登壇者:アイザイア・レティネン
12月27日(金)に公開『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』の主演:アイザイア・レティネンが来日し、新宿シネマカリテにて公開記念舞台挨拶を行った。
本作はレンタルDVDが全盛だった 2003年のカナダを舞台に、人とうまくやれず行く先々でトラブルを起こす映画好きな高校生を描いた⻘春コメディ。トロント国際映画祭で激賞され、史上最高のカナダ・コメディの一本に選出された。
舞台挨拶で真っ先に自身を「オタク」であると語ったアイザイア・レティネンは、これまで何度もプライベートで来日しているという。登壇の前に都内のゲーム・スタジオを訪れた体験を興奮気味に語った。
レンタル・ビデオ店で働く主人公ローレンスの設定について、「監督であるチャンドラー・レヴァックの実際の経験に基づいていますが、演じる私にとっても身近な物語です。私もローレンスと同じように、自分の趣味にこだわりすぎて人に嫌われるような振る舞いをしていたと気づくことがありました」と自身の思春期を振り返る。「学生時代の古傷をかきむしるような気持ち」で役を演じたことを明かした。
観客からお気に入りのアニメを聞かれると、『新世紀エヴァンゲリオン』をはじめ日本の作品を次々と挙げる姿が客席の笑いを誘った。好きな映画作品についても、映画レビュー・アプリを開きながら「難しい質問ですが、ウォン・カーウァイ監督が好きですね。最近は『ロスト・イン・トランスレーション』を観たり、先週は『アイアン・クロー』を観て泣きっぱなしでした」と幅広く作品をピックアップ。鞄につけていた缶バッジを指さしながら「『HOUSE ハウス』はすばらしい。『ラブ&ポップ』『リリイ・シュシュのすべて』『パーフェクトブルー』も」と日本映画のお気に入りも付け加えた。
最新のカナダ映画事情について質問されると、「少なくとも北米ではカナダ映画はあまり注目されていませんが、個人的にカナダのインディペンデント映画はルネサンス的に盛り上がってきていると思います。友人でもあるカイル・エドワード・ボール監督の『SKINAMARINK/スキナマリンク』が日本でも公開されますし、『ブラックベリー』のマット・ジョンソン監督も大好きです。カナダ映画はつまらない、という人々のイメージを払拭するような流れを感じています」と答えた。
不器用で気難しい性格の主人公ローレンスについて、特にフラストレーションは感じることなく、嫌われ役を楽しく演じたという。「彼のことが好きですし、私も時々ローレンスのように、悪い人間になることもあります。社会性を身につけるためには厳しい経験をしなければならない、ということを描いた成長物語です」と述べる。
また、本作が持つメッセージ性について「芸術作品を商品のように消費する姿が描かれているとも思います。映画に関する知識を鎧のようにして壁を作っていた人物が、それを壊していく過程を描く物語です」と語った。一方で、「私が40代になったら、ローレンスがカンヌ国際映画祭に作品を出品しに行く続編を撮ろう、とレヴァック監督とよく冗談を言っていました。行く先々で彼がトラブルに巻き込まれる話です。彼はこの先もずっと映画が好きでい続けるでしょう」とローレンスと映画の関係性は変わらないことも強調した。
『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』は新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほかにて公開中。
公開表記
配給:イーニッド・フィルム
2024年12月27日 新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷 他 全国順次公開
(オフィシャル素材提供)