登壇者:菅田将暉、井上真央、三宅 健、山本浩司、好井まさお、岸 善幸監督
映画『サンセット・サンライズ』の完成披露試写会が都内で行なわれ、主演の菅田将暉、共演の井上真央、三宅 健、山本浩司、好井まさおとメガホンを取った岸 善幸監督が舞台挨拶に出席してクロストークを行なった。
本作は、楡 周平の同名小説を映画化した群集劇。コロナ禍で宮城県の南三陸に都会から移住した釣り好きのサラリーマン西尾晋作(菅田)と、周りの住民との交流がユーモアたっぷりに描かれるヒューマン・コメディ。本作は、菅田が日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した『あゝ、荒野』以来、7年ぶりに岸 善幸監督とタッグを組んだ作品。脚本は宮藤官九郎。
菅田は満員の会場を見渡しながら「やっと皆さんに観てもらえる。張り切ってます! 嬉しいです」と笑顔で挨拶した。
撮影中の印象的なエピソードを話すコーナーがあり、大好きな釣りが楽しめる三陸の町で部屋を借りて、仕事はリモートで、お気楽な“お試し移住”をスタートさせる西尾晋作役を演じた菅田は、最近魚類学者でタレントのさかなクンに会った時のエピソードを披露。「釣りの映画をやって、『オウゴンムラソイというのを釣りました』とさかなクンに話したら、『ギョギョギョ!』と驚いてくれて(笑)、『さすがです! すごくレアですよ!』とすごく興奮してくれました」と楽しそうに話し、釣りや魚が好きな人も楽しめる作品であることをアピールした。
「みんなにモテモテのアイドルの“モモちゃん”(関野百香、西尾に家を貸す大家の役)を演じました」と町のマドンナ的存在である自身の役柄を紹介した井上は、「『モテるな~、モモちゃん』と思いながら、気持ちよくやらせていただきました」とにっこり。
劇中にある魚をさばくシーンに触れ、「慣れた手つきで話しながら魚をさばくのは大変でした」と苦労を吐露したが、岸監督が「すばらしい腕前」、菅田も「職人芸。なめろう女優!」と大絶賛。井上が魚を三枚に下ろし、“なめろう”を作るシーンは注目だ。
震災に遭い、哀しい過去を持つ百香“モモちゃん”を愛する4人組の存在が作品を盛り上げている。“モモちゃんの幸せを祈る会”のメンバーのひとり、タケ(高森 武)役を演じた三宅は「4人のメンバーのなかでも気が短いタイプの役柄で、あまり普段は怒らないので、頑張ってやりました」と話す。
菅田と井上は、そんな三宅の演技を「新鮮だった」と称賛。暴れて居酒屋の椅子を壊してしまうシーンはハプニングだったという。岸監督は「いいシーンが撮れた」とニンマリ。
山城進一郎役を演じた山本と平畑耕作役を演じた好井。
ふたりは、“恋するモモちゃん”に想いをよせ、悶々とする役柄を好演。方言を話す場面でも独特のムードをかもし出している。モモちゃんをニマニマしながら眺めるシーンがあった好井は「会心の笑みでニマニマ見ていたら、『それ、声が入るやろ』と思うくらい、監督が笑っていました。カットされていましたね……」と不満たっぷりに話して、会場の笑いを誘った。
4人組には撮影の間に一緒にお風呂に入ったりしたことで、暑苦しい友情が生まれたことも楽しげに話した。好井は、撮影初日に菅田からキャスト・スタッフにオリジナルTシャツ(可愛くて、大人気だったそう)が差し入れされたというエピソードも嬉しそうに披露した。
井上は、突然の雨で撮影が中断してしまった時のエピソードを披露。「もう少しで全部撮り終わるという時に雨がバーって降ってきて、『あと1カットなのに』と思いながら雨宿りしていたのですが、『もうすぐ止むんじゃないかなぁ』って菅田くんが言ったとたん、本当に5分くらいしたら雨がすーっと止んできて、なんと、菅田くんの後ろに虹が出てたんです」と驚きのエピソードを披露。
井上が「頭の中に『虹』(菅田の楽曲)が流れて、(菅田くんは)『スターだ!』と思いました」と、興奮気味に伝えると、それを聞いていた三宅も「出てた、出てた!」と大きな笑顔を見せると、会場からは歓声が上がった。
また、フリップを使ったトークコーナーでは、映画にちなんで、「自分なりの幸せ」について登壇陣それぞれが楽しげに語ってくれた。
最後に、岸監督が「笑って、笑って、ほろりとさせる映画です。脚本家の宮藤官九郎さんの力を借りて、人とつながる時に必要なことを描きました。スタッフ、キャスト一生懸命に一丸となって作った映画です。楽しんでください!」。
菅田は「現場の楽しさが伝わっていけばいいな……。ごはんがすごくおいしそうな映画なので、食べたくなったら、ぜひ南三陸にも足を運んでいただければと思います!」とメッセージを送った。
コロナ禍の日本を舞台に、過疎化に悩む地方、震災などの社会問題と向き合いながら豊かなエンタテインメントへと転化させたヒューマン・コメディ。劇中に登場している菅田が描いた絵にも注目してほしい。
他の共演者に中村雅俊、池脇千鶴、“モモちゃんの幸せを祈る会”のもうひとりのメンバー・倉部健介/ケン役の竹原ピストル、西尾が勤める会社の社長・大津役の小日向文世、西尾のご近所さん・白川和子が持ち味を発揮して好演している素敵な作品だ。
(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:ワーナー・ブラザース映画
2025年1月全国公開
(オフィシャル素材提供)