世界最高のドキュメンタリー映画と評される名作『チリの闘い』で知られるパトリシオ・グスマン監督の最新作『私の想う国』の公開を記念して、グスマン監督がチリ弾圧の歴史を詩的かつ圧倒的映像美で描いた3部作『光のノスタルジア』『真珠のボタン』『夢のアンデス』を新宿K’s cinemaとアップリンク吉祥寺、アップリンク京都で一挙リバイバル上映することが決定した。
チリ弾圧の歴史描く3部作
12/14(土)~12/20(金)新宿K’s cinemaにて上映
年始1/3(金)よりアップリンク吉祥寺、アップリンク京都にて上映
『光のノスタルジア』
(2010年、フランス・ドイツ・チリ、90分)
2011年山形国際ドキュメンタリー映画祭最優秀賞受賞作品。
チリ・アタカマ砂漠。生命の起源を求めて天文学者たちが遠い銀河を探索するかたわらで、行方不明になった肉親の遺骨を捜して、砂漠を掘り返す女性たち……永遠とも思われる天文学の時間と、愛する者を失った遺族たちの止まってしまった時間が交差する。
『真珠のボタン』
(2014年、フランス・チリ・スペイン、82分)
2015年ベルリン国際映画祭 銀熊賞脚本賞受賞。
全長4600キロ以上に及ぶチリの長い海岸線。海は人類の歴史をも記憶している。チリ、西パタゴニアの海底でボタンが発見された。そのボタンは政治犯として殺された人々や、祖国と自由を奪われたパタゴニアの先住民の声を我々に伝える。
『夢のアンデス』
(2019年、チリ・フランス、85分)
1973年9月11日、チリ、軍事クーデターは多くの市民の人生を大きく変えることになる。本作に登場する作家や彫刻家、音楽家たちの告白と記憶。そこにはいつ何時も輝き、鎮座するアンデスの山々があった──。
『私の想う国』
イントロダクション
『チリの闘い』で知られる、ドキュメンタリー映画の巨匠、パトリシオ・グスマン監督最新作
2019年、突然チリのサンティアゴで民主化運動が動きだした。その口火となったのは、首都サンティアゴで地下鉄料金の値上げ反対がきっかけだった。その運動は、リーダーもイデオロギーもなく、爆発的なうねりとなり、チリの保守的・家父長的な社会構造を大きく揺るがした。運動の主流となったのは、若者と女性たちだった。150万の人々が、より尊厳のある生活を求め、警察と放水車に向かってデモを行ったのだった。
それは2021年36歳という世界で最も若いガブリエル・ボリッチ大統領誕生に結実する。
ピノチェト政権下キューバに亡命し、現在パリに住むグスマン監督が、リーダーもイデオロギーもない新たな女性中心の社会運動を目の当たりにして、グスマン監督自らカメラで捉えた『私の想う国』
チリ、サンティアゴの150万人のうねりが、政治を揺るがし、国を変えた
目出し帽に鮮やかな花をつけデモに参加する母親、家父長制に異を唱える4人の女性詩人たち、先住民族のマプチェ女性として初めて重要な政治的地位についたエリサ・ロンコンなど、多くの女性たちへのインタビューと、グスマン監督自身のナレーションが観客に寄り添い、革命の瞬間に立ち会っているかのような体験に我々を誘う。
かつてのチリの大統領サルバドール・アジェンデが始めた「永遠の改革」を捉えた世界最高のドキュメンタリー映画と評される名作『チリの闘い』、チリ弾圧の歴史を描いた3部作『光のノスタルジア』、『真珠のボタン』、『夢のアンデス』に続き、グスマン監督は過去の記憶と往来を重ね、劇的に変わりゆくチリを、新たな社会運動を前にして希望を信じ、かつて想像した国が実現することに願い込めて詩的な、圧倒的映像美で描き出す。
(原題:MI PAIS IMAGINARIO|英題:My Imaginary Country、2022年、チリ・フランス、上映時間:83分)
公開表記
配給:アップリンク
2024年12月20日(金)〜アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開