登壇者:吉沢 亮、呉 美保監督
MC:奥浜レイラ
“耳のきこえない母”と“きこえる息子”の心に響く物語、映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』のロングラン上映御礼舞台挨拶が11月17日(日)新宿ピカデリーで実施され、主演の吉沢 亮と呉 美保監督が登壇した。
9月13日の宮城県先行公開から10週間。9月20日の全国公開から9週間というロングランを記録中で、動員人数12万人を突破した。上海、バンクーバー、ロンドン、香港、サンディエゴ、シンガポールと世界の映画祭でも上映が続き、今年のTAMA映画賞では最優秀男優賞と特別賞を受賞した。その他映画賞でもノミネートされるなど国内外で高い評価を獲得中だ。
舞台挨拶冒頭、呉監督が「5回以上観て下さった人は?」と超満員の客席に問いかけると多くの方の手が挙がり、中には10回以上観たという観客も。この大反響に「すごい!」と思わず声が出た吉沢は「すごいことが起きているなと……。この作品には時間もかけたしたくさんの思いが乗った作品でもありますし、海外でもたくさんの方に観ていただいて嬉しいです」と笑顔を見せ、「しかも映画賞の主演で男優賞をいただくのが初めてで。それがこの作品で本当に良かったです」と喜びを噛みしめていた。
呉監督も「信じられないというか、いろいろな映画祭に行かせていただいて、ずっと荷造りと荷ほどきをしている感覚。映画を作れたことだけでもありがたいのに、さらにご褒美を頂けて嬉しい限りです」と声を弾ませた。
手話を学びながら撮影に臨んだ吉沢。「手話を学ばせていただいたことで、手話の持ってる奥深さを感じました。この作品に携わらなければ知らなかったことばかりで、この作品は知らない人が何かを知るきっかけになれば良いなと思います」と願った。
呉監督は吉沢のために練習用手話動画をネット上でいつでも見れるようにUPしたそうだが「その動画の再生回数がどんどん上がって。それくらい練習をし続けてくれたんだと思う」と吉沢の姿勢に感心していた。
本作で9年ぶりに長編映画監督に復帰した呉監督。「育児をしながら、いつか映画を作れたらと思いながら日常を過ごしていました。吉沢さんはそんな中で注目していた俳優さんで、この企画をもらった時に真っ先に頭に浮かびました。ご快諾をいただけて、私にとっては最高の復帰作になりました」と胸を張った。
この日は、ロングラン上映の感謝を込めて、事前に映画公式Xに寄せられた質問に答えた吉沢と呉監督。一番好きなシーン、推しのシーンを聞かれた吉沢は母親とパスタを食べている場面をピックアップ。「お母さんと大(吉沢)の今まで積み上げてきた距離感というか、溝が生まれた時期を経て全てから解放された瞬間で、ただただ親子になっている。完成した作品を観てグッとくるものがあった。手話も大変でテンポ感も含めて練習したのでそこが良い感じのシーンになっていたのも嬉しかった」と述べた。
呉監督は“泣けるシーン”として、上京し就職活動をする大の面接シーンを挙げた。好きな本を『ハリー・ポッター』だと適当に答えたりした面接帰りの場面だ。呉監督は「私には息子がいるので、その息子が都会に出た時を想像して重ねてしまいウルウル。間違いなく(面接に)落ちているのに、吉沢さんがニヤニヤしながら帰っていくのも上手い」。これに吉沢は「僕も若い頃にオーディションで映画が好きだと言いながらも、深掘りされると何もできないということも経験しているので……。深く考えずに好きと言ってしまう大の感覚は理解できたので、割りとすんなり楽しくできたシーンでした」と劇中の大に共感していた。
また劇中、昭和と平成の時代を表す工夫についての質問に呉監督は「前半はカラフルにして後半をブルーのトーンにしている」と回想。一方、吉沢は劇中で見せた絶妙な髪型に触れて「僕は昭和を知らない世代なので、大が20歳の時の髪型のカツラをかぶった時は『これ本当? 成立しています? いけますか?』と不安だった」と今だからこそ話せるエピソードで場内を爆笑させていた。
最後に呉監督は「世界中、日本中でたくさんの方が観てくださっている中で、まだまだ上映も続きますので身近の大切な方に本作を薦めていただけたら嬉しいです」とさらなるヒットを期待。吉沢も「公開から2ヵ月経った後でまたこうして皆さんの前に立てるのは貴重な経験で本当に嬉しいです。これだけの方々に作品を愛していただき、中には10回以上観てくださる方もいたりとかして……。本当に一人でも多くの方々の心に本作が残って、皆さんの人生の中に寄り添う作品になってくれたら嬉しいです」と本作を支える多くの観客たちに感謝していた。
公開表記
配給:ギャガ
9月20日(金) 新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
(オフィシャル素材提供)