登壇者:山口祥行、崔 哲浩、福士誠治、西原亜希、木ノ本嶺浩、金守珍
大人気任侠ドラマ・シリーズ『日本統一』W主演の山口祥行、人種的偏見に遭いながらも家族が力を合わせる姿を描いた人情劇『北風アウトサイダー』で映画監督デビューを飾った崔 哲浩、阪元裕吾監督の『ある用務員』で殺し屋の主人公を演じた福士誠治が、トリプル主演で、25年前の父の暗殺事件以来離れ離れでも固い絆で繋がっている3兄弟を演じる、ヒューマン・バイオレンス映画『ぴっぱらん!!』。
本作の公開記念舞台挨拶に、主演の3人の他、次男・要の彼女であるマリアの母・綾役の西原亜希、刑事・若井賢介役の木ノ本嶺浩、3兄弟の父・百鬼 剛役の金守珍が登壇した。
『あぶない刑事』シリーズなどの脚本家の柏原寛司が推薦コメントで、本作を「さながら崔監督版『ゴッドファーザー』」と呼んだと聞いた崔は、冒頭「兄さん(山口)と誠治さんとか一人ひとりに当てがきしていくと、幼少期に影響を受けた作品に自然と似通っちゃったんですかね。ただ、オリジナルで、このキャストでしか表現できない世界観に仕上がったと自信を持っております」と自信を見せて挨拶。
山口は、崔監督から三兄弟が主役の映画と聞いた時に、崔に「せっかく、自分で脚本・監督・プロデュースもするんだから、ナルシストくらいやっちゃえよ」と話したそう。崔は、「感動しましたし、そのようにしたんですけど、仕上がりを見て、今度は『出過ぎだ』と怒られました」と裏話をすると、すでに本作を観た観客は、大爆笑。山口は、「『出過ぎ』とは言ってないですけど、『歌までやるのかお前』と言った」と主題歌「百鬼三兄弟」「鬼神の絆」に触れると、観客はさらに爆笑した。
福士は、三兄弟のキャスティングを知ったタイミングについて、「オファーをいただいて、崔監督しか出演の方を知らなかった時に、(山口と)前の現場で共演をした際に急に、『おい、弟』って言われたんです。山口さん怖いじゃないですか(笑)。『弟』って言われて、『はい』って言ったら、もうついて行かなくちゃいけないのかなとドキドキしていたら、『違うよ、映画だよ。俺、兄貴だぜ』と言われたんです」と面白おかしく話した。
福士が演じた湊は登場シーンではかなりテンションが高い役。自身との違いを聞かれた福士が、「私はあんなに人を殴らない!(『日本統一』W主演の山口を指して、)殴りますよ〜」と話すと、会場はまた大爆笑! 山口は、「この作品では殴り足りないですけどね!」と乗って、会場を沸かせた。
崔監督は、「祥行さん演じる峻の登場するところ、福士さん演じる湊の登場するところ、要が登場するところ、それぞれそのキャラクターに合ったカメラ・アングルにしようと相談しました。(要の登場は)冒頭のシーンなんで、長回しに挑戦しました」と話した。
福士は湊を演じるために、髪の毛を銀髪にした。「1日で4回ブリーチをやった後に、銀色を入れて、写真を撮って、監督に送って、OKをいただきました」とのこと。崔が「領収書を見たらびっくりしました!」と言うと、すかさず福士は、「僕が銀髪にしたいと言ったのではなく、監督が打ち合わせで、『銀髪とかいいんじゃないかな?』と言ってくださったので」と反論した。
また、福士は、湊の出演シーンで注目してほしいところに関しては、「エネルギッシュでわちゃわちゃしている中、お兄ちゃんとのシーンが、心の中のお芝居というか、奥底にあるものが溢れ出るシーンなので、思い入れがあります」と挙げた。
西原は、25年前のシーンに出演し、ヤクザの自分の夫が殺されて、泣き疲れた芝居を披露。崔は「撮影の初日がそのシーンで、ファースト・シーンだったんです。初日が西原さんの(すごくシリアスな)シーンでいいのかとスタッフと議論になったんですけれど、西原さんが演技した途端、スタッフに緊張がバーンと走って、スタートが西原さんのシーンで勝ったなと思いました」と西原に感謝した。
現在のシーンで崔演じる要と付き合っている娘のマリアが葛藤するためにも、西原演じる母の、「ヤクザになったらこうなっちゃうの!」という娘への強いメッセージが重要になってくる。子役の女の子(森本姫愛)の頬をぶつところについては、「リハーサルで、こういう感じにして大丈夫かなというやり取りをしたけれど、堂々としていて、物おじしない姿でいてくれたので、私も本気でぶつかれました。効果音をいっぱい足してくださっていることでリアルに見えています」と、実際はぶっていないことを暴露した。
