登壇者:大島てる(事故物件サイト運営代表)、よしひろまさみち(映画ライター)
11月22日(金)、映画の公開初日にシネマート新宿にて、公開記念トークイベント“家系ホラーナイト”を開催。映画を観終わったばかりの観客を前に映画ライターのよしひろまさみちさんと、事故物件サイト管理人の大島てるさんが登壇。
まずは『バーン・クルア』について、よしひろさんは「物件+カルトって本当にいいネタですよね。映画に向いているなと思いました。そして、アジアのホラーって国によって全然テイストが違うんですが、タイのホラーは特に湿度が高めなので、ハリウッドの血まみれスプラッターと全然違って、ちょっと後味があまりよろしくないところが味になっているなと。楽しませてもらいました」とコメント。そして、大島さんも「タイの映画をちゃんと見たのは初めてだと思うのですが、日本と文化が違っても、ちゃんと伝わってきてとても興味深かったです。家が出てこないホラーが思いつきづらい気がしますよね。やっぱりホームですし、そこで夜眠るわけですから、そこが怖さの源であるのかなと思います」と語り、イベントがスタート。
大島さんにとても会いたかったというよしひろさんが、「最近、事故物件を取り上げた映画が本当に多いのですが、私が一番怖かったのは『残穢-住んではいけない部屋-』(2015)です。通常“家系ホラー”では、家に巣食う霊が悪さをするとプロットが多いのですが、『残穢』の場合は家ではなくて、全く別の場所にあった因縁を連れてきてしまってそのエリアがダメになっていく……という内容で。ぶっちゃけ、大島さんのサイトでも事故物件と呼ばれているものが集中していたりしますよね?」と疑問を投げかけると、大島さんは「そうですね。治安的な要素を除いても、事故物件ががポツポツと群発的に発生しているようなエリアはありますね。大きな事件や事故が起きると報道されますが、その地域で起きた関係のない事件というのは紹介されないですよね。でも、近所の人は『全然関係ないけれど、前にこの近くで事件があったな』と。場合によってはお巡りさんや消防士さん、記者さんも『前にもここに来たな』と自覚していると思います。発生の時期は当然バラバラですが、そんな報道ではあえて触れないようなことがひと目で分かるというのがサイトの特性です」と答えた。そして、「投稿サイトなので、おかげさまでいろんな方から、位置情報付きで物件情報を投稿していただいているのですが、タイでは、このサイトが出会い系サイトのような使われ方をしているんですよ。自分の顔写真を住所付きで投稿するんです。『自分の家はここです。こんな顔してます』と投稿するという使われ方をしているんです」と笑いながら明かし、これにはよしひろさんも声をあげて驚きの様子。「タイは閲覧者数も多くて、外国の中で大島てるサイトが一番バズっているのはタイなんです。運営の人間としてそんなに口うるさいこと言わないで、タイではどんな進化を遂げるのか見届けようと思います(笑)」とまさかのタイとの繋がりを語った。
続けてさまざまな事故物件にまつわるエピソードを話していると何やらよしひろさんの新居が該当する様子。「実はその小売店……うちの1階にあるんです。今年新築なんですが……何かあったらもちろん速攻メールしますので、火の玉つけていただければ幸いです」と明かして笑いをさそった。
再び映画の話になると、よしひろさんは「『バーン・クルア』は日本とも似ているところもたくさんありますが、ただ、タイの映画は湿度がちょっと違いますよね。映像から感じられる湿度もそうですし、常夏なので季節感も違います。そして、ヨーロッパだと、だいたいキリスト教がベースになってくるので、ホラー映画には悪魔が出てくるのですが、アジアは、国によって宗教も文化も違ってさまざまな特色がありますね。日本は、八百万の神や仏教、韓国では儒教で、タイにはタイ仏教、そしてインドネシアには悪魔崇拝というのがあるんですが、本当に国によって色が違うんですよ。特にホラー映画ではその国の特色がすごく浮き彫りになるなと思います」とアジアのホラー映画の魅力も伝え、“家”と“ホラー”について語り尽くすイベントとなった。
公開表記
配給:ギークピクチュアズ
シネマート新宿ほか全国順次公開中
(オフィシャル素材提供)