登壇者:池松壮亮、三吉彩花、水上恒司
協力:STYLY
日本映画界屈指の鬼才・石井裕也監督(『月』、『舟を編む』)の最新作『本心』が11月8日(金)に全国公開。原作は、「ある男」で知られる平野啓一郎の傑作長編小説「本心」。キャストには、池松壮亮、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中 泯、綾野 剛、妻夫木聡、田中裕子らが集結。本作は、“リアル”と“リアルではないもの”の境界が今よりもさらに曖昧になった世界を舞台に、亡くなった母の“本心”を知るためAIで彼女を蘇らせることを選択する青年・石川朔也と、彼を取り巻く人間の【心】と【本質】に迫る革新的なヒューマン・ミステリー。
ついに待望の公開が“あと4日”に迫る中、物語にちなんだ、最新のヴァーチャル技術を駆使した【映画『本心』公開直前!仮想空間トークイベント】が開催され、池松壮亮と三吉彩花が、ヴァーチャル空間に映し出された水上恒司とトークを繰り広げるという革新的な試みが行なわれ、本作の舞台設定が“もはや未来の物語ではない”ことを体感できるイベントとなった。
主人公の朔也(池松壮亮)は、母・秋子(田中裕子)と二人でつつましい生活を送るごく普通の青年。しかしある日、「大事な話があるの」と言い残して急逝した母・秋子が、実は“自由死”を選んでいたことを知ってしまう。幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んだのか……母の本心を探るため、朔也は不安を抱えながらも、AIに集約させ人格を形成するVF(ヴァーチャル・フィギュア)を利用し、仮想空間に母を“蘇らせる”選択をする……。
イベントではまず池松と三吉が会場に登場。通常とは趣向の異なるイベントということで、多くの報道陣が会場に詰め掛けており、池松は「僕も非常に楽しみです」と笑みを浮かべ、三吉も「このようなヴァーチャル空間のイベントというのは、私自身、初めてでちょっと緊張しています」と語る。そして早速、池松と三吉は、専用のゴーグルなどの機器を装着。すると、2人の目の前にはヴァーチャルの水上が仮想空間上に登場した。ステージ上のスクリーンには池松、三吉がゴーグルを通して見ている水上のヴァーチャル映像が映し出され、その場にいない水上を加えた3人でリアルにトークをしているかのような光景が繰り広げられていく。
三吉は、目の前に現われた“ヴァーチャル”水上を指し、「ここにいます(笑)!」と驚き、池松も「すごい……」と感嘆。スクリーンに浮かび上がった水上のヴァーチャルは「こんにちは! 水上恒司です。楽しいですね(笑)。よろしくお願いします」とハイテンションで挨拶した。
ちなみにこのヴァーチャルの水上の映像は、事前にスキャンされたデータから作成されたもの。別室でゴーグルを装着している水上が笑みを浮かべれば、ヴァーチャルも笑うという形で連動している。
水上は自身のアバターについて、「ちょっとだけ(本物よりも)太ってますね……」と笑ったが、池松は「目は本当にそのまんまですね。いや、すごいです。手まで映ってますね」とその技術の高さに驚愕。ヴァーチャルの水上は、求めに応じて手を振ったり、ウィンクをしてみせたりし、池松と握手を交わし、三吉とはじゃんけんを行なった。三吉は「瞳の黒目の部分もすごくリアルで、なんか不思議な感じです。本当に手の届くところにいるような、(手を伸ばせば)触れられそうな感じでそこにいます」と語った。
映画では、池松演じる朔也の亡くなった母親がヴァーチャル上に“蘇る”が、池松は「(映画のようなことが現実になるのは)すぐなんでしょうね……」としみじみ。ゲーム好きだという三吉は、「ゲームをしているだけでも空間をリアルに感じるところがあって、現実世界でもモンスターが来るかも……という錯覚に陥りそうになるのに、こうやって(ゴーグルを)装着すると、より没入感があって、(現実とヴァーチャルの境が)分からなくなってくるような、好奇心と怖さがありますよね」と熱弁。水上も、「十数年前にBluetoothイヤホンが出た当初は“耳からうどんが出てる”なんて言われてもいましたけど、今はそれが普通になっている。僕らが着けているこうした装置も、電車でみんなが着ける時代がくるのかも……と思うと、ちょっと恐ろしいような、何とも言いがたい気持ちになりますね」と進化の速さに戸惑う気持ちものぞかせる。
