登壇者:ネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス監督
現在開催中の第37回東京国際映画祭(〜11月6日)。
11月1日(金)には、同映画祭ワールド・フォーカス部門内で開催されている「第21回ラテンビート映画祭 IN TIFF」にて、第74回ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀監督賞)に輝いた『ペペ』が上映され、終演後、ネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス監督によるトークセッションが行われた。
本作は、コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの私設動物園に飼育されていたカバの“ぺぺ”の真実を動物視点で描いた物語。植民地主義や生態系、人間と自然との関係、政治と暴力など、さまざまな問題を観客へ投げかける。監督は、第91回アカデミー賞®外国語映画賞部門、ドミニカ共和国の代表出品作『COCOTE』(17)を手がけたネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス。
上映後、舞台上に現れたネルソン・カレロ監督。本作を手掛けるきっかけについて「映画『COCOTE』を撮り終えた後、コロンビアへの旅の最中に友人から本作のモデルとなった『アメリカで殺された唯一のカバ』の寓話を聞きました」と語る。続けて「それまで、アメリカ大陸にカバがいることも知らなかったので、驚きました」と明かした。
質疑応答では、劇中でペペが話す言語、植民地主義がもたらす弊害、さらに動物を主人公にした本作に対し、観客から「ブレッソンの『バルタザールどこへ行く』(66)から影響を受けたのか?」と問われると、ネルソン・カレロ監督は即座に「NO!」と回答。「ヌーヴェル・バーグはもう十分です」と話すと、客席にはいくつもの笑い声が上がった。続けて「4年もの歳月をかけた映画。言いたいことは山ほどあるけど、とても全てを伝えきれません」と苦笑いを浮かべつつ、観客への感謝を述べた。
観客の質問に、ひとつずつ丁寧に答えるネルソン・カレロ監督。最後は、「日本に来るのは夢でした。私は黒澤 明監督の『羅生門』(50)が大好きなんです!」と、日本への愛を熱く語った。
11月2日(土)には、アレックス・デ・ラ・イグレシア製作のゴシック・ホラー『ANATEMA』の上映後に、製作陣が登壇する舞台挨拶ティーチインが行われる。「第21回ラテンビート映画祭 IN TIFF」は、「第37回東京国際映画祭」のワールド・フォーカス部門内にて、11月6日(金)まで開催。
上映作品
『孤独の午後』
(英題:Afternoons of Solitude|原題:Tardes de soledad、125分/カラー/スペイン語/2024年/スペイン、フランス、ポルトガル)
監督:アルベルト・セラ
出演:アンドレス・ロカ・レイ、アントニオ・グティエレス、フランシスコ・デュラン
『パシフィクション』(22)に次ぐアルベルト・セラの新作。アンドレス・ロカ・レイら、人気闘牛士たちの日常を追ったドキュメンタリー。サン・セバスティアン国際映画祭コンペティションで上映。
『チェイン・リアクションズ』
(原題:Chain Reactions、102分/カラー/英語、日本語/2024年/アメリカ)
監督:アレクサンドル・O・フィリップ
出演:スティーヴン・キング、三池崇史、アレクサンドラ・ヘラー=ニコラス
ホラー映画の傑作『悪魔のいけにえ』(74)が後世に与えた影響を探るドキュメンタリー。スティーヴン・キング、三池崇史らが出演。ヴェネチア映画祭クラシック部門でドキュメンタリー賞を受賞。
『キル・ザ・ジョッキー』
(英題:Kill the Jockey|原題:El Jockey、97分/カラー/スペイン語/2024年/アルゼンチン、スペイン、アメリカ、メキシコ、デンマーク)
監督:ルイス・オルテガ
出演:ナフエル・ペレス・ビスカヤルト、ウルスラ・コルベロ、ダニエル・ヒメネス・カチョ
輝かしい戦績を誇りつつも生活面では破綻しているジョッキーが、これまでの人生から自由になろうともがく姿をブラック・ユーモアとともに描く。ヴェネチア映画祭コンペティションで上映。
『ペペ』
(原題:Pepe、123分/カラー&モノクロ/スペイン語、アフリカーンス語、ドイツ語、ムブクシュ語/2024年/ドミニカ共和国/ナミビア/ドイツ/フランス)
監督:ネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス
出演:ジョン・ナルバエス、ソル・マリア・リオス、ファリード・マティラ
コロンビアの麻薬王エスコバルが、私設動物園に収容するためにアフリカのカバの捕獲を命じたという事実の顛末を、カバの視点から描いた奇想天外な作品。ベルリン映画祭で監督賞を受賞。
『ザ・ルーム・ネクスト・ドア(原題)』
