イベント・舞台挨拶

『ロボット・ドリームズ』来日舞台挨拶付き先行上映

撮影:朝岡英輔

 登壇者:パブロ・ベルヘル監督

 第96回米国アカデミー賞®長編アニメーション映画賞ノミネートの快挙を成し遂げ、アニー賞、ヨーロッパ映画賞、ゴヤ賞ほか名だたる映画賞を席巻した『ロボット・ドリームズ』。11月8日(金)新宿武蔵野館ほか、全国ロードショーする。
 監督を務めたのは、2012年に手掛けた『ブランカニエベス』が第27回ゴヤ賞にて作品賞を含む最多10部門を受賞したスペインを代表する名匠パブロ・ベルヘル。アニメーション映画へは初挑戦ながら、サラ・バロンのグラフィックノベルを基に、切なくも温かい傑作として結実させた。さらにアース・ウインド & ファイアーの名曲「セプテンバー」が映画に彩りを添えている。

 本年度の米国アカデミー賞®長編アニメーション映画賞にて、宮崎 駿監督『君たちはどう生きるか』と競い合った本作を一足早く観ようと駆け付けた観客によって、完売御礼となった本イベント。パブロ・ベルヘル監督が登壇すると、割れんばかりの拍手の音が鳴り響いた。

 劇場に監督のパートナーであり、本作でミュージック・エディターを務めた原見夕子氏も同席しており、彼女の紹介を果たしながら観客に向けて、「『ロボット・ドリームズ』は、ニューヨークに10年住んだ私たちからのラブ・レターです」と挨拶をしながら、作品のメッセージ性を観客に伝えていた。

 続けて監督は、ニューヨークでの生活や、作品に込めた思い、音楽の選定について詳しく語りながら、観客からの質問に対しても丁寧に答えていき、作品の制作背景や個人的なエピソードを明かしていく。
 まず語られたのは、児童文学で知られているグラフィックノベル作家・サラ・バロン氏の作品を、なぜ映画化することになったのか。「実は私はセリフのないグラフィックノベルのコレクターなんです。2010年にこの作品を読んだんですが、物語の終盤で強く心を動かされてしまい、涙が出てきたんです。特別な作品だというのことを分かったのですが、私はアニメーション映像を制作したことがなかったのです。しかし『ブランカニエベス』といった作品が撮り終わった後に、この『ロボット・ドリームズ』の制作に着手しました。このグラフィックノベルを読んで感じたのは、自分の人生で大切で愛した人たちも存在したけれども、離れてしまった人たちのことが心をよぎったんです。まさにそれが、この作品の最大のテーマだと感じました」と語り、本作との出合い、感銘を受けたエピソードを披露すると、観客たちも興味深い表情で舞台上を見つめていた。

 本作は、アース・ウインド&ファイアーの名曲「セプテンバー」が、多くの場面で流れてくる。選曲した理由について監督は、「脚本段階から、想定されていた」と語りながら、詳細を紐解いていく。
 「グラフィックノベルでは、場所は特定されていませんでしたが、舞台を80年代のニューヨークに設定しました。サラ・バロンさんのグラフィックノベルを持ってきたんですが、セリフが本当にないんですね。『セプテンバー』をかけることによって、80年代のニューヨークにタイムスリップした感覚を味わって欲しいと思って採用しました。この時代のニューヨークは、たまらない魅力があると感じていてますが、もう当時のニューヨークはありません。当時を知っている人たち、あるいは行ったことがない人も、タイムマシンに乗船した気持ちで、この映画を楽しんで欲しいと思っています。本作は台詞がないので流れてくる音楽は、登場人物たちの声としての役割も果たしているので、とても大切だったんです」と、作品に込められた思いなどを明かしてくれた。

 なお本作には、多くのポップ・カルチャーのオマージュが盛り込まれており、観客に楽しんでもらいたいという思いが込められている。“カルチャー好き、シネフィルだったら気づけるはず!”と豪語する監督は、終始イベントを楽しんでいる様子だった。最後観客に向けて、「本日から皆様には、『ロボット・ドリームズ』の日本親善大使として働いてもらいます(笑)。ぜひ周りの人達におススメしてください」とコメントして、イベントを締めくくった。

 本作は11月8日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国でロードショーを果たす予定となっている。

公開表記

 配給:クロックワークス
 11月8日(金) 新宿武蔵野館ほか 全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました