登壇者:ヒミナ・サバドゥ(脚本・監督)、アレックス・デ・ラ・イグレシア(プロデューサー)
「第21回ラテンビート映画祭」の特別企画上映として、アレックス・デ・ラ・イグレシア監督が創設したホラーレーベル「The Fear Collection」第3弾となるゴシック・ホラー映画『ANATEMA』を上映し、上映後に同作のプロデューサーを務めたアレックス・デ・ラ・イグレシアと、脚本・監督のヒミナ・サバドゥが登壇し、本作の魅力や製作秘話を語る舞台挨拶ティーチインが開催された。
ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞・脚本賞受賞の『気狂いピエロの決闘』などの監督として知られるイグレシア氏が設立したホラーレーベルの第3弾となる本作。マドリードにある地下迷路の上に建てられた古い教会に、不思議な力を持つ修道女・フアナは神父、修道女、祓魔師らと共に足を踏み入れる。そこで古来より存在する“悪”を解き放とうとする超自然の力と対峙することになるが……。
サバドゥ監督は日本文化が大好きな親日家で、日本語を勉強したこともあるとのことで、この日もメモを見つつも流暢な日本語で「ここにいられることに感謝しています。私は15年ほど前に日本語を勉強しました。あまり覚えていませんが(苦笑)。『ANATEMA』をつくるのはとても大変でした。あなた方が最初の観客です。日本文化、漫画、アニメが大好きです」と挨拶し、客席からは大きな拍手がわき起こった。
実際、本作の劇中にも日本の文化の影響を感じさせるものが多数登場する。サバドゥ監督は「12歳までは映画よりもアニメが大好きで、この作品でもアニメーション的なカメラワークが使われています」と語り、プロデューサーのイグレシア氏も「スペインの観客よりも日本の皆さんの方がより深く理解してくれるかもしれません」と語る。
劇中に登場する“モンスター”に関しても、監督は「のっぺらぼうのような妖怪が出てきたり、『ゲゲゲの鬼太郎』、水木しげるの作品にインスパイアされている部分も多くあります」と明かし、観客から伊藤潤二の漫画の影響を指摘されると「Si(はい)、『うずまき』に影響を受けました」と嬉しそうにうなずき、イグレシア氏も「伊藤潤二はスペインでも非常に人気が高いです」と明かしてくれた。
これまで女優として活躍し、脚本家としても活動。作家として本も刊行するなど多彩な活躍を見せており、短編映画の監督を経て、本作で長編映画デビューを果たしたサバドゥ監督。イグレシア氏も「今後、映画界にとって非常に重要な監督になる」と太鼓判を押す。
本作は本国スペインでは再来週に劇場公開を迎えるが、その前に作品と縁の深い日本で上映できたことに監督は「初上映がここ東京で、すごく嬉しいです」と満面の笑みを浮かべていた。
「ラテンビート映画祭」は、スペイン・ラテンアメリカ発の最新の注目映画をどこよりも早く日本にお届けする祭典。2003年に「バスク映画祭」としてスタートし、2020年より「東京国際映画祭」のワールド・フォーカス部門にて「ラテンビート映画祭IN TIFF」と題して上映を続け、今年で通算21回目を迎える。11月3日(日)には、「第21回ラテンビート映画祭」特別企画上映として、Netflix配信が決定したラテン文学最高傑作の映画化『ペドロ・パラモ』をヒューマントラストシネマ渋谷にて特別上映する。「第21回ラテンビート映画祭 IN TIFF」は、「第37回東京国際映画祭」のワールド・フォーカス部門内にて、11月6日(金)まで開催。
上映作品
『孤独の午後』
(英題:Afternoons of Solitude|原題:Tardes de soledad、125分/カラー/スペイン語/2024年/スペイン、フランス、ポルトガル)
監督:アルベルト・セラ
出演:アンドレス・ロカ・レイ、アントニオ・グティエレス、フランシスコ・デュラン
『パシフィクション』(22)に次ぐアルベルト・セラの新作。アンドレス・ロカ・レイら、人気闘牛士たちの日常を追ったドキュメンタリー。サン・セバスティアン国際映画祭コンペティションで上映。
『チェイン・リアクションズ』
(原題:Chain Reactions、102分/カラー/英語、日本語/2024年/アメリカ)
監督:アレクサンドル・O・フィリップ
出演:スティーヴン・キング、三池崇史、アレクサンドラ・ヘラー=ニコラス
ホラー映画の傑作『悪魔のいけにえ』(74)が後世に与えた影響を探るドキュメンタリー。スティーヴン・キング、三池崇史らが出演。ヴェネチア映画祭クラシック部門でドキュメンタリー賞を受賞。
『キル・ザ・ジョッキー』
(英題:Kill the Jockey|原題:El Jockey、97分/カラー/スペイン語/2024年/アルゼンチン、スペイン、アメリカ、メキシコ、デンマーク)
監督:ルイス・オルテガ
出演:ナフエル・ペレス・ビスカヤルト、ウルスラ・コルベロ、ダニエル・ヒメネス・カチョ
輝かしい戦績を誇りつつも生活面では破綻しているジョッキーが、これまでの人生から自由になろうともがく姿をブラック・ユーモアとともに描く。ヴェネチア映画祭コンペティションで上映。
『ペペ』
(原題:Pepe、123分/カラー&モノクロ/スペイン語、アフリカーンス語、ドイツ語、ムブクシュ語/2024年/ドミニカ共和国/ナミビア/ドイツ/フランス)
監督:ネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス
出演:ジョン・ナルバエス、ソル・マリア・リオス、ファリード・マティラ
コロンビアの麻薬王エスコバルが、私設動物園に収容するためにアフリカのカバの捕獲を命じたという事実の顛末を、カバの視点から描いた奇想天外な作品。ベルリン映画祭で監督賞を受賞。
『ザ・ルーム・ネクスト・ドア(原題)』
(原題:The Room Next Door、107分/英語/2024年/スペイン/ワーナー・ブラザース映画)
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ティルダ・スウィントン、ジュリアン・ムーア、ジョン・タトゥーロ
イングリッドとマーサは若い頃、雑誌社の同僚で親友同士だった。 イングリッドは小説家、マーサは戦場ジャーナリストとなり、音信不通となるが、不思議な縁で再会を果たす。
『叫び』
(英題:The Wailing|原題:El llanto、107分/カラー/スペイン語/2024年/スペイン/フランス/アルゼンチン)
監督:ペドロ・マーティン=カレロ
出演:エステル・エスポジート、マチルダ・オリヴィエ、マレーナ・ビージャ
何者かに追われる気配を感じ、何者かの叫び声を聞く3人の女性がそれぞれ経験するおぞましい出来事を描くホラー映画。サン・セバスティアン国際映画祭コンペティションで上映。
上映スケジュール
●『孤独の午後』 10/30(水)14:20〜、11/2(土)10:20〜、11/5(火)18:00〜
●『チェイン・リアクションズ』 11/1(金)21:25〜、11/5(火)19:10〜、11/6(水)13:30〜
●『キル・ザ・ジョッキー』 10/29(火)13:10〜、11/2(土)21:00〜
●『ぺぺ』 10/28(月)18:45〜、11/1(金)13:50〜、11/5(火)20:45〜
●『ザ・ルーム・ネクスト・ドア(原題)』 10/31(木)10:15〜、11/3(日)15:15〜、11/5(火)14:20〜
●『叫び』 10/29(火)21:15〜、11/6(水)16:10〜
チケット販売
販売日:10月19日(土)
※ 部門ごとに販売開始時間が異なります。
※「第21回ラテンビート映画祭 IN TIFF」を含むワールド・フォーカス部門のチケットは、10月19日(土)13:00から販売開始となります。
販売場所:東京国際映画祭公式ホームページのチケットサイトにて先着販売
https://2024.tiff-jp.net/ja/ticket/(外部サイト)
決済方法:クレジットカード、PayPay
ラテンビート映画祭
2003年6月に「バスク映画祭」としてスタートした「ラテンビート映画祭」は今年で21回目を迎える。「ラテンビート映画祭」は、スペイン・ラテンアメリカ映画の最新注目作をどこよりも早く日本に紹介する映画祭であり、日本とラテン諸国(ラテンアメリカ諸国、スペイン、ポルトガル)の架け橋にもなっている。文化やイベントは、国や国の生産品などのイメージ促進の手段として最適である。「ラテンビート映画祭」は“日本とラテンアメリカ諸国”双方向の文化交流を目指し、日本をラテン諸国に紹介している。
コロナ禍中の2020年より東京国際映画祭のワールドフォーカス部門内にて「ラテンビート映画祭 IN TIFF」をスタート。2022年1月には新たな試みとして、日本未配給のスペイン語・ポルトガル語圏の名作を中心に紹介する常設の配信チャンネル「ラテンビート・クラシック『CANOA(カノア)』を開設(現在休止中)。また、2022年・2023年に新旧のフラメンコ映画の特別上映を東京・大阪・神戶にて開催。2023年には特別企画として世界的に評価を得るスペインを代表する2人の監督の最新作(アカデミー賞®国際長編映画賞にノミネートされたJ・A・バヨナ監督による、Netflixオリジナル映画「雪山の絆(原題:Society Of Snow)」、ペドロ・アルモドバル監督の「ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ(原題:Strang Way Of Life)」)と、ラテン諸国を舞台に日本のスター俳優が躍動する名作2作品(「キューバの恋人」(津川雅彦主演)、「闘牛に賭ける男」(石原裕次郎主演))を東京と大阪の映画館で特別上映を行い、好評を博した。
ラテンビート映画祭公式サイト:https://lbff.jp/(外部サイト)
Facebook:https://www.facebook.com/LatinBeatFilmFestival?locale=ja_JP(外部サイト)
X(Twitter):https://twitter.com/LATINBEAT_FF(外部サイト)
主催:LBFF実行委員会 プロデューサー・プログラミングディレクター:アルベルト・カレロ・ルゴ
第37回東京国際映画祭 開催概要
開催期間:2024年10月28日(月)~11月6日(水)
会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
公式サイト:https://2024.tiff-jp.net/ja/(外部サイト)
TIFFCOM2024開催概要
開催期間:2024年10月30日(水)~11月1日(金)
公式サイト:https://tiffcom.jp/(外部サイト)
(オフィシャル素材提供)