西原演じる綾の「お前なんか産まなきゃ良かった」という言葉は、実生活では母親は決して子どもに言ってはいけない言葉だが、山口が「言い慣れているんでしょ?」といじる場面も。西原は「感情をモロにぶつけてしまうのは、堪えなくなった痛みが思わず娘に出てしまうから。マリアを自分の子どもの頃に重ね合わせていると私は感じていたので、過去の自分に言っているような感覚でいました」と話した。
木ノ本は刑事・若井賢介役。何十人もヤクザがいる部屋に乗り込むシーンがあった。芝居ではあっても、ヤクザの格好をした人で一杯の現場は威圧感を感じたそうで、「崔さんが『日本一面白いヤクザ映画を作るんだ』と言ったら、みんなの意識が上がったんです。その瞬間に『よし、撮ろう』と始まったんですけれど、格闘技のチャンピオンがいたり、過去ヤンチャだったんだろうなというような方がいて。『よし、いくぞ』という空気の中に入るのは、怖かったです」と話した。怖いながらも、「崔監督が『これ、面白い』と思ったらどんどん台本が変わっていったので、楽しかったです」と崔組ならではの撮影の裏話をした。
また、木ノ本演じる刑事・若井と、丈演じる悪徳刑事・堂島との対比が面白いが、「丈さんが小さいギャグを散りばめるんです。それを丁寧に一つずつツッコんでいくということを現場でやったら、崔さんが、『それ、採用』と言ってくださった」と現場での対応力を感じさせる裏話を披露した。
金守珍は、3兄弟の父・百鬼 剛役。境内のシーンでの、剛の『百鬼組は皆仲間や。ヤクザをやっていても、人の道を外れることだけはやってない』という言葉は、その後百鬼組を継ぐ次男・要にも受け継がれていく、重要なセリフとなった。「先ほど『ゴッドファーザー』の話が出ましたけど、僕も『ゴッドファーザー』が大好きで。僕が言う『わしら皆兄弟や』というセリフは、どこかマーロン・ブランドの意志を受け継いでいるようなところがあって、すごく嬉しかったです」とご満悦の様子。
剛の亡くなるシーンでは、崔監督のこだわりで、布団の羽根が飛び散った。金守珍は、「(崔監督は)真夏に羽毛布団をちょん切って、ばら撒くんです。息は1分半位はもつんですが、カメラを3分位回すんです。その間、なんとか息をすると、鼻に入っちゃって死にそうでした。でも(出来上がりの画は)雪が降るようで、綺麗でした」と感想を話した。
テアトル新宿(東京)、アップリンク吉祥寺(東京)、なんばパークスシネマ(大阪)、第七藝術劇場(大阪)、ミッドランドスクエアシネマ(愛知)の5館での入場者プレゼントは、出演者51人の全51種類の豪華オリジナルトレーディングカード(写真)。舞台挨拶中に51種類もあると知った山口は、「え〜」っと驚きの声を上げた。
最後に本作の見どころを聞かれ、山口が「今、真剣にモノづくりをしている人に対してバカにする風潮があるけれど、崔がこの映画に情熱を持って取り組んでいると聞いた時に、そういう一生懸命やる人間に対して、いい気持ちで一緒に取り組みたいと思ったのが、画面に出ていると思うんです。画面の迫力を体感してもらえたら嬉しいです」と話すと、崔は感涙の涙を流す場面も!
福士は、「崔監督は、ここに出ている人たちが、崔組・家族と思って作っていると思います。崔監督の人徳で、小さな役でも、エキストラじゃなく俳優がキャストとして出ているのが、画面に出ていると思う」と、山口に同調した。
崔は二人の言葉を聞いて、「祥行さんは若い頃から背中を見てきましたし、福士さんは若い頃からずっと一緒で、今日このメンバーで舞台挨拶ができて、まだ夢の中にいるようです。映画はたくさんの人に観ていただいて、映画になる。今日からあと5回来てね!」と最後は、涙を流した恥ずかしさを隠すかのように、お茶目にメッセージを送った。
公開表記
配給:渋谷プロダクション
11月1日(金)よりテアトル新宿、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開
(オフィシャル素材提供)