その後はヴァーチャルから切り替えて、リアルな水上も会場に登場し3名でトークを展開。原作小説の物語は2040年代の未来という設定だったが、技術の進歩に合わせて映画は2025年からはじまる物語に変更されている。池松は、映画に参加するにあたり、AIの専門家から話を聞いたり、協力を得たりしたことに触れつつ、「(映画の公開が)去年だったら、まだ人々の認知が追いつかなかったけど、来年だと遅かったかもしれないという話を聞いて衝撃的でした。“今年がベストだろう”ということで、そんなに速いスピードで進化していくのかと……。進化がどんどん日常化していくんだなと感じています」と語る。
今回のイベントを体験して三吉は、「これがどんどん日常に普及してくるのかと思うと、どうにか良いことに使ってもらえたらいいなと思います」と願いを口にし、水上も「僕たちが生業にしているのは人の心であり、“なまもの”を敏感に捉えようとしている人間からすると、ちょっと怖い気持ちにもなるし、でも自分もそれを使って仕事をすることになるかもしれないし、なんとも言えない感情です」と偽らざる思いを明かした。
さらに、トークでは3人に「もしヴァーチャル空間で会いたい人に会えるなら誰に会いたいか?」もしくは「最近、リアルで会って嬉しかった人は?」という質問も。池松は、「会いたい人は豊臣秀吉さんです」と再来年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で演じることが決まっている戦国武将の名を挙げ、「どういう方だったのか?2 時間くらいトークしてみたい」と想いを明かす。一方で、リアルで最近顔を合わせて嬉しかった人には、映画『ラスト サムライ』(2003年)で共演した渡辺謙氏と映画の時以来となる再会を果たした、と明かした。池松は、「(当時)いろいろ教えてもらい、面倒を見ていただき、餃子をつくってくれたりしたんですけど、(それ以来)再会できてなかったんです。ついこないだ21年ぶりに再会できました。“頑張ってるね”、“大きくなったね”と言っていただき、相変わらず素敵で、非常に自然体で、久々に子どもに戻った気分でドギマギしました」と嬉しそうに語った。
続いて三吉は、「お見かけして嬉しかったのがニコール・キッドマンさんです」と告白。3年前に出演したミュージカル(『The PROM』)の映画版にニコール・キッドマンが出演しており、「すごく魅力的なキャストの皆さんで……(パリのファッション・ショーで)ニコール・キッドマンさんを見て“はぁぁ、本物だ!”とずっとドキドキドキドキしていました」と当時の興奮を振り返った。
そして、大喜利(!?)の大トリを飾った水上は、ヴァーチャルで会ってみたい存在として、「『北斗の拳』のケンシロウのお兄ちゃんのラオウが乗っている馬の“黒王”を見てみたいです! ひづめがゾウの足跡くらい大きいという馬なんですけど、僕は黒王が好きすぎて、小学3年生の時に両親に買ってもらった黒い自転車を“黒王”だと思いながら、そう名付けて乗っていたので会ってみたいです」と子どものような表情で熱く語り、会場は笑いに包まれた。
イベントの最後に池松は、「これからの世界を生きていく同時代の人々とこの映画を共有しながら、もうテクノロジーの進化は誰にも止められないと思うので、それとどう共存していくのか、映画を観て考えるきっかけになったら嬉しいです」と語り、イベントは幕を閉じた。
我々がかつて想像していたようなSFの世界ではなく、“日常”に溶け込んだ、今の生活と地続きの設定である『本心』。
AIや仮想空間、日々著しく進化するテクノロジーが世界中を席巻し、生活様式が目まぐるしく変貌している“今”、時代に翻弄され彷徨う人間の【心】と【本質】を描いた革新的なヒューマン・ミステリー『本心』をぜひ劇場で見届けてほしい。
公開表記
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
11月8日(金)より全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)