気を表現。残酷映画紹介YouTuberのマツヲは「ありふれた日常のはずなのに不穏……この映画、なんかずっと怖い!!」と、孤独な人間の心の変容に恐怖を覚えたようだ。その反面、事故物件サイト管理人の大島てるは「ホラーと言われただけで避けてしまうような人こそ観てほしい」と、爽やかなテイストと評した。最新刊「私、毒親に育てられました」の著者でノンフィクション作家の中村淳彦は真面目な30代女性たちが闇落ちしている現実の社会問題を落とし込んだ作品テイストを称賛し、「新しいホラーである」と語った。ほかにも多数コメントが到着。
外資系コンサル企業社員の異色経歴を持つ若手監督の初長編作品!
監督を務めるのは本作が長編デビューとなる池田健太。大阪大学基礎工学部でコンピューターサイエンスを学び、中退後、単身アメリカに渡り、スピルバーグが学んだカリフォルニア州立大ロングビーチで映画学・脚本を学んだ後、岩井俊二監督に師事。現在は大手外資系コンサルティング企業で働く傍ら脚本家としても活動する異色の経歴の持ち主。前作短編映画『午後3時の悪魔』(18)は、パリのFestival Silhouette、札幌国際短編映画祭など国内外の映画祭で上映され、その独特の空気感と徹底した映像演出がロベール・ブレッソンにもなぞらえられた。
劇場公開を記念して、来場者向けに「STRANGERSの深層に迫る」考察ネタを盛り込んだ無料の小冊子の配布も決定(公開劇場にて/無くなり次第終了)。監督である池田健太と柴田元幸(翻訳家・東京大学名誉教授)の対談や、作品の考察要素を示した「物語を紐解くヒント」なども掲載される、鑑賞後の考察にもってこいの冊子となっている。渋谷のシアター・イメージフォーラムでは上映初日とその翌日、監督&キャスト陣や前述の柴田元幸が登壇するトークイベントも実施されることが発表された。
コメント全文
黒沢 清(映画監督)
後ろ姿が恐い。静寂が恐い。掛かっている服が恐い。
そしてまわりの人はみんな恐くなる。これぞまさに現代ホラーのスタンダード。
菊地健雄(映画監督)
現代を生きる我々が抱えている孤独や不安をまざまざと見せつけられ、気がつけば戦慄しながらも無我夢中で見終えていた。人の隙間にさらりと滑り込んでくる悪意の集積回路によって、うっすらと漂い始めやがて醸成されていく狂気。その白昼夢のようでありながらも実感のともなうザラリとした手触りを映画館の暗闇で息を潜めながら感じてほしい。
マツヲ(ホラー映画、残酷映画紹介YouTuber)
『STRANGERS』は現代社会の孤独な人間の心がぐちゃぐちゃと変容する、まるでボディ・ホラーのような恐怖がある。周りの求める“自分”でいようとするあまり自分が何者か分からなくなり、道も見えなくなり消えそうになる。それなら変容したっていいんじゃないか……? 今にも崩れそうな状態の中、不安は常に付き纏う。不気味だ……ありふれた日常のはずなのに不穏……この映画、なんかずっと怖い!!
大島てる(事故物件サイト管理人)
いい意味でこわくない、さわやかでテイスティな映画だと感じました。
ホラーと言われただけで避けてしまうような人こそ観てほしいです。
宮岡太郎(映画監督/映画レビュアー)
自己と他人の境界が次第に曖昧になってゆく。これは現代社会のひずみの中で自分を見失ってゆく女性の姿を描いた、心理スリラーの最新形態。映像や音の細部にまで仕込まれた違和感の数々。観客の不安を絶えず煽り続ける物語展開。難解な役柄を的確な解釈で演じ切った俳優陣の芝居の凄さ。劇場でこそ得られるこの観賞体験は圧巻である。
宍戸里帆(AV女優)
携帯が鳴る、お金を貰う、カーテンで仕切る、髪を染める、服を縫う、唇を重ねる、水が湧き出す、花を買う、捕まる、零れる、割れる、散る、刺す、待つ。世界は、変化していく。映画は、加速していく。私は、何者になっていく?
テラシマユウカ(GANG PARADE)
憧れと執着、自身の変化に翻弄され自我を見失う新感覚の恐ろしさが纏わりついてくる。これは現代的で身近に存在する人間ドラマだ。宙に浮いたアイデンティティはどこに向かうのか? 水色を目にするたびに心がざわっとする。終始不穏で冷ややかな空気は油断したら最後、狂気に呑み込まれてしまう。
岩永祐一(SAMANASA代表)
夢かうつつか、知れば知ろうとするほど目の前が混沌としていく。
わたしとはいったい何者なのか。
新しい時代のホラーが日本から生まれたことを嬉しく思います。
中村淳彦(ノンフィクション・ライター)
今、現在進行形で真面目な30代女性たちが、どんどんと闇落ちしている。現状では種の状態の社会問題を、きっちりとテーマにしているのが素晴らしい。「直子はアナタ自身であり、自分を見つけるまで不幸は続く」という新しいホラーである。
■イベント開催概要
場所:シアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区渋谷2-10-2)
【日時】11月2日(土) 11:15の回・上映後 ※20分間程度を予定
【登壇者】池田健太(監督)、大西礼芳、柾木玲弥、小川あん
【日時】11月2日(土) 20:45の回・上映後 ※20分間程度を予定
【登壇者】池田健太(監督)、柴田元幸(翻訳家・東京大学名誉教授)
【日時】11月3日(日) 11:15の回・上映後 ※20分間程度を予定
【登壇者】池田健太(監督)、宮田佳典
キャスト&スタッフ
出演:大⻄礼芳、柾木玲弥、小川あん、宮田佳典、佐藤 玲、岩瀬 亮、谷川昭一朗/玄理
監督・脚本:池田健太
エグゼクティブ・プロデューサー:原 典孝
プロデューサー:永山正史、池田健太
音楽:橋本秀幸
撮影:佐々木靖之
インティマシーコーディネーター:浅田智穂
(2023年、日本、上映時間:99分)
ギャラリー
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公式X:@STRANGERS_1102
公開表記
企画・製作・配給:impasse
2024年11月2日(土)よりシアター・イメージフォーラム他にて順次公開