(原題:The Room Next Door、107分/英語/2024年/スペイン/ワーナー・ブラザース映画)
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ティルダ・スウィントン、ジュリアン・ムーア、ジョン・タトゥーロ
イングリッドとマーサは若い頃、雑誌社の同僚で親友同士だった。 イングリッドは小説家、マーサは戦場ジャーナリストとなり、音信不通となるが、不思議な縁で再会を果たす。
『叫び』
(英題:The Wailing|原題:El llanto、107分/カラー/スペイン語/2024年/スペイン/フランス/アルゼンチン)
監督:ペドロ・マーティン=カレロ
出演:エステル・エスポジート、マチルダ・オリヴィエ、マレーナ・ビージャ
何者かに追われる気配を感じ、何者かの叫び声を聞く3人の女性がそれぞれ経験するおぞましい出来事を描くホラー映画。サン・セバスティアン国際映画祭コンペティションで上映。
上映スケジュール
●『孤独の午後』 10/30(水)14:20〜、11/2(土)10:20〜、11/5(火)18:00〜
●『チェイン・リアクションズ』 11/1(金)21:25〜、11/5(火)19:10〜、11/6(水)13:30〜
●『キル・ザ・ジョッキー』 10/29(火)13:10〜、11/2(土)21:00〜
●『ぺぺ』 10/28(月)18:45〜、11/1(金)13:50〜、11/5(火)20:45〜
●『ザ・ルーム・ネクスト・ドア(原題)』 10/31(木)10:15〜、11/3(日)15:15〜、11/5(火)14:20〜
●『叫び』 10/29(火)21:15〜、11/6(水)16:10〜
チケット販売
販売日:10月19日(土)
※ 部門ごとに販売開始時間が異なります。
※「第21回ラテンビート映画祭 IN TIFF」を含むワールド・フォーカス部門のチケットは、10月19日(土)13:00から販売開始となります。
販売場所:東京国際映画祭公式ホームページのチケットサイトにて先着販売
https://2024.tiff-jp.net/ja/ticket/(外部サイト)
決済方法:クレジットカード、PayPay
ラテンビート映画祭
2003年6月に「バスク映画祭」としてスタートした「ラテンビート映画祭」は今年で21回目を迎える。「ラテンビート映画祭」は、スペイン・ラテンアメリカ映画の最新注目作をどこよりも早く日本に紹介する映画祭であり、日本とラテン諸国(ラテンアメリカ諸国、スペイン、ポルトガル)の架け橋にもなっている。文化やイベントは、国や国の生産品などのイメージ促進の手段として最適である。「ラテンビート映画祭」は“日本とラテンアメリカ諸国”双方向の文化交流を目指し、日本をラテン諸国に紹介している。
コロナ禍中の2020年より東京国際映画祭のワールドフォーカス部門内にて「ラテンビート映画祭 IN TIFF」をスタート。2022年1月には新たな試みとして、日本未配給のスペイン語・ポルトガル語圏の名作を中心に紹介する常設の配信チャンネル「ラテンビート・クラシック『CANOA(カノア)』を開設(現在休止中)。また、2022年・2023年に新旧のフラメンコ映画の特別上映を東京・大阪・神戶にて開催。2023年には特別企画として世界的に評価を得るスペインを代表する2人の監督の最新作(アカデミー賞®国際長編映画賞にノミネートされたJ・A・バヨナ監督による、Netflixオリジナル映画「雪山の絆(原題:Society Of Snow)」、ペドロ・アルモドバル監督の「ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ(原題:Strang Way Of Life)」)と、ラテン諸国を舞台に日本のスター俳優が躍動する名作2作品(「キューバの恋人」(津川雅彦主演)、「闘牛に賭ける男」(石原裕次郎主演))を東京と大阪の映画館で特別上映を行い、好評を博した。
ラテンビート映画祭公式サイト:https://lbff.jp/(外部サイト)
Facebook:https://www.facebook.com/LatinBeatFilmFestival?locale=ja_JP(外部サイト)
X(Twitter):https://twitter.com/LATINBEAT_FF(外部サイト)
主催:LBFF実行委員会 プロデューサー・プログラミングディレクター:アルベルト・カレロ・ルゴ
第37回東京国際映画祭 開催概要
開催期間:2024年10月28日(月)~11月6日(水)
会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
公式サイト:https://2024.tiff-jp.net/ja/(外部サイト)
TIFFCOM2024開催概要
開催期間:2024年10月30日(水)~11月1日(金)
公式サイト:https://tiffcom.jp/(外部サイト)
(オフィシャル素材